立ち位置 キャラ 意味|役割と配置で魅力が変わる

立ち位置 キャラ 意味|役割と配置で魅力が変わる

漫画を描くとき、キャラクターの立ち位置にはどんな意味があるのでしょうか。配置や役割を理解すれば、物語がもっと深く、魅力的に描けるようになるはず、気になりませんか?

キャラ立ち位置の意味

キャラクター立ち位置の3つのポイント
📍
物語での役割

主人公、ライバル、メンターなど、ストーリーにおける機能的な位置づけ

🎭
コマ内の配置

画面上の左右・上下によって生まれる心理的な印象と視覚的な意味

⚖️
キャラ同士のバランス

性格や外見をマッピングした時の配置による作品全体の調和

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キャラの立ち位置とは何か

漫画を描くとき、キャラクターの「立ち位置」には大きく分けて2つの意味があるんです。ひとつは物語の中での役割、もうひとつはコマの中での画面上の配置なんですね。​
物語における立ち位置は、主人公なのか脇役なのか、ライバルなのかメンターなのかといった、そのキャラクターが果たす機能的な位置づけを指します。一方、コマ内での立ち位置は、画面の右側に立っているか左側に立っているか、といった視覚的な配置のことなんです。
参考)4コマのキャラの位置について【4コマ解説】|月尾トメ

この2つの立ち位置を理解することで、読者に意図した印象を与えたり、キャラクター同士の関係性を視覚的に伝えたりできるようになります。特に初心者の方が顔のアップばかり描いてしまう「顔マンガ」から卒業するには、この立ち位置の概念が重要なんですね。
参考)元週刊少年ジャンプ編集者から学ぶ 「キャラクターの関係性」に…

物語におけるキャラの立ち位置と役割

物語に登場するキャラクターには、それぞれ明確な役割が与えられています。主人公は物語のテーマそのものを体現し、読者目線で成長する存在です。最初はダメでも、最後には状況を変化させ決着をつけるのが主人公の基本的な立ち位置なんですね。
参考)キャラクターのつくり方 物語に必要なキャラクターの役割9選 …

メンター(賢者)は主人公を導き、能力や知識を与える役割を担います。ドラゴンボールの亀仙人やワンピースのレイリーがその典型例です。ライバルは主人公と対立しながらも実力を認め合い、物語に緊張感をもたらします。
参考)物語を動かすキャラクターの役割は全部で7つ!

興味深いのは、一人のキャラクターが複数の役割を兼ねることもある点です。亀仙人は悟空のメンターでありながら、天下一武道会では立ちはだかる敵(シャドウ)にもなっています。こうした役割の変化が物語に深みを与えるんですね。​
キャラクターの役割を決めるとき、最低限必要なのは主人公、パートナー、ヒロイン、メンター、ピエロ、厄介者、ライバル、ラスボス、小悪党の9パターンとされています。また、別の考え方では、ヒーロー、メンター、ガーディアン(門番)、ヘラルド(使者)、シェイプシフター(変化者)、シャドウ(悪役)、トリックスター(道化師)の7つの役割に分類する方法もあります。
参考)物語に必要なキャラクターの7つの役割とアルスラーン戦記の登場…

コマ内でのキャラ配置が持つ意味

漫画のコマの中でキャラクターをどこに配置するかによって、読者が受け取る印象は大きく変わります。日本の漫画は右から左へ読むため、画面右側に立ち左を向いているキャラは「未来に向かう」印象を、画面左側に立ち右を向いているキャラは「それを止めようとする、過去に引き戻す」印象を与えるんです。
参考)目線と人物配置を考えて行う!効果的な演出テクニック

舞台演出の考え方を取り入れると、さらに深い意味が見えてきます。舞台左(下手)の役者は「挑むもの、立場の弱いもの、小さきもの」という意味合いになり、舞台右(上手)の役者は「挑まれるもの、立場が強いもの、偉大な人物」という意味合いになるんですね。​
例えば、魔王と勇者が対決するシーンでは、勇者を画面左に、魔王を画面右に配置すると自然に見えます。この配置を逆にすると、魔王が伺いを立てているように見えたり、勇者が主導権を握っているような印象に変化してしまうんです。​
セリフのある会話シーンでは、最初に喋るキャラを右側に、次に喋るキャラを左側に配置するのが基本です。この基本を守ることで、読者がスムーズに読み進められる漫画になります。​

立ち位置の入れ替えで心境変化を表現

漫画ならではの表現技法として、キャラクターの立ち位置を意図的に入れ替えることで心境の変化を視覚的に示す方法があります。例えば、最初は相手を止めようとしていたキャラが、最後には相手側に立って未来へ向かう展開を描く場合、そのキャラの立ち位置を左から右へ移動させるんです。​
ただし、キャラクターの左右の位置が急に入れ替わると読者が混乱してしまうリスクがあります。そこで工夫が必要になるんですね。効果的なテクニックは、手前と奥の奥行きを使って、左右だけを入れ替える方法です。​
具体的には、入れ替わる前のコマで、キャラAを奥に、キャラBを手前に配置しておきます。そして入れ替わった後のコマでも、キャラAは奥、キャラBは手前のまま維持し、左右の位置だけを変えるんです。この方法を使うと、読者が自然に立ち位置の入れ替わりを理解できるようになります。​
向かい合っているキャラクターは対立構造を生み出しますが、十分に距離を離したり、手前のキャラをカメラ目線にすることで、対立感を弱め仲良くなったイメージを表現することもできます。このように、コマ内でのわずかな配置の違いが、キャラクター同士の関係性を雄弁に語るんですね。​

キャラクターバランスをマッピングで整理

魅力的なキャラクターを複数配置するには、マッピングという手法が役立ちます。縦軸と横軸に外見(かっこいい・悪い)と内面(性格明るい・暗い)などの指標を設定し、各キャラクターがどの位置に来るかプロットするんです。
参考)まんが家養成講座[キャラクターの創り方—マッピングを活用しよ…

主人公はかっこよくて性格明るいエリアに配置されることが多いのですが、あえて中心の「無色透明で目立たない」エリアに配置する方法も最近は人気です。普通の高校生が事件に巻き込まれたり、何も知らなかった男が能力に目覚めていくような展開では、この立ち位置が効果的なんですね。​
すべてのキャラをマッピングして、特定のエリアに集中しているなら、似通ったキャラが多すぎて物語が広がらない可能性があります。バランスよく散らばるように配置することで、キャラクター同士の対比が生まれ、ストーリーに深みが出るんです。​
小説や漫画の登場人物を考えるとき、「静と動」「ボケとツッコミ」の2軸で4パターンに分類する方法もあります。動のボケ(お調子者)、動のツッコミ(熱血)、静のボケ(天然)、静のツッコミ(冷静)という4人を配置すれば、十分に物語を進められるんですね。
参考)登場人物の方向性を考える 〜4パターンだけで大丈夫!〜|染島…

一度決めたキャラの立ち位置は、ストーリーが進んでも基本的に変えないのが原則です。ただし主人公の場合は例外で、成長を描く物語では立ち位置を変化させることで読後感が良くなります。その場合は、なぜ主人公が変わったのかをエピソードできちんと説明する必要があります。​

立ち位置を活かした構図テクニック

キャラクターの立ち位置を活かすには、構図の選び方も重要です。ロングの構図にすれば、背景や視線の先、キャラの立ち位置など1コマに多くの情報を入れられます。状況やキャラの説明が必要なシーンでは、この構図が効果的なんですね。​
カメラの位置やアングルを意識することで、キャラクターの立ち位置の切り返しを防ぐこともできます。視点をいきなり変えてしまうと、キャラクターの左右が入れ替わって見えて読者が混乱するんです。カメラを固定して考えることで、自然な配置が維持できます。
参考)漫画の描き方(4) 初心者がやってしまいがちなことコミPo!…

キャラクター同士の関係性を相関図にすると、立ち位置の関係が視覚化されてわかりやすくなります。好き嫌いやその程度まで可視化することで、そのキャラが出てきただけで主人公の立ち位置がわかり、読者が感情移入しやすくなるんです。​
脇役をたくさん出せばいいわけではなく、その関係性を考えて必要最小限にとどめるのがポイントです。物語を動かすのは脇役の立ち位置にいる登場人物でもいいのですが、最後にケリをつけるのは主人公であるという約束は守る必要があります。登場人物のバランスを取り、ストーリーを動かしていく配置を意識することで、魅力的な漫画が生まれるんですね。
参考)キャラクターとストーリーの動かし方(初心者向け小説の書き方の…

小学館の漫画家養成講座では、キャラクターの位置は読者目線を意識することが重要だと説明されています。

 

まんが家養成講座[キャラクターの創り方―マッピングを活用しよう!]
4コマ漫画でのキャラ配置の具体的なテクニックは、こちらの記事で詳しく解説されています。

 

4コマのキャラの位置について【4コマ解説】