
ローアングルは、被写体を下から見上げるように描く構図のことです。「アオリ」や「煽り構図」とも呼ばれ、キャラクターを大きく、強そうに見せる効果があります。視点が低くなることで、迫力や威圧感を強調でき、ヒーローやボスキャラなどの演出によく使われるんです。
参考)適切なアングルでキャラの魅力を引き出す!アオリやフカンの使い…
建築物を描くときにも活用される手法で、存在感を引き出す効果があります。漫画やイラストでは、読者を飽きさせない演出テクニックとして重要な役割を果たしているんですね。足や腰、胸の凹凸などを表現しやすく、顔よりも体をメインに見せられるため、どこか大人っぽいセクシーな印象を与えてくれます。
参考)読者を飽きさせない演出テクニック カメラワーク入門③「カメラ…
ただし、下アゴが大きく見えたり、等身が高く見えたりと人体に迫力が出てしまうことがあります。女性キャラクターの可愛さと兼用したい場合は、部分的にアングルのかかり方を変える工夫が必要です。
ローアングルを描くには、パース(透視図法)の理解が不可欠なんです。パースとは、立体を正しく描くためのガイド線で、角度が変わると左右対称のパーツの高さがルールを持って変わります。基本的にローアングルの場合は「手前側のパーツの位置が下がる」と覚えましょう。
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消失点とアイレベルの設定が重要で、アイレベルは「消失点」が配置されるラインであり、パース構図を設計する際の基準線です。ローアングルでは、アイレベルを低く設定することで見上げる視点を作り出せます。3点透視図法は、ハイアングルやローアングルでショットを描くのに役立ちます。
参考)より良い視点を作る方法! by Bunnyhoofs - お…
パースの消失点はキャラクターからの距離によって効果が変わり、消失点が近いと手前にむかって扇形のように広がり、角度が強くつきます。遠近感を強調するには、手や足など前に出る部分を大きく、奥の部分を小さく描くと効果的なんですね。
参考)煽り ローアングル|イラスト・フリー素材なら「シンテリ」
参考になるパース解説はこちら:【パース入門講座】遠近感のある絵が描きたい!【透視図法】
足の描き方では、立体構造を意識することが重要です。足をシンプルな立体(円柱)として理解し、足先は靴を履かせたときの丸みを意識し、膝下にはふくらはぎの膨らみを少し入れて、足首で軽く絞ると自然なラインになります。前後に足を出すときは、手前の足はやや大きく、奥の足は短く描くことで、キャラクターの立ち位置や動きがよりリアルに感じられるんです。
参考)ミニキャラの足の描き方完全ガイド|比率・立体感・ポーズまで解…
ローアングルでは、寄りとローアングルで大きさの誇張を行い、画面内の主役の大きさが強調されるため、迫力に直結します。胴体は箱に近い形、腕・脚は円柱、頭は球体として捉えると描きやすいです。上半身の比率は、鎖骨から股までを半分にした位置に肋骨がきて、股と同じ高さに手首がきます。
参考)【構図】キャラクターに迫力を出す見せ方のコツ
ローアングルでは目と鼻と口は顔の上の方に寄り、頬と顎が広く見えます。パーツの線は上向きのカーブになり、耳たぶが大きく見え、耳の頂点は目よりも下にあります。各部位の底が見えるのもローアングルの特徴なんですね。
参考)難しいアングルの顔を感覚的に描く方法 href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/7410" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/7410quot;マンガの為のCLIP…
参考になる身体の描き方解説:人体の比率から身体のイラストを描こう!簡単な覚え方を紹介
立体感を出すには、「面ごとの明るさ」を考えることが重要です。人体も箱・円柱・球の組み合わせで成り立っており、頭は球体、腕・脚は円柱、胴体は箱に近い形をしています。箱・円柱・球の面の向きに合わせて陰影をつけるだけで、キャラクターに立体感が出るんです。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/289
光源を意識した影のつけ方では、基本的に光源に近い箇所は明るくなり、離れるにつれて暗くなります。ローアングルでは下からの光で立体感を強調できます。「手前と奥で明暗に差をつける」ことで、空間を立体的に見せることができます。
参考)ローアングル構図マスターガイド〜プロの撮影テクニックから編集…
逆光を活用することで、被写体のシルエットや輪郭を印象的に表現できるんです。ストロボやLEDライトを使用する場合は、下からの光で立体感を強調できます。複数の光源を組み合わせることで、より立体的な陰影表現が可能になります。
影の基本解説はこちら:イラストの簡単な影のつけ方。立体感の出る顔・体の塗り方も解説
初心者が最も陥りがちな失敗は、パースの歪みを正しく理解していないことです。ローアングルに見えない原因として、パーツの位置関係が適切でないことが挙げられます。俯瞰や煽り(アオリ)など角度が変わると、左右対称のパーツの高さはルールを持って変わるため、これを無視すると不自然な絵になってしまうんです。
参考)ローアングルを描きたくて描いてみたのですが…ローアングルに見…
下アゴが大きく見えすぎたり、等身が高く見えすぎたりと人体に迫力が出てしまうことがあります。この場合は、部分的にアングルのかかり方を変えてみることで、女性キャラクターの可愛さとの兼ね合いをとることができます。視線は上を向かせたいので、ズームとアングルの調整を行っていくことが重要なんですね。
広角レンズのパースは画面の端ほど強くなるため、中央以外の部分が歪みやすくなります。人物は中央から外さないように注意しましょう。練習方法としては、まず現場のスケッチから始めて、その上に遠近グリッドを配置し、ラフスケッチの不透明度を下げた後に、遠近グリッドを使用してスケッチを調整する方法が効果的です。
参考)ローアングルで撮るポートレート写真!広角・標準・望遠レンズを…
CLIP STUDIO PAINTの3Dオブジェクトサブツールを使うと、パース グリッドの視野を調整できます。カメラを回転すると、視点の角度を調整でき、ズーム ツールを使用すると、ボックスをどの程度ズームインまたはズームアウトできるかを制御できるんです。同じサブツール プロパティで、オブジェクトのロールを調整できるため、印象的なダッチアングルを作成できます。
パース定規を使う場合、まず3D素材をキャンバスにポンと置き、ボックスとグリッドの両方が同じレイヤーにあることを確認します。パース ボックスは実際にはグリッドの軸点に従って移動し、X 軸(緑)、Y 軸(赤)、および Z 軸があり、通常は3点透視図法を表します。
消失点を中央に固定したくない場合は、消失点を左右に移動して、どのような構図が考えられるかを試してみることができます。対称定規を使うことで、正面向きのバランスを簡単に取ることができるんですね。デジタルツールを活用することで、複雑なローアングル構図も効率的に描けるようになります。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/287
CLIP STUDIOの詳しい使い方はこちら:より良い視点を作る方法!
ローアングルの描き方をマスターするには、パースの基礎理解と身体の立体構造の把握が欠かせません。まずは簡単な形状から始めて、少しずつ複雑なポーズに挑戦していくことで、迫力のある構図が描けるようになります。デジタルツールも活用しながら、繰り返し練習することが上達への近道なんですね。