スクリーントーン種類と基本|アミトーン選び方から効果的な使い分けまで

スクリーントーン種類と基本|アミトーン選び方から効果的な使い分けまで

漫画制作で必須のスクリーントーンには、アミトーン、グラデトーン、効果トーンなど多彩な種類が存在します。線数や濃度の違いで表現できる効果も大きく変わるため、初心者には選び方が難しいもの。この記事では、それぞれのトーンの特徴と用途を詳しく解説し、61番トーンをはじめとする定番の選び方から、メーカーごとの違い、実際の使用シーンまで網羅的に紹介します。あなたの作品に最適なトーンはどれでしょうか?

スクリーントーン種類と基本

スクリーントーンの主な種類
アミトーン

規則的なドット模様で影や濃淡を表現する最も基本的なトーン。線数と濃度の組み合わせで多彩な表現が可能

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グラデトーン

濃度が段階的に変化するトーンで、立体感や奥行き、金属の質感表現に最適

効果・柄トーン

集中線、花柄、背景など特殊な模様が印刷されたトーンで、時短と演出効果を両立

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スクリーントーン種類の基本構成とアミトーン

スクリーントーンは、半透明のビニールシートに粘着剤が付いたシール状の画材で、白と黒のみで表現する漫画の世界にグレーの濃淡を作り出します。元々は建築やデザイン分野で使われていた技法ですが、次第に漫画制作にも取り入れられ、現在では必須の画材となっています。
参考)スクリーントーンの種類その①

最も基本的で使用頻度が高いのがアミトーン(網点トーン)です。小さなドットが規則的に配置されており、1インチあたりのドットの数を表す「線数(L)」と、黒い部分の面積比を表す「濃度(%)」という2つの数値で特徴が決まります。線数が大きくなるほどドットは細かく密度が高くなり、濃度が大きくなるほど黒に近い濃い色になります。
参考)スクリーントーンのおすすめ人気ランキング【2025年10月】…

アミトーンは肌の色、髪の影、服のしわ、背景など様々な用途で活用でき、ジャンルを問わず幅広く使用される基礎的なトーンです。特に線数60L、濃度10%の「61番」は影や肌の表現に使う定番トーンとして、プロの漫画家からアマチュアまで広く愛用されています。
参考)スクリーントーンのおすすめ14選!グラデトーンや背景トーンも…
​youtube​

スクリーントーン種類におけるグラデトーンの特徴

グラデトーン(グラデーショントーン)は、ドットや線の濃度が段階的に変化するトーンで、奥行きや遠近感、立体感の演出に効果的です。濃い部分から薄い部分へ自然に移行するため、平面的な絵に深みを与えることができます。​
金属の表面のつるっとした質感を表現したり、背景に貼って夜空や夕焼けを表現したりと、使い方次第で多様な効果を生み出せます。キャラクターの髪の毛に立体感を与えたり、衣類の質感を描写したりする際にも活用されます。グラデーションの幅も1段階のものから細かい幅まで種類が豊富にあり、用途に応じて適切なものを選ぶことが重要です。​
背景の遠近の差を表現する際にも、グラデトーンは有効です。遠くのものは薄く、近くのものは濃くすることで、自然な奥行きを作り出せます。
参考)初心者マンガ講座15 トーンを貼ろう

スクリーントーン種類の中の砂目トーンとカケアミトーン

砂目トーンは、規則的なドットではなく、不規則な形の小さなドットがランダムに配置されて構成されています。ノイズのようなざらっとした質感を表現できるため、主に服の模様、自然物、皮の表現などに使用されます。アミトーンとは異なり、濃度パーセントのみが記述されており、重ね貼りした際にモアレ(干渉縞)を起こさない特徴があります。
参考)スクリーントーン - Wikipedia

カケアミトーンは、線で描かれた模様を使用したトーンです。トーンが普及していなかった時代、漫画の中で濃淡を表現するために使われた技法のひとつで、当時の漫画家は手描きでカケアミを描き込んでいました。現在はトーンとして製品化されており、様々な濃度があります。背景(バック)や服の模様など、独特の線の質感を活かした表現に適しています。​
万線(まんせん)トーンも多線トーンとも呼ばれ、ドットではなく線を規則的に配置して濃淡を表しており、線の太さや線数で濃淡に変化をつけています。​

スクリーントーン種類の効果トーンと柄トーン活用法

効果トーンは、キャラクターの感情表現や動きの躍動感を演出するために使用される特殊なトーンです。集中線は中心に注目を集める効果があり、目立たせたいセリフやキャラクターに使うと効果的です。流線はスピード感を表現でき、緊迫感や躍動感を伝えるのに最適です。
参考)マンガの作画表現とトーンワーク指導・講座 - イラスト・漫画…

柄トーンは、花柄、チェック柄、迷彩柄など様々な模様が印刷されているトーンで、服や小物の柄に悩んだときに活用できます。服や小物だけでなく、背景にも使用できるため幅広い用途があります。大小2サイズを用意しておくと、引きのシーンとアップのシーンのどちらでも使えて便利です。​
背景トーンは、空模様、夜景、樹々のパターンなど、風景を描き込む手間を省ける時短アイテムです。細かい都市の夜景柄や自然な樹々のパターンを使えば、背景の描き込み時間を大幅に削減できます。ただし、構図や絵のタッチが限定されるため、自分の絵と比較して違和感の少ないものを選ぶことが重要です。​
参考リンク:デリーターのスクリーントーン製品ラインナップと使用例を確認できます
スクリーントーン・トーン用品|世界堂オンラインショップ

スクリーントーン種類別の線数と濃度の見方と選び方

スクリーントーンの線数と濃度の表記を理解することは、適切なトーンを選ぶ上で不可欠です。線数(L)は1インチ(25.4mm)の幅の中に入るドットの数を示しており、実際の作業では「トーンの縮小率」と考えるとわかりやすいです。線数が大きくなると縮小したように見え、小さくなると拡大したように見えます。
参考)【漫画】スクリーントーンの基本を解説。デジタルで覚えておきた…

濃度(%)は「点の密度(トーンの濃さ)」を示すもので、数値が大きくなるとトーンが濃く黒に近づき、小さくなると薄くなります。日本の漫画では「60線(L)」のトーンが最も多く使われるため、迷ったらまずこの線数のトーンを使ってみることをおすすめします。
参考)漫画で使われる一般的なトーンの線数は?濃度は何%?

「近くにあるもの・材質がざらざらしているもの」は線数の小さいトーン、「遠くにあるもの・材質がなめらかなもの」は線数の大きいトーンというように使い分けることも可能です。肌に使うトーンはできるだけ線数が高い(点が細かい)ものがおすすめで、肌に馴染みますし、貼る範囲が広いので点が細かい方が線画を邪魔しません。
参考)【初心者向け】これから漫画を描きたいあなたに!効果的なトーン…

初心者の方は、まず「60線20%」程度のトーンから始めることで、貼った際の印象を掴みやすくなります。影には10%、髪や服の表現には20~30%が適しているので、シーンに応じて使い分けてください。
参考)【初心者向け】これから漫画を描きたいあなたに!効果的なトーン…

参考リンク:スクリーントーンの線数と濃度の詳しい説明が確認できます
スクリーントーン 表記/記号のご説明|イートーン

スクリーントーン種類を活かすメーカー別の特徴比較

スクリーントーンは複数のメーカーから販売されており、それぞれに特徴があります。デリーターは一定の品質のものをコストを抑えて手に入れられるのが強みで、約400円前後から購入できる安さと品質のよさで、初心者からプロの漫画家まで幅広く使用されています。2枚重ねて使ったり、ナイフで削ったりしてオリジナリティを出せるのも魅力です。​
アイシーは品質を重視する人向けで、印刷したときの仕上がりがきれいなのが特徴です。印刷後も生原稿と同じような仕上がりにしたい人に最適で、定番のアイシースクリーンは全460種と豊富なラインナップを誇ります。約500円からとやや高めですが、白と黒の2色で印刷した特殊なアイシースクリーンプレミアムという高級品もあります。
参考)アイシースクリーン

マクソン(ホルベイン画材)はコストを最優先したい人におすすめで、コミックパターンシリーズは約200円前後と最も安価です。きれいな四角いドットは印刷してもつぶれにくく再現性が高いため、安価でも品質は確保されています。粘着力が高く軽い力で圧着できる点もメリットです。​
各メーカーで同じ「61番」でも線数が異なる場合があり、レトラセット・ジャパンのスクリーントーンの61番は55線10%ですが、アイシートーンの61番は60線10%となっています。
参考)[エッセイ] スクリーントーンの61番とは55線10%の網点…

参考リンク:アイシースクリーントーンの全ラインナップが確認できます
アイシースクリーン|漫画画材のブランド・アイシー

スクリーントーン種類を使いこなす定番61番の実践活用

アミトーン61番は、多くのプロ漫画家が使用する定番中の定番で、影の表現に最も適したトーンとして知られています。元々はレトラセット・ジャパンのスクリーントーン61番を指し、線数で表現すると55線10%ですが、多くの漫画家が「アミトーン61番」と呼ぶため通称として定着しました。youtube+1​​
実際のプロの現場では、61番から64番までの60線シリーズが基本として使われています。61番(60線10%)は主に影に使用し、62番(60線20%)は影の演出や髪の立体感に、63番(60線30%)はより濃い表現に、64番(60線40%)はさらに濃い部分に使い分けます。youtube+1​
どのメーカーのトーンがいいのかという質問に対しては、アイシー、デリーター、マクソンなど各メーカーに特徴がありますが、削りやすさや粘着力、価格などで好みが分かれます。デリーターはトーンが削りにくいという意見もあり、アイシーの方が削りやすいと感じる人もいます。
参考)デリーターのスクリーントーントーンが削りにくいのですが…。ア…

同人誌などA5サイズ以下で原稿を作成する場合は、70線前後の方が適しています。小さい紙面上では61番(60線)が大きく感じることがあるためです。ただし、70線以上だと印刷時にトーンのドットがつぶれる可能性があるので、60~70線の間で好みのものを選ぶのが無難です。​
参考リンク:プロの漫画家が実際に使っているトーン番号を動画で解説しています
【ズバリ】プロの漫画家が使ってるトーン教えます!|YouTube

スクリーントーン種類選びで失敗しない初心者向けセット

スクリーントーンを初めて使う人には、複数枚がセットになった商品が最適です。グラデーションや柄、アミトーンなどそれぞれから使いやすい品番がまとまっているため、どのスクリーントーンを使えばいいかわからない初心者にうってつけです。​
デリーターのスクリーントーンセットは、スタンダードなアミトーンの4点セットで、基本のトーンがまとめて手に入る初心者向けの製品です。セット商品を選ぶときは、用途にあっているかを確認しましょう。アミ・点・柄など入っている種類は同じでも、品番が異なるとトーンの雰囲気も変わります。​
デリーターは182×253mmのB5サイズである「ジュニアスクリーン」も展開しており、約350円から購入できるので試しに買いたい人や少ししか使わない人にも適しています。「Jr.」表記があるものから探すとよいでしょう。​
初心者でスクリーントーンを複数枚そろえるのが難しい場合は、仲間同士でシェアするのもおすすめです。同人誌などでスクリーントーンを少量しか使用しない場合は、105×148mmのはがきサイズも選択肢に入ります。はがきサイズは100均などでも取り扱いがあり、複数枚セットになったものが多いのでコストを抑えられます。​
参考リンク:スクリーントーンの選び方とおすすめランキングが詳しく紹介されています
スクリーントーンのおすすめ人気ランキング|mybest