色彩設計なるには|専門学校・スキル・仕事・キャリアパス

色彩設計なるには|専門学校・スキル・仕事・キャリアパス

漫画やアニメの色彩設計になるには専門知識とスキルが必要です。ペインターから始まるキャリアパス、必要な資格、年収、仕事内容まで詳しく解説します。あなたも色彩のプロフェッショナルを目指してみませんか?

色彩設計なるには

この記事のポイント
🎨
ペインターから始めるキャリア

未経験からでも専門学校や制作会社で仕上げのペインターとしてスタートし、色指定を経て色彩設計へステップアップできる

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必要なスキルと資格

色彩検定やカラーコーディネーター検定、デジタルツールの操作技術、配色センスと色彩理論の知識が求められる

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仕事内容と年収

作品全体の色彩方針を決定し、キャラクターから背景まで統括管理する責任者で、年収は150万円~300万円以上と幅がある

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色彩設計の仕事内容と役割

色彩設計は、アニメや漫画の映像化作品における「色の総合責任者」です。キャラクターの髪・肌・服などの基本色を設定し、作品全体の色彩方針を決定する重要なポジションなんです。
参考)アニメの色彩設計になるには? 仕事内容・必要スキル・なり方を…

この仕事の核心は、監督の意図を理解した上で作品の世界観に合わせた色彩計画を立案することにあります。明るいポップな作品なら鮮やかな色調に、ミステリーや戦争ものなら渋い色調にするなど、ストーリーの雰囲気に応じた配色方針を定めるんですね。
参考)色彩設計・色指定になるには?|コラム|デジタルアーツ東京

色彩設計が作成する「色指定表」は、制作チーム全体で共有される重要な資料です。この色指定表に基づいて、アニメの作画にデジタルで着色する工程が進められ、作品全体の色彩バランスが統一されます。
参考)アニメキャラクターの色を決める人がいるって本当?

アニメ制作の現場では、色彩設計は仕上げセクションの最上位に位置し、プリプロダクション段階から参加します。制作の各段階で監督や演出家と密接に連携し、シーンごとの色彩表現を決定していくんです。​
デジタルアーツ東京の色彩設計になるための詳細ガイド

色彩設計になるための専門学校選び

色彩設計の専門知識と技術を効率的に学ぶには、アニメーションや映像制作の専門校で学ぶことが有効な手段です。専門校では色彩理論の基礎から実践的な色彩設計技術まで、体系的なカリキュラムで学ぶことができるんですね。
参考)育成カリキュラム

専門学校のカリキュラムには、デジタルペイント、色彩論、配色、デッサン、クロッキーなどが含まれています。特にデジタルペイントツールの操作は現代のアニメ彩色作業の必須スキルなので、PaintmanやPhotoshop、CLIP STUDIO PAINTといったソフトの習得が重要です。
参考)イラストレーターを目指す専門学校|HAL東京

現役の色彩設計者による直接指導を受けられるのも専門校の大きな魅力です。最新の制作環境で実習を行い、即戦力となるスキルを身につけることができます。学校によっては在学中に色彩検定など関連資格の取得支援を行うところもあり、資格は知識習得と昇進スピード双方にプラスとなり得ます。​
デジタルアーツ東京のアニメ学科は彩色の専門コースを開講し、2年間みっちりと最新デジタル設備で専門技術を学べるのが強みです。入社後は、即戦力として多くの卒業生が活躍しており、色指定・色彩設計へとステップアップを果たしています。​
代々木アニメーション学院による色彩設計の仕事解説

色彩設計に必要なスキルと資格

色彩設計として活躍するためには、色彩に関する専門知識が必須です。色相・明度・彩度といった色の基礎知識はもちろん、配色バランスや色が与える心理効果、画面での色の役割などを深く理解している必要があります。​
暖色系は温かみや情熱を伝える」「暗いトーンはシリアスな雰囲気を醸成する」など、色が持つ情報や印象を正しく把握し、作品に最適な色選びができる力が求められるんです。正しい知識を身につけることでセンス任せではない理論的な配色が可能になります。​
色彩設計になるために特別な資格・試験は必要ありません。ですが、デザイン系の資格の中には色彩に関する資格がたくさんあるので取得しておくと役立つでしょう。
参考)色彩設計を仕事にするには?アニメを彩る仕事内容・なり方を解説…

特に色の性質・特性のプロフェッショナルの証明にもなるカラーコーディネーター検定色彩検定はおすすめです。色の性質を熟知できていると、その色が人に対してどのような影響を与えるのかが分かり、アニメの画面上で伝えたいことを色彩を通して自然に伝えやすくなります。
参考)色彩設定の仕事を知ろう!

デジタルツールの習熟も重要なスキルです。現代のアニメ彩色作業はほぼデジタルで行われているため、PaintManやPhotoshopといったデジタルペイントツールの操作スキルも必須なんですね。色調補正、カラーパレットの作成、色の数値管理など、デジタル環境での正確な色彩コントロール能力も重要です。
参考)アニメ仕上げ

色彩設計のキャリアパスと年収

色彩設計になるキャリアパスは段階的なステップアップが一般的です。学校卒業後、新人としてアニメ制作会社の仕上げ部門に入り、まずはペインターとして動画への彩色業務からキャリアをスタートします。​
ペインターとして経験を積み評価されると、数年で色指定担当に昇格するケースが多いです。色指定になると一部のキャラクターや小物の配色決定権を任され、シーンごとに原画一枚一枚の色指定を行う責任ある立場になります。​
社内で実力と信頼を認められれば、色彩設計のポジションに抜擢されます。早ければ入社5〜6年程度、もしくは10年近くのキャリアを経て就任する例が多いようです。​
色彩設計の初任給は13~17万円で、年収は150~300万円が相場です。いきなり色彩設計の仕事を任されるのではなく、仕上げの仕事から行い、キャリアを積んで色指定、色彩設計になることが多いんですね。​
色彩設計などの色の仕事は固定給の他、歩合制を用いている会社も多く、会社によっても年収は大きく左右されます。経験豊富な色彩設計者として第一線で活躍すれば、フリーランスとして作品ごとに参加したり、スタジオで役職に就任する道もあります。​

職位 経験年数 主な業務内容 年収目安
ペインター 0-3年 色指定に従って線画に彩色 150万円~
色指定 3-7年 シーンごとの具体的な色を指定 200万円~
色彩設計 5-10年以上 作品全体の色彩方針を決定 250万円~

色彩設計に向いている人の特徴

色彩設計に向いている人の条件は「アニメーション制作をしたい人」「色彩に興味があり、知識を身につけようとしている人」「デジタルペイントの技術を磨いている人」と言えます。​
色彩設計は一人で完結する仕事ではなく、チームの一員として他部署と協力しながら進める業務です。色彩設計は色彩スタッフだけでなく、監督・演出・キャラクターデザイナー・美術監督・撮影監督・制作進行等、多くの人と話し合いをして仕事を進めていきます。そのため相手の気持ちを察するコミュニケーション能力は必須なんですね。​
アニメ制作においては想定外のことがしばしば発生するので、厳しいスケジュールの中でも潰れずに仕事をこなす精神力・的確な指示を出せるリーダーシップが必要になります。​
色彩設計に欠かせないものと言えば「無数にある中からマッチする色を選び抜く力」です。わずかな違いだけで見分けがつきにくいほど、色にはたくさんの種類が存在します。その中からアニメのシーンのことをよく考えたり、キャラクターの心情を理解して選び抜くことが必要なんです。​
アニメには現実には存在しない独自の世界観やキャラクターが多数登場します。ファンタジー作品の魔法の光や異世界の風景など、現実にない色彩をゼロから生み出す発想力が求められます。​
普段から自分の身の回りの小物が時・場所でどのような色彩になっているのかを観察しておくと役立つかもしれませんね。同じ道を歩いていても昼間であれば服は明るめ・夜であれば暗めという違いがあり、それを色彩で表現する力を付けておく必要があります。​

色彩設計とペインター・色指定の違い

色彩設計、色指定、ペインターは、アニメの彩色工程における異なる役割を担っています。それぞれの違いを理解することで、キャリアパスが明確になります。
参考)仕上げ になるには?仕事内容や必要な資格 - 福岡デザインhref="https://www.fca.ac.jp/work_book/376/" target="_blank">https://www.fca.ac.jp/work_book/376/amp;…

ペインター(仕上・色彩)は、色指定と原画をもとにして、素材をスキャンして線画に色を塗っていく仕事です。ペイントツールなどを用いて彩色を行い、この仕事を通してアニメにおける色の役割や配色のルールなどを学びます。基本的に色彩のセクションはぺインターからスタートし、色指定・検査から色彩設計へと上がっていくイメージです。​
色指定は、色彩設計の担当者が作成した色指定表をもとに、シーンごとの天候・時間・舞台・キャラクターの心情等に合わせて塗る色を指定する役割です。色彩設計の手が回らないこまかな部分の色彩を決める役割もあります。ぺインターが間違った色を塗っていないか仕上がったデータのチェックをする検査の仕事もあります。
参考)色彩設計・色指定になるには?仕事内容について - アニメ業界…

色彩設計は作品の色の仕上げに関する責任者です。キャラクターが持つ小物等、作品に使用される色指定表を作成するのが仕事で、ノーマルの色彩とは別に、シーンごとの色彩を決め最終的な仕上がりをチェックします。監督の意図をよく理解した上で、作品全体の色彩方針を決定する総合責任者としての役割を担うんです。​
ディズニーアニメの事例では、背景に彩度の低いパステルカラー、前景に暖色系の飽和色を使うことで空気遠近法や色彩遠近法を採用し、空間に立体感をもたらしています。このような色彩設計の工夫が、作品の視覚的な深みを生み出すんですね。
参考)Colors from the Rainbow:テクニカラー…

職種 主な責任範囲 決定権
ペインター 指定された色の塗り作業 なし(指示通りに作業)
色指定 シーンごとの具体的な色指定 部分的な色の決定
色彩設計 作品全体の色彩方針 全ての色の最終決定権

色彩設計の求人と就職方法

色彩設計になるにはアニメの制作会社が募集する「仕上(色彩)」の求人に応募するのが一般的です。そこに至るまでは高等学校を卒業した後、そのままアニメ制作会社に入社する人も稀にいます。​
しかし、彩色には専門技術と知識が必要なので、アニメの専門学校や美術系の大学・短大で勉強し、アニメ制作会社にぺインターとして入社する道が一般的なんですね。​
色彩設計として就職や転職を目指す際には、自分のスキルと感性を示すポートフォリオが重要です。キャラクターの色設定表や塗り分け作品、自主制作アニメのワンシーンの配色提案など、「配色で魅せる」作品があると採用担当の目に留まりやすくなります。​
Photoshopなどの操作スキル証明や、色彩検定資格なども取得しておくとアピールになります。デジタルポートフォリオを作成し、オンラインで公開することで、より多くの制作会社や関係者に自分の作品を見てもらうチャンスが広がるんです。​
色彩測定機器の製造・設計技術者など、色彩に関する求人は制作会社以外にも存在します。年収360万円、年間休日126日といった求人もあり、色彩の専門知識を活かせる分野は多様です。
参考)【10月版】色彩 正社員の求人・転職・中途採用|スタンバイで…

色彩設計の技術は日々進化しています。新しいソフトウェアの習得、色彩トレンドの研究、他分野の色彩表現の学習など、継続的なスキルアップが必要です。展覧会や映画鑑賞、色彩関連のセミナーへの参加など、様々な機会を通じて色彩感覚を磨き続けることが、プロフェッショナルとして成長する秘訣なんですね。​