
漫画やイラストを描く際、いきなり線画から始めると完成イメージとのズレが生じやすくなるんです。ラフスケッチを段階的に描くことで、こうした問題を防げます。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/280
プロのイラストレーターが推奨する方法は、骨格ラフ→大ラフ→ラフ→陰影ラフという4つの工程に分けて進める描き方です。骨格ラフでは太めのブラシを使い、キャラクターの骨格や関節の位置を大まかに取ります。この段階では迷い線を気にせず、思ったように描くことが重要なんですね。
参考)ラフの描き方を変えただけで絵のスランプから抜け出した話|響音…
大ラフの工程では、骨格ラフで描いたアタリをより人間らしい形にしていきます。前の段階で使ったブラシよりも一回り小さいサイズに変え、全体のバランスを整えながら目や口の位置を決定します。
工程 | 使用ツール | 主な目的 | 描き込み度 |
---|---|---|---|
骨格ラフ | 太めのブラシ | ポーズのアタリを作る | 10% |
大ラフ | 中サイズのブラシ | 人間らしい形に整える | 40% |
ラフ | 細めのブラシ | 表情や体型を詰める | 70% |
陰影ラフ | カラーブラシ | 完成イメージを固める | 90% |
ラフスケッチの上達には、毎日2〜3時間程度の練習が効果的です。プロのイラストレーターの中には、1枚のラフを2〜3時間で仕上げる練習を2〜3日に1回のペースで続けている方もいます。
参考)最近ラフの練習をしてます
10分スケッチという短時間練習法も、観察力を鍛えるのに有効なんです。軽く素早く描くことで、全体の位置やバランスを確認する感覚が身につきます。この方法なら、忙しい人でもスキマ時間を活用して継続できますね。
参考)絵が上手くなる方法の1つ。【10分スケッチ】で観察力を上げる…
さらに上級者向けの方法として、13時間耐久ラフ練習というものもあります。まる一日かけてラフを描き続けることで、短期間での飛躍的な成長が期待できます。ただし、この方法は完成させることを目的とせず、あくまでラフの段階で止めることがポイントです。
参考)13時間耐久ラフ(さいとうなおき氏の一日上達法)やってみまし…
普段から構図や配色のアイデアをラフスケッチとしてメモしておくと、いざ描きたいときにサッと制作に入れるメリットもあります。
参考)ラフスケッチってどういう意味?|ラフスケッチを描く理由や描く…
描くテーマに合わせて資料を集めることは、ラフスケッチの質を高める重要なステップです。例えば、キャラクターが座っているポーズを描く場合、人物が座っている様子がわかる写真や画像を複数用意します。
資料を見ることでアイデアも膨らみ、「どこに座っているのか」「どんな風に座っているのか」といった具体的なイメージが湧いてきます。背景を描く段階で分からない箇所が出てきた場合も、その都度資料を探すようにしましょう。
骨格ラフで案出しをする際は、同じテーマで4つほどのバリエーションを描いてみることがおすすめです。案出しの工程では細部まで描き込む必要はなく、大まかな形で十分なんです。
普段からラフスケッチを描く習慣がないと、アイデアが少ししか思い浮かばなかったり、似たような構図ばかりになったりします。できるだけ多くのアイデアを出す訓練を重ねると、思い切った構図のカッコいい絵がスッと描けるようになります。
ラフを描く際、レイヤーを効果的に使い分けることで作業効率が大幅に向上します。まずアタリを描いたレイヤーの不透明度を下げ、その上に新しいレイヤーを作成してラフを描いていきます。
参考)【初心者向け】ラフを描こう①基本的なラフの描き方【スマホ向け…
線が入り組む部分では、パーツごとに色を変えて描くと後で見てもわかりやすくなります。髪型や服装をいろいろ試したい場合は、パターンごとにレイヤーを分けて描くのがおすすめです。こうすることで、レイヤーの表示切り替えだけで複数のデザイン案を比較検討できます。
ラフは一枚に描かなければいけないという固定観念は捨てましょう。線画にしてから修正するのは大変なので、ラフの段階で複数のバリエーションを試すほうが効率的なんです。
「大まかに描く」→「線の候補を絞って細かい部分も描く」という工程でも、レイヤーを変えて描くと線がごちゃごちゃしにくくなります。気に入ったパターンができたら、各レイヤーを統合して次の工程に進みます。
線画の後に陰影や色をつけると、想定していたイメージとズレが生じやすくなります。だからこそ、ラフの段階で陰影ラフやカラーラフを作成することが重要なんです。
ラフに影や色をつけると、絵の印象が大きく変わることに気づくでしょう。完成後のイメージとのズレを減らすには、早い段階で光源や陰影の考え方を固めておく必要があります。
配色の練習として、ちびキャラなど身体のポーズを簡略化したラフを描くのも効果的です。影の色やハイライトの色を意図的に変えて実験することで、配色のボキャブラリーが増えます。
ラフをたくさん描くと、できていない部分の共通点が見えてきます。例えば「顔は可愛いけど引きで見るとパッとしない」という場合、顔の描き方については理解が深まっている一方で、構図や配色の理解が浅いと判断できるんです。
色のイメージを掴むため、気に入った構図のラフスケッチには簡単に色を塗ってみましょう。普段からカラーラフまで完成させる習慣をつけると、実際の絵のサイズで下図を制作する際もスムーズに進められます。
ラフスケッチでは、迷い線を無理に減らそうとしないことが上達の秘訣です。従来は「迷い線を減らさなきゃ」「最初から補助線を使わなきゃ」という意識が強かったのですが、むしろ「迷ってもいいからまずは雰囲気を描く」という姿勢が重要なんですね。
ザクザクと迷い線も気にせず思ったように描き、そこから少しずつ線を拾っていく方法があります。線をクリンナップする際は、最初のラフに戻りながらイメージや全体の雰囲気が壊れていないか確認します。
必要に応じてパースや補助線を使うタイミングは、線を拾っていく段階で十分です。線に向いていた意識を絵の完成形に軌道修正することで、スランプから抜け出せた実例もあります。
上手い人のラフがその時点で魅力的に見えるのは、構図・配色・人体バランス・遠近感・質感・空気感など、魅力的なイラストに必要な要素がちゃんと描かれているからです。線画がぐちゃぐちゃだろうが塗りが雑だろうが、その時点で完成イラストに引けを取らない出来栄えになるんですね。
鉛筆を人差し指・中指・親指で軽くつまむように持ち、肩と腕を振るって優しいタッチで描くのも効果的です。この動作は、大きな輪郭を捉える際に極めて有効な技術となります。
参考)デッサンで初心者が独学で上達するためのコツとテクニック!|中…
ラフスケッチの練習は、設計図のような役割を果たします。しっかりとした設計図を作っておくことで、工程が進んでもイメージとのズレが生じなくなり、より良い作品に仕上がるんです。自分の課題がわからない人は、ラフをたくさん描いてダメな共通点を見つけることから始めてみましょう。
参考になる初心者向けのラフの描き方については、こちらの記事が詳しく解説しています。
初心者向けのラフの描き方!イラストをイメージ通りに仕上げる方法を解説
スマホでラフを描く方法について知りたい方は、基本的なラフの描き方とポイントがまとめられています。