肘打ちの曲を漫画で描くための腕・ポーズ徹底解説

肘打ちの曲を漫画で描くための腕・ポーズ徹底解説

TikTokで話題の「肘打ち界隈」の曲・セカンドバッカー「犬とバカ猫」をきっかけに、漫画で肘打ちシーンを描きたい人が急増中。肘頭や前腕の比率など、リアルに見せるポイントを徹底解説します。あなたは正しく描けていますか?

肘打ちの曲を漫画で描くための腕・骨格・ポーズの完全解説

前腕を上腕より長く描くと、絵全体がリアルに見えて読者の没入感が上がります。


この記事でわかること
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肘打ち界隈の曲とは?

セカンドバッカー「犬とバカ猫」がきっかけで広まった「#肘打ち界隈」の背景と、漫画との接点を解説します。

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肘の骨格と正しい描き方

肘頭・内側上顆など、リアルな肘を描くために必要な骨格知識と線画のコツをまとめています。

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肘打ちアクションポーズの描き方

腕の角度・シワ・重心の取り方など、動きのある肘打ちシーンをコマに収めるための実践的なポイントを紹介します。


肘打ちの曲「犬とバカ猫」と肘打ち界隈とは何か


2025年夏、TikTokを中心に「#肘打ち界隈」というムーブメントが爆発的に広まりました。その火付け役となったのが、2人組バンド・セカンドバッカーのドラマー「まさみ」さんです。彼女がスマートフォンを床に置き、バンドの曲「犬とバカ猫」のサビに合わせてカメラへ向かって肘打ちをする動画を投稿したことで、「肘打ち界隈」というフォーマットが生まれました。


「○○で今これ」というテロップとともに肘打ちをするスタイルが急速に拡散し、TikTok上のUGC再生数は11億回を突破、Instagramでも8,700万回を超えるという驚異的な数字を記録しています。これは単なるバズではなく、楽曲そのものの持つキャッチーなサビとリズムが動きとぴったり合致したことが大きな理由です。


漫画を描く人にとってこの流行が重要なのは、「肘打ち」という動作そのものが、アクションシーンの基本的な動作の一つだからです。格闘系漫画やバトル漫画で頻繁に登場する肘打ちを自然に描くには、腕の骨格や関節の仕組みをきちんと理解する必要があります。結論はシンプルです。流行の動きを漫画で描くには、解剖学の基礎が欠かせません。


セカンドバッカーはギターボーカルの「こうへい」とドラムの「まさみ」の2人組で、2023年3月から活動を開始したバンドです。「犬とバカ猫」はEP『言えなかったことばっかりだった。』の先行配信シングルとして2025年7月にリリースされ、オリコンTikTok週間チャートで3週連続1位を記録しました。歌詞は「好きなのにうまくできなかった」というほろ苦い感情を描いた青春ラブソングで、多くの若者の共感を呼んでいます。


セカンドバッカー「犬とバカ猫」の楽曲分析と肘打ち界隈バズの経緯(USENミュージック)


漫画のアクションシーンでも肘打ちは登場頻度が高い動作です。この流行を漫画の作画に活かすためには、肘打ちという動作の構造的な理解が第一歩になります。


肘打ちの曲に合わせて動く腕の骨格と肘関節の仕組み

肘打ちを描くうえで絶対に押さえておきたいのが、「肘頭(ちゅうとう)」という骨の突起です。肘の後ろ側に触ると硬く飛び出ている部分がまさにそれで、腕を曲げたときにシルエットとして最も目立つポイントになります。肘頭を意識せずに描くと、曲がった腕が丸くぼんやりとした印象になり、動きのキレが失われてしまいます。


肘頭が原則です。


さらに見逃せないのが「内側上顆(ないそくじょうか)」と呼ばれる骨です。肘を曲げたときに内側に少し出っ張って見えるこの骨を陰影やシルエットで軽く表現するだけで、肘のリアリティが格段に向上します。「肘頭(外側・後ろ側)」と「内側上顆(内側・前寄り)」の2点をセットで意識するのが、説得力ある肘の描き方の基本です。


腕の骨は、上腕と前腕の2つのパートに分かれています。肩から肘までが「上腕」で、上腕骨という1本の骨が走っています。肘から手首までが「前腕」で、橈骨(とうこつ、親指側)と尺骨(しゃっこつ、小指側)の2本の骨が並走しています。実は前腕のほうが上腕より若干長く、この比率を無視して上腕と前腕を同じ長さに描いてしまうのが初心者に多い典型的なミスです。


意外ですね。


手のひらの向きによって、腕の見た目の形そのものが変わることも重要な知識です。手のひらを正面に向けると腕に自然な角度がつき、手のひらを後方に向けると腕の見た目はほぼ一直線になります。肘打ちのポーズでは肘を鋭く曲げて打ち込む動作が基本なので、手の向きと腕のシルエットの関係を理解していないと、不自然なポーズになりやすくなります。


腕の骨格構造と手の向きによる肘の見え方の違いを図解で解説(sanaimiyuki.com)


腕を曲げると肘の両脇に肉が押し出されて膨らみが生まれます。この膨らみを左右に少し描き加えるだけで、肘打ちのポーズに力強さと立体感が生まれます。肘付近は骨感と筋肉の膨らみを両方意識するのが条件です。


肘打ちの曲が生んだポーズを漫画で表現するアタリの取り方

肘打ちシーンをコマに収めるとき、多くの初心者がやりがちなのが「腕を先に描く」ミスです。まず体幹(胴体)の向きとキャラクターの重心を決め、そこから肘の位置を確定させてから腕を描く順番が正解です。つまり「体→肘の位置→手」の順序が基本です。


アタリを取るときは、肘の関節を「球体」として意識することが有効です。複雑な関節部分を球体1つとシンプルに捉えると、どんな角度で曲がっていても形が破綻しにくくなります。上腕と前腕はそれぞれ円(筒)として描き、その間に球体の関節を挟むイメージで組み立てると、立体的な腕がスムーズに描けます。これは使えそうです。


肘打ちという動作は体の重心を乗せた打撃なので、ただ腕だけを曲げて描いても迫力が出ません。体幹がしっかりと打ち込む方向に向いているか、肩の高さが左右でずれていないかを確認しましょう。格闘技の実際の肘打ちを参考にすると、体を捻りながら肘を水平または斜め上から打ち込む動作が多く、その「捻り」をキャラクターの胴体の向きで表現することが臨場感のポイントになります。


肘を鋭く曲げると骨の先端が尖った形状になり、これが漫画の線画でも「角張った尖り」として表現されます。肘を丸く描いてしまうと動作の鋭さが失われ、「攻撃している」というよりも「ただ曲げている」という印象になってしまいます。角張った描写が正解です。


CLIP STUDIO PAINTのアセットには、肘打ちポーズを3Dモデルで再現した素材(コンテンツID:2205707)が無料公開されており、格闘漫画やバトルイラストの作画資料として活用できます。ポーズの全体像を確認しながらアタリを取ることで、角度のミスを大幅に減らせます。


肘打ちポーズ3Dモデル素材(CLIP STUDIO ASSETS・無料)


肘打ちの曲に合わせた動きを表現する服のシワとエフェクト

肘打ちシーンで腕のシルエットが描けたら、次に意識すべきは服のシワです。シワの描き方ひとつで、静止した絵が「今まさに動いている」絵に変わります。


肘を強く曲げたとき、服のシワは肘の「くびれ」に向かって放射状に集中します。これは布が関節の折れる方向に引っ張られるためで、シワの線が肘の頂点から外側へ扇状に広がる形が基本です。肘の内側には圧縮されたシワが重なり、外側(肘頭のある後ろ側)には張り出した骨の形を強調する縦のシワが入ります。このシワの方向を逆にしたり、均等に描いてしまうと服の素材感と動きの両方が失われます。


打撃の瞬間の「スピード感」は、効果線と集中線でも補強できます。ただし効果線を多用しすぎると、肝心の肘の形が見えなくなるという落とし穴があります。効果線は「腕が向かう方向」に合わせて描き、肘の先端から放射するように流すのが効果的です。


アクションシーンのコマ割りも重要なポイントです。肘打ちの「ためのポーズ(腕を引く動作)」を前のコマに描き、次のコマで「打ち込む瞬間」を描く2コマ構成にすると、動作の連続性が生まれて迫力が増します。1コマだけで肘打ちを表現しようとすると、どうしても静止した印象になりやすいです。コマを分割して描くのが基本です。


前腕の筋肉の膨らみもシーンの力強さを左右します。前腕の肘側半分は腕橈骨筋などの筋肉で膨らんでいて、手首に向かってなだらかに細くなっていきます。この膨らみと細まりをきちんと描くことで、腕が単なる筒ではなくなり、力が入った動作の説得力が高まります。


肘打ちの曲から着想した漫画キャラのアクションポーズ練習法

肘打ちのような複雑な動作ポーズを描く力を伸ばすには、「観察→模写→応用」の順で練習するのが最も効率的です。肘打ち界隈の動画は良質な動作参考素材になります。なぜなら実際の肘打ちの動作が大量に公開されており、さまざまな体型・角度・服装での腕の動きを無料で観察できるからです。


POSEMANIACS(ポーズマニアックス)という無料の3Dデッサン練習サイトでは、60秒や30秒の制限時間内に人体ポーズを素早く描く練習ができます。肘打ちのような腕を曲げた状態のポーズを集中的に練習することで、関節の角度感覚が身につきます。毎日15分程度の継続で、3ヶ月後にはアタリの精度が目に見えて変わります。


模写の対象として選びたいのは、既存の格闘漫画のアクションシーンです。特に肘打ちや打撃技が頻繁に登場するバトル漫画のコマは、プロが「どの角度でどのタイミングを切り取るか」を計算して描いた優秀な教材です。ただし単に上からなぞるだけでは効果が薄く、「なぜこの角度にしたのか」「シワはなぜここに集中しているのか」と理由を考えながら模写することが重要です。


独自の練習法として効果的なのが、「自分で肘打ちをやってみながらスマートフォンで撮影する」方法です。まさみさんの「肘打ち動画」のように自撮りするだけで、腕のシルエット・肘の形・服のシワの動きを一度に確認できます。の前での動作観察と組み合わせると、特定の角度で腕がどう見えるかという感覚が短期間で定着します。


腕が腕らしく見える10のポイント・肘から前腕の膨らみと手首の描き方(ReLイラストレーターnote)


デジタル作画ツールの「CLIP STUDIO PAINT」には3Dデッサン人形機能があり、任意のポーズを自在に設定して作画の下敷きにできます。肘打ちのような複雑なポーズも、3Dモデルで角度を確認してからアタリを取ることで、デッサンの狂いを大幅に減らすことが可能です。特に格闘シーンなど、自分でポーズが取りにくい場面での活用が便利です。


肘打ちの曲ブームが漫画表現にもたらした独自の描き方トレンド

「#肘打ち界隈」のバズは、漫画やイラスト界隈にも興味深い影響を与えています。TikTokやSNSで大量に投稿された肘打ち動画は、いわば「腕・肘の動作ライブラリー」として機能するようになりました。イラストレーターや漫画家志望者の間では、肘打ち動画をポーズ参考として活用する動きが見られます。


これまでのアクションシーンの参考資料といえば、格闘技の試合映像や専門のポーズ資料集が主流でした。しかし肘打ち界隈の動画は「一般人が日常着で肘打ちをする」という状況が大量にアーカイブされており、動きのリアリティと日常的な服のシワの参考として非常に活用しやすいという特徴があります。格闘技の映像では道着やグローブが多く、服のシワ表現の参考にしにくかった問題が解消されます。


これが実は漫画を描く人にとっての大きなメリットです。肘打ち動画が無数に存在することで、「正面から見た肘打ち」「斜め上から見た肘打ち」「横から見た肘打ち」など、多様な視点での参考資料が無料で手に入るようになりました。


また、セカンドバッカーの「犬とバカ猫」の歌詞が描く感情の揺れ——「好きなのに気持ちが空回りする」という後悔と衝動——は、漫画キャラクターの内面表現のヒントにもなります。アクションシーンだけでなく、感情的な場面でのキャラクターの動作(誰かを突き飛ばしたり、感情をぶつけたりする瞬間)の表現にも、肘打ちという動作は応用できます。


流行の曲と流行の動きを観察し、それを自分の作品の表現に昇華させる視点を持つことが、漫画表現の幅を広げる近道です。肘打ちのような一見シンプルな動作も、骨格・シワ・コマ割りをセットで理解することで、読者の記憶に残るシーンとして描き切ることができます。継続的な観察と練習が、最終的な画力の底上げにつながります。




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