

版権キャラのプロンプトをSNSに投稿しても、非営利なら著作権侵害にはならないと思っていませんか?
NovelAI 5ch Wikiが公開している「版権キャラ再現/た行」ページには、現在も盛んに更新されているプロンプト情報が載っています。「転生したらスライムだった件」「東京レイヴンズ」「テイルズ」シリーズなど、ジャンプ系・ライトノベル系の人気作品が多く並んでいます。
漫画を描きたい人にとって、こうした版権キャラのプロンプトは「キャラの雰囲気を参考にしたい」「ポーズや構図のアイデアが欲しい」という目的で注目を集めています。各キャラのプロンプトには「official style」「anime coloring」などの画質タグに加え、作品名・キャラ名・髪色・衣装の詳細などが書き込まれています。
たとえば「転生したらスライムだった件」のリムルであれば、銀髪・青みがかった瞳・スライムの特徴を示す単語群を組み合わせることで、AIが高い再現度のキャラ画像を生成できる仕組みです。ネガティブプロンプトにも工夫があり、「他のキャラが混入しないようにする」「衣装の左右非対称を補正する」などの調整が加えられています。
つまり、た行の版権キャラプロンプトは「ただ名前を打てばよい」という単純なものではなく、画像品質と再現精度を高めるための高度な技術情報です。この点を正しく理解することが出発点になります。
⬇️ NovelAI 版権キャラ再現ページ(た行)の参考情報
NovelAI 5ch Wiki|版権キャラ再現/た行(プロンプト一覧・随時更新)
「生成AIで版権キャラを描くのは、手描きのファンアートと同じ感覚でしょ?」と思っている漫画志望者は多いです。しかし、法的な構造はやや異なります。
著作権侵害が成立するには「類似性」と「依拠性」の両方が必要です。依拠性とは、既存の著作物に接し、それを自分の作品に用いたことを意味します。手描きの場合、「たまたま似た絵を描いた」と主張する余地がゼロではありません。
ところがAIの場合、プロンプトに作品名・キャラ名(例:「転生したらスライムだった件」「リムル」など)を直接入力した事実が残ります。これが「意図的に既存著作物に類似させようとした」という依拠性の証拠になりやすいと、複数の法律専門家が指摘しています。
2026年2月には、X(旧Twitter)上でも「プロンプトに作品名やキャラ名を加えると、極めて類似性の高い生成物が出やすくなり、侵害リスクが上がる」という声が法律関係者から上がっています。依拠性が認められれば、著作権侵害が成立するリスクが格段に高まります。これは重大なポイントです。
漫画制作の参考にAIを使うこと自体は否定されませんが、プロンプトに版権キャラ名を明示する行為は「後で削除すれば大丈夫」という問題ではありません。スクリーンショット一枚が残れば証拠になり得ます。
版権元によって、二次創作への姿勢は大きく異なります。この違いを知らずに投稿すると、非営利でも削除や警告のリスクがあります。
まず集英社は2025年10月31日に公式声明を発表し、「生成AIの利用の有無に関わらず、権利を侵害していると判断したものには適切で厳正な対応を取る」と明言しています。「転生したらスライムだった件」の原作コミックは集英社ではなく講談社の「月刊少年シリウス」掲載ですが、ジャンプ系作品については集英社がこの姿勢を取っている点は重要です。た行の版権キャラには複数の出版社・制作会社の作品が混在しています。権利者を一社一社確認することが基本です。
出版社や権利者によるスタンスの違いを整理すると以下の通りです。
た行の版権キャラプロンプトを扱う前に、その作品の版権元がどの方針をとっているか確認するのが最低限のステップです。公式サイトのガイドラインページを必ず参照してください。
文化庁も「AIと著作権に関する考え方」を公開しており、類似性・依拠性の判断基準について詳細な考え方を示しています。
文化庁|AIと著作権に関する考え方について(PDF・考え方の詳細と具体的判断基準)
では、漫画を描くためにAIプロンプトを活用したい場合、どうすればよいのでしょうか。
結論として、「作風・世界観・構図のアイデア出し」に使う分には問題のないケースが多いです。文化庁の「アイデア・表現二分論」の考え方によれば、著作権が保護するのは「創作的な表現」であり、「アイデアや作風そのもの」は保護対象外とされています。「ジャンプ系の少年漫画風に描きたい」「異世界ファンタジー系のキャラクターの構図を参考にしたい」という使い方は、原則として著作権侵害にはなりません。
安全に使うための具体的な手順は次の通りです。
また、漫画制作の補助として使うなら、NovelAIのプロンプト研究よりも、自分のオリジナルキャラを学習させたLoRAモデルを作るほうが長期的に安全です。LoRAを使った自作キャラの学習については、文化庁のAI著作権チェックリストを確認した上で進めることをお勧めします。
文化庁|AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(LoRA・学習モデル利用の判断基準も掲載)
版権キャラのプロンプトを分解すると、漫画を描くための独自活用に応用できる知識が見えてきます。これは多くの解説記事が触れていない視点です。
たとえば、NovelAIの「た行」ページにある各キャラのプロンプトは、以下のような構造で組み立てられています。
official style, anime coloring, very aesthetic, best quality などcowboy shot, full body, straight-on, looking at viewer などworst quality, bad anatomy, extra limbs など除外したい要素この構造の中で版権情報が含まれるのは「キャラ識別タグ」の部分のみです。それ以外のタグ——画質タグ・外見タグ・構図タグ・ネガティブプロンプト——はオリジナルキャラの制作にも完全に転用できます。
たとえば「た行」プロンプトを読んで気づく重要な技術が2つあります。1つ目は、左右非対称の衣装を持つキャラは「左右が反転しやすい」ため、追加の調整タグが必要な点。2つ目は、同じ作品の中でもキャラによって安定度が大きく違うため、ネガティブプロンプトで「似た別キャラを除外する」技術が使われている点です。
こうした技術を学ぶ目的で「た行」プロンプトページを参照するのは有益です。大切なのは、参照した知識を版権キャラのプロンプト再現には直接使わず、自分のオリジナルキャラクター作りや漫画のコマ割り研究に活かすことです。それだけ覚えておけばOKです。
参考として、画像生成AI(Stable Diffusion系)のアニメ向けプロンプト活用について詳しい解説があります。