負の感情の描き方|漫画表現と表情・心理描写

負の感情の描き方|漫画表現と表情・心理描写

漫画で負の感情を描くには表情だけでなく心理描写も重要なポイントです。怒り、悲しみ、恐怖、嫌悪感など、キャラクターの内面を表現するテクニックを具体的に解説します。あなたは負の感情を効果的に描けていますか?

負の感情の描き方

📖 この記事の内容
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怒りの基本表現

眉・目・口の三要素を使った怒りの段階的な描き方

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悲しみの表情テクニック

涙や口角の下げ方で感情の深さを表現する方法

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恐怖と不安の演出

線の使い方や瞳の描写で読者に伝わる恐怖表現

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嫌悪感の細かな表現

ジト目や鼻のシワで軽蔑や不快感を描写するコツ

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負の感情の怒りと眉・目・口の基本

漫画で怒りを表現する際、眉・目・口の三要素が基本となります。眉は逆ハの字にして眉間にシワを入れることが怒りの表現の要です。眉間が沈み込むことで自然と目も釣り目のように見え、この形を誇張してデフォルメすると効果的なんです。
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目の表現は怒りの強さによって変化させる必要があります。軽い怒りなら目を細める程度で、強い怒りは目を見開いて描きます。生理的には怒りが高まると目を大きく開くのは難しいですが、漫画表現では目を見開いて描くことで怒りの感情をより強調できるんです。目を見開くと黒目が相対的に小さく見え、「怒っている感」が増します。
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口元の表現も怒りの種類によって変わってきます。イライラした怒りは口角を下げたへの字口で表現し、激しい怒りは口を開けて歯を見せることで表現できます。また、怒りを抑えている状態では口を固く結んだ表情が効果的です。怒った顔の描き方では、眉は上向きにつり上げ、「眉間にしわが寄る」というイメージで眉を寄せながらつり上げていくことがポイントです。
参考)【笑顔・泣き顔・怒り顔】表情を描くときのポイントと描き分け方…

眉間や口元にも力をいれると、強い怒りを表現できます。さらに「怒りマーク」を入れたり、影を落としてみたりすると、怒りの感情が視覚的に伝わりやすくなるんです。
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怒りの表情表現と漫符の効果的な使い方について詳しく解説されています

負の感情の悲しみを段階的に表現する方法

悲しみの表情は感情のレベルによって段階的に描き分けることが重要です。レベル1の軽い悲しみでは眉を下げて口を並行にするだけで表現できます。レベル2になると眉を下げて口角を下げることで、より悲しみが深まった印象になります。​
レベル3では眉を下げ、目を細めて口角を下げることで、さらに感情の深さが表現できます。レベル4では眉を下げて目を細めてを流し、頬を少し染めて口角を下げて少し口を開けることで、泣いている状態を描写します。最高レベルの5では、眉を下げて眉間にシワをいれ、目を細めて涙を流し、頬を染めて口角を下げて口をあけることで、激しい悲しみを表現できるんです。​
涙の表現にもバリエーションがあり、「涙ぐむ」は涙がこぼれる一歩手前の感情で、感情の高まりを抑えたいときに最適です。「強がり」の表情は笑顔の中に涙を潜ませることで、感情の複雑さを表現できます。「泣き笑い」は涙と笑顔の同居で、別れや報われない感情の演出に効果的なんです。
参考)泣き顔を描くためのAIプロンプト一覧|涙・悲しみの表現に使え…

「声を殺して泣く」表情は、声を出せない状況下での泣き方として学校や夜などシチュエーション限定的に有効です。「じっと涙を流す」表情は感情を出さずに涙だけを流すもので、儚さや諦めの表現に適しています。​
悲しい顔の感情レベル別の詳細な描き分け方が紹介されています

負の感情の恐怖表現と線の使い方

恐怖表現では線を重ねることが重要です。特にシワや陰影を強調するために線を増やすことで、読者に恐怖感を与えられます。眉や口を不安定な線で歪ませることで恐怖で歪んだ線を表現でき、眉を微妙に曲げて固くなった様子を描くために表情は大きく動かさないのがコツです。
参考)恐怖を表す漫画の表情の描き方とテクニックで読者を震撼させる方…

下唇を上唇で覆うような形にすると「ゴクリ」とつばを飲み込んだような緊張感のある表情になります。汗や震え、青ざめた感じなども加えるといいでしょう。あまりに大きな恐怖を感じたときは、瞳を描かずに白目にして目を見開くと、受けたショックの大きさや気絶寸前という雰囲気を出せるんです。​
左右の目を非対称にすることも効果的な恐怖表現のテクニックです。片方の目を少し大きくしたり、目の高さや角度を変えたりすることで、歪んだ不気味さを強調できます。この非対称性が読者に「何かがおかしい」という違和感を与え、恐怖感を増幅させるんです。​
口元の描写も重要で、恐怖を表現する口元の基本は「歪み」と「非対称性」にあります。自然な笑顔とは異なり、恐怖や狂気を表す口元は左右のバランスが崩れています。口角の高さを左右で変えたり、口の開き方に差をつけたりすることで、不気味さや異常性を強調できます。​
恐怖表現の具体的なテクニックと読者を震撼させる方法が解説されています

負の感情のジト目で軽蔑と嫌悪を描く

ジト目は漫画やアニメにおいて軽蔑や呆れといった感情を表現する重要な表現手法です。この表情の最大の特徴は、目を下半月状や細目に描くことにあります。「じとーっ」という効果音が付くこともあり、この名称はそのオノマトペから来ているんです。
参考)軽蔑を表す漫画の表情の描き方とジト目の特徴と嫌悪感の表現テク…

ジト目は単なる軽蔑だけでなく、不信、不快、反抗、呆れ、企みなどの様々な負の感情を表現できる汎用性の高い表情です。キャラクターのタイプによっても、ミステリアスなキャラクター、無気力そうなキャラクター、サド気質のキャラクターなど、異なる印象を与えることができます。​
軽蔑と嫌悪は似ている感情ですが、表情表現においては微妙な違いがあります。軽蔑の表情では片方の口角を上げたり唇の端をしっかり閉じるのが特徴で、嫌悪の表情では鼻にシワを寄せることで嫌悪感を強調できます。これらの表情は混合することで、より複雑な感情表現が可能になるんです。​
恨みを抱いたキャラクターの目は、通常よりも細く描くことで感情の深さを表現できます。特に瞳(または黒目全体)を小さく描くと、ネガティブな感情が効果的に伝わります。激しい恨みになると、眉を極端に下げ、目を見開いて瞳を点のように小さくして、口は歪んで歯をむき出しにするような表現も効果的です。
参考)恨みの感情を表す漫画の表情の描き方とキャラクターの感情表現の…

軽蔑の表情とジト目の特徴について詳細な描き方が紹介されています

負の感情の不満とイライラの描写技術

不満の表情を描く際は眉間にシワを寄せることで緊張感や焦りを表現できます。眉を上げ気味にし、眉間に縦じわを入れると、不安や焦りの感情が伝わりやすくなります。特に眉の形を不満に合わせて調整することが重要なんです。
参考)不満を表す漫画の表情の描き方と眉間のシワや口角の下げ方

ジト目と呼ばれる表現も不満の表情として効果的です。これは目を細め、上目遣いにすることで表現でき、ハイライトを消すとより強い不満の感情を表すことができます。口角を下げてへの字口にすることも基本的なテクニックで、さらに強い不満を表現したい場合は、口をもっと大きく下げて、顎に力が入っている様子を描くと効果的です。​
奥歯に力が入っている様子を表現するために、頬のあたりに少し影をつけるテクニックもあります。不満を感じている時、人は無意識に奥歯に力が入ることがあり、それによって頬の筋肉が少し緊張します。この微妙な変化を表現することで、より説得力のある不満の表情が描けるんです。​
漫符を使った不満表現も重要です。うまくいかずに「ふぅ~っと口から息」をはいて心のため息をつく様子は、がっかり、つかれた、あきらめといった感情を表現できます。どうしたらいいか分からなくなっている状態では、頭上にこんがらがった糸がもじゃもじゃとあるように描くことで、なやむ、もやもや、軽いイライラ、混乱を表現できます。
参考)5分でわかる まんがぷちテク塾/vol.9 ネガティブな感情…

不満の種類 表情の特徴 効果的な描写ポイント
軽い不満 眉を少し下げる、口を平行に シンプルな表情で控えめに表現
強い不満 眉間にシワ、口角を大きく下げる 頬に影をつけて奥歯の力を表現
イライラ ジト目、ハイライトなし 上目遣いで不快感を強調
諦めの不満 力の抜けた眉、小さな口 漫符で魂が抜ける様子を追加

負の感情と心理描写を組み合わせる独自視点

負の感情を描く際、表情だけでなく心理描写を組み合わせることで、キャラクターの内面をより深く表現できます。行動や反応を描くことで感情を伝える方法があり、「彼は拳を握りしめ、机を叩いた」といった行動で怒りや驚きなどの感情を明確に示せるんです。
参考)キャラクターの感情を伝わりやすく描くコツ|川井利彦 小説家

内面の独白を使うテクニックも効果的です。「彼は心の中で叫んだ。『どうしてこんなことに…』」といった独白で、キャラクターの思考や感情がより直接的に読者に伝わります。比喩やメタファーを用いることで、感情を豊かに表現することもできます。「彼の心はのように冷たかった」という表現は、具体的な物や自然現象に例えることで、感情がより伝わるんです。​
環境や情景を使った心理描写も重要なテクニックです。厚いが空を覆い、冷たい風が吹きつける描写とともにキャラクターの心も暗く沈んでいる様子を表現することで、天候や光の変化を使って心理描写に奥行きを与えられます。晴天は希望、嵐は混乱、夕暮れは喪失感といった形で、読者に感情を間接的に伝えることができるんです。
参考)小説執筆に役立つ心理描写のテクニック

感情の中間を描くことでキャラの深みが出ます。多くのシーンでは感情が混ざり合っていて、その中間にこそキャラクターの本音や繊細さが表れることがあります。「嬉しいけど泣きそう」や「怒っているけど我慢している」など、単純に一つの感情だけを表現するのではなく、感情が揺れ動いている状態を意識して描くと、キャラの内面が見えてきます。​
キャラクターの感情を伝わりやすく描くための具体的なコツが解説されています

負の感情を強調する漫符とトーン技術

漫符(マンガ記号)は漫画における感情表現を強化する重要な視覚的要素です。怒りのシーンでは「怒筋」と呼ばれる縦線を額やこめかみに描くことで、怒りの強さを視覚的に表現できます。衝撃漫符として背景に稲妻や集中線を使うことで、怒りの激しさを強調できるんです。​
悲しいなどネガティブな感情を表現するシーンでは暗めのトーンを選びます。基本的には全体的にベタが多めの雰囲気トーンを使用することで、重く沈んだ雰囲気を演出できます。漫画原稿に使えるネガティブな感情トーンは70線で設定されており、レイヤープロパティから線数の調整も可能です。
参考)トーンで感情を演出する方法

モジャモジャ(squiggle)と呼ばれる波線状の漫符は、不満や苛立ち、困惑などの表情を表すのに効果的です。これはキャラクターの頭上や背景に描くことで、その場の雰囲気や感情を視覚的に伝えることができます。青ざめを表す縦線も不満や怒りを抑えている状態を表現するのに役立ちます。​
漫符の配置も重要なポイントです。キャラクターの頭上や背景に大きく配置すると怒りの強さが強調されます。複数の漫符を組み合わせることで、より複雑な感情表現も可能になります。例えば、怒筋と冷や汗を同時に使うことで「怒りながらも恐れている」といった複雑な感情を表現できるんです。​

漫符の種類 表現できる感情 使用場面
怒筋(縦線) 怒り、緊張 額やこめかみに配置
モジャモジャ(波線) 不満、困惑、イライラ 頭上や背景に配置
青ざめ線(縦線) 恐怖、不安、抑圧された怒り 顔の頬や額に配置
魂が抜ける表現 疲労、絶望、気力ゼロ 口から白いかたまりを描く

負の感情の表情を性格別に描き分けるコツ

同じ負の感情でもキャラクターの性格によって表現方法を変えることで、より個性的な表現が可能になります。クールなキャラクターの軽蔑表情は、あまり表情を変えずにジト目や目つきの鋭さで表現し、感情的なキャラクターは大げさな表情変化で軽蔑を表現します。​
子供っぽいキャラクターは口を尖らせたり頬を膨らませたりして不満を表現し、大人びたキャラクターは冷静に片方の口角を上げて皮肉っぽく表現するのが効果的です。ツンデレキャラクターの場合、悲しみと軽蔑を組み合わせた「ふてくされた表情」で複雑な感情を表現するのに最適なんです。​
感情表現が乏しいキャラクターは、何を考えているのか掴みづらく、観客に対して謎めいた印象を与えます。性格的特徴としてクールで冷静、感情の起伏が少なく理性的で落ち着いていることが多く、内向的で他人との関わりを避ける傾向があります。外見的特徴として無表情で表情が乏しく、淡々とした所作で感情を感じさせない動きや話し方をすることが一般的です。
参考)感情表現が乏しい - シナリオの書き方まとめwiki - a…

キャラクターの個性に合わせた負の感情表現を設計することで、読者に与える印象がより深まり、キャラクターの立体感が増します。例えば、ヒーローキャラクターが片方の口角を上げて笑うのは、敵に対する挑発的な表情であり、悪を軽蔑している表現として効果的です。​
キャラクター性格別の軽蔑表情の設計方法が詳しく解説されています