
彩度と明度は、色を構成する三属性のうち「色相」とは異なる2つの独立した要素なんです。
参考)明度と彩度の違いを見分けよう!(色彩検定®3級)
明度とは色の明るさを示す指標で、白に近いほど明度が高く、黒に近いほど明度が低くなります。例えば、赤色とピンク色の違いは明度の違いによるもので、ピンクは赤に白を混ぜて明度を上げた状態と言えます。
参考)Webデザインにおける明度とは?彩度との違いと使い分け
一方、彩度は色の鮮やかさを表す指標です。彩度が高いほど純色に近い鮮やかな色になり、彩度が低くなるほど灰色に近づいていきます。茶色は実は赤色の彩度を下げた色で、色相自体は赤のままなんですね。
参考)もう配色で迷わない!イラストの配色を学んでおおっ!となる色選…
色相・明度・彩度の三つを組み合わせることで、あらゆる色を数値化して表現できます。PCCS(日本色研配色体系)では「2:R-7.0-6s」のように、色相R(レッド)、明度7.0、彩度6という形で色を正確に指定できるんです。
日本で広く使われている表色系について詳しく知りたい方は、こちらが参考になります。
色の三属性(色相・明度・彩度を理解すると色がわかる!)|色彩のことなら何でもおまかせ|色彩.com
初めて色彩を学ぶ人にとって、明度と彩度の違いを見分けるのは意外と難しいものです。
最も効果的な見分け方は、グレースケール(モノクロ)に変換してみることなんです。カラーの状態ではわかりにくい明度の違いも、白黒に変換すると一目瞭然で理解できます。例えば、黄色・赤・青・紫を並べた時、カラーではどれが明るいか判断しづらいですが、グレースケールにすると黄色が最も明度が高く、青紫が最も明度が低いことが明確にわかります。
参考)【色の3属性③】色の明るさ『明度』
彩度の見分け方としては、色の「鮮やかさ」に注目します。同じ明るさでも、色みが強く感じられるほど彩度が高い状態です。彩度が低くなると、徐々に色味が失われて灰色っぽくなっていきます。
実際にトレーニングする際は、PCCS新配色カード199aなどの色見本を使うと効果的です。同じ色相の中で明度だけを変えた色、彩度だけを変えた色を比較することで、両者の違いを体感的に理解できるようになります。
漫画やイラスト制作において、彩度と明度を使い分けることでキャラクターの印象を大きく変えられるんです。
参考)色の三属性(明度・彩度・色相)を使いこなそう! キャラクタ…
主役を目立たせる基本テクニックとして、明度の差(コントラスト)を活用する方法があります。白と黒の組み合わせはコントラストが強く、主役がくっきりと際立ちます。逆に、淡いグレー同士の組み合わせはぼやけた印象になるため、脇役や背景に適しています。
彩度の使い方については、鮮やかな高彩度の色を使うと「派手」「活発」「にぎやか」といった印象を与えます。一方、彩度を抑えた色は「落ち着き」「上品」「渋み」を表現できるんです。キャラクターの性格や場面の雰囲気に応じて、彩度をコントロールすることが重要です。
参考)「色相」「明度」「彩度」って、どう違うの?
実践的なテクニックとして、影の縁に異なる色相を使いつつ明度を調整する方法があります。例えば、ヤシの木に紫とオレンジの線を入れることで、緑の葉や空の色と対照的な印象を生み、太陽の暖かさを表現できます。
参考)初心者から上級者まで、色を使って絵を描くための秘密! href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/9759" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/9759quot;風景…
漫画風イラストの配色テクニックについて、さらに詳しく学びたい方はこちらが役立ちます。
イラストを美しく仕上げる!配色講座 〜色使い・色選びを学ぶ〜|お絵かき講座パルミー
トーン(色調)とは、明度と彩度を融合させた概念で、色のイメージを体系的に理解するための重要な考え方なんです。
参考)絵の印象を操る!イラストのための配色講座
PCCSでは、色を「色相」と「トーン」の二属性で表現する方法を採用しています。トーンは縦軸に明度、横軸に彩度をとった二次元の図で表され、「ビビッド(鮮やか)」「ライト(明るい)」「ダーク(暗い)」「グレイッシュ(灰みがかった)」などの名前が付けられています。
参考)PCCSとは
トーンを理解すると、配色パターンを作る際に非常に便利です。同じトーンで色相だけを変えた配色は統一感が生まれ、異なるトーンを組み合わせるとメリハリのある印象になります。例えば、「ペール(淡い)トーン」だけで構成したイラストは優しく柔らかい雰囲気になり、「ビビッドトーン」と「ダークトーン」を組み合わせると力強いコントラストが生まれるんです。
トーンを合わせるために、明度が違う色を選ぶべきか、彩度が違う色を選ぶべきかを見分ける力が身につくと、色選びに迷いにくくなります。
色彩理論の基礎から応用まで体系的に学べる公式サイトです。
漫画やイラストを描く際、彩度と明度のバランスを誤ると、作品の印象が大きく損なわれてしまいます。
最も多いミスは、明度差が不足している配色です。明度や彩度が近い色同士を組み合わせると、境界線がぼやけて見えにくくなります。特にキャラクターの輪郭線や髪と肌の境目などで明度差が少ないと、のっぺりとした印象になってしまうんです。
参考)初心者も簡単!漫画風イラストの描き方 - オンラインイラスト…
逆に、明度や彩度が極端に違いすぎる色の組み合わせも問題です。違和感のある印象を与え、目が疲れる原因になります。特に背景が明るすぎると文字が見えにくくなり、彩度が高すぎる配色を多用すると視覚的な疲労を引き起こします。
デジタルイラストでよくある悩みとして、描いているうちに気づかないまま彩度や明度がバラバラになってしまうケースがあります。これを防ぐには、定期的にレイヤーをグレースケール表示に切り替えて明度のバランスをチェックしたり、基準となる色を最初に決めてパレットに登録しておくことが効果的です。
参考)デジタルイラストの色が気づいたら彩度や明度がバラバラになって…
また、高彩度の色ばかりを使うと画面全体が騒がしくなり、主役が埋もれてしまいます。重要な部分にのみ高彩度を使い、その他は彩度を抑えることでメリハリが生まれるんです。
カラー調整の実践的なテクニックについては、こちらが詳しく解説しています。
オーバーレイを使ったイラスト仕上げの基本と実践|CLIP STUDIO TIPS
デジタル環境では、描いた後からでも彩度と明度を柔軟に調整できるのが大きな利点です。
参考)色相・彩度・明度とは
最も基本的な調整ツールが「色相・彩度・明度フィルタ」で、CLIP STUDIO PAINTやMediBang Paintなどの主要なイラストソフトに標準搭載されています。このフィルタを使えば、選択中のレイヤーの色味を直接変更でき、色相(色そのもの)、彩度(鮮やかさ)、明度(明るさ)をそれぞれ独立して調整可能です。
より高度な調整方法として、「調整レイヤー」や「レイヤーの描画モード」を活用するテクニックがあります。トーンカーブを使えば光と影のコントラストを繊細にコントロールでき、カラーバランスで全体の色調を微調整できるんです。
オーバーレイモードを使った色調整も効果的です。中性色より明度が高い色をオーバーレイでかけると画面が明るく鮮やかになり、明度が低い色をかけると画面が暗く鮮やかになります。中性色より彩度を上げた色をオーバーレイでかけると、選択している色相で画面の色調が統一され、同時に彩度が高くなる効果があります。
参考)オーバーレイを使ったイラスト仕上げの基本と実践 by 姫川た…
アナログで描く場合は、透明水彩なら水を多く混ぜることで明度を上げられます。不透明な画材の場合は白を混ぜて明度を上げ、明度を下げたい時は黒を混ぜる以外に、その色に近い明度の低い色を混ぜることで深い色味を作れるんです。
参考)絵を描く時に気になる【明度・彩度】の小さな話|日端奈奈子
調整方法 | 効果 | 適した場面 |
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色相・彩度・明度フィルタ | 個別の色要素を直接変更 | 特定のレイヤーや選択範囲の色を変えたい時 |
トーンカーブ | 光と影のコントラスト調整 | 全体の明暗バランスを整えたい時 |
オーバーレイモード | 色調の統一と彩度強調 | 画面全体の雰囲気を統一したい時 |
カラーバランス | 色味の微調整 | 特定の色相方向に全体を傾けたい時 |
グラデーションマップ | 明るい部分への色追加 | ハイライトに特定の色を乗せたい時 |