
表情はこの本を参考に描いています。
眉や口を不安定な線で歪ませることで恐怖で歪んだ線を表現できます。眉を微妙に曲げ、固くなった様子を描くために表情は大きく動かさない。下唇を上唇で覆うような形にすると「ゴクリ」とつばを飲み込んだような緊張感のある表情になります。
汗や震え、青ざめた感じなども加えるといいでしょう。
あまりに大きな恐怖を感じたときは、瞳を描かずに白目にして目を見開くと、ウケたショックの大きさや、気絶寸前という雰囲気を出せます。
引用:魅力的な「キャラ顔」の描き方 「恐怖の表情」より
瞳を極端に小さくして白目の部分を強調する「三白眼」は、鋭い目つきや狂気を表現するのに効果的です。逆に、瞳を異常に大きくすると不気味さが増し、恐怖感を与えることができます。プロのイラストレーターも指摘するように、ハイライトの扱いも重要です。恐怖表現では、ハイライトを完全に省くか、非常に小さく描くことで、生気のない目や冷たい視線を表現できます。
また、目の周りの描写も恐怖表現を強化します。目の下に隈(くま)を描き加えることで、不健康さや病的な雰囲気を演出できます。さらに、目元にシワを加えると表情の緊張感が増し、恐怖や狂気の表現がリアリティを増します。
プロの漫画家・楳図かずお氏の作品を参考にすると、線を重ねて目の周りの陰影やシワを強調することで、読者に強い恐怖感を与えています。この技法は現代の漫画家にも受け継がれている重要なテクニックです。
恐怖表現では、左右の目を非対称にすることも効果的です。片方の目を少し大きくしたり、目の高さや角度を変えたりすることで、歪んだ不気味さを強調できます。この非対称性が、読者に「何かがおかしい」という違和感を与え、恐怖感を増幅させるのです。
恐怖表現において、口元の描写は目と並んで重要な要素です。特に、恐怖を表す表情では口の形状や開き方、歯の見せ方によって印象が大きく変わります。
恐怖を表現する口元の基本は、「歪み」と「非対称性」にあります。自然な笑顔とは異なり、恐怖や狂気を表す口元は左右のバランスが崩れています。口角の高さを左右で変えたり、口の開き方に差をつけたりすることで、不気味さや異常性を強調できます。
特に効果的なのが歯の描写です。恐怖表現では、犬歯(糸切り歯)を強調することで獣性や危険性を表現できます。上の歯の3番目にある犬歯を尖らせて大きく描くことで、野生的で攻撃的な印象を与えられます。また、歯並びを不揃いにしたり、歯の間に隙間を作ったりすることで、不健康さや異常性を表現することも可能です。
口を大きく開けた恐怖表現では、舌の描き方も重要です。舌を長く伸ばしたり、先を尖らせたり、時には二股に分かれた「スプリットタン」のように描くことで、人間離れした恐ろしさを表現できます。また、口の周りにシワを加えることで、表情の緊張感や歪みをより強調することができます。
プロの漫画家の技法を見ると、口角が上がった「笑い」の形状でありながら、目が笑っていない「不一致な表情」を描くことで、より不気味さを増す手法が用いられています。この「感情の不一致」が読者に違和感と恐怖を与えるのです。
恐怖表現において、線の使い方は決定的に重要です。ポケモンカード公認イラストレーターのさいとうなおき氏も「恐怖を表現する時の1番のポイントは線を増やすことです」と断言しています。特に楳図かずお氏の作品に見られるように、線を重ねに重ねてシワや陰影を強調することで、読者に強い恐怖感を与えることができます。
線の量と質に注目してみましょう。通常の表情描写と比べて、恐怖表現では以下のような線の使い方が効果的です。
陰影表現も恐怖を強調するための重要な要素です。通常のキャラクター描写では均一な陰影が用いられますが、恐怖表現では以下のような工夫が効果的です。
また、背景と人物の境界をあえて曖昧にすることで、現実と非現実の境界が崩れるような不安感を表現することも可能です。これは特に心理的恐怖を描く際に効果的なテクニックです。
恐怖表現において、キャラクターの視線と構図の選び方は読者に与える印象を大きく左右します。さいとうなおき氏の指摘によれば、恐怖を表現する際は「キャラクターの目線を真っ正面に向ける」ことで、ガラス越しの世界ではなく、より直接的に恐怖感が伝わるようになります。
視線の方向性には以下のような効果があります:
構図についても、恐怖表現を強化するためのテクニックがあります。さいとうなおき氏が実践しているように、キャラクターをドアップで映し、情報量を絞ることで恐怖感を集中させることができます。また、以下のような構図の工夫も効果的です。
さらに、恐怖表現では「空間の使い方」も重要です。キャラクターの周りに不自然に広い空間を作ることで孤立感を強調したり、逆に窮屈な構図で圧迫感を表現したりすることができます。
デジタル時代の現在、恐怖表現の幅は従来の手描きテクニックだけでなく、デジタルツールやAIの活用によってさらに広がっています。特にStable Diffusionなどの画像生成AIは、恐怖表情のバリエーション作成に役立つ新しいツールとして注目されています。
Stable Diffusionを使った恐怖表情の生成では、特定のプロンプトワードが効果的です。例えば:
これらのプロンプトを組み合わせたり、強度を調整したりすることで、様々な恐怖表現のバリエーションを生成できます。AIで生成した表情を参考にしながら、自分の作品に取り入れる手法は、現代のデジタル漫画制作において新たな可能性を開いています。
デジタルツールの利点は、レイヤー機能を活用した表情の微調整が容易な点にもあります。例えば:
また、デジタルツールならではの効果として、ぼかしやグロー効果、ノイズの追加などで超自然的な恐怖表現も可能になります。例えば、目だけを不自然に光らせたり、肌の質感を変えたりすることで、人間離れした恐怖を表現できます。
クリップスタジオペイントなどのソフトでは、表情ライブラリ機能を活用して、自分だけの恐怖表情コレクションを作成することも可能です。これにより、作品全体で一貫性のある恐怖表現を効率的に実現できます。
Stable Diffusionを使った表情バリエーション生成の詳細ガイド
デジタルとアナログの技法を融合させることで、従来の漫画表現では難しかった複雑な恐怖表現も可能になっています。ただし、テクニックに頼りすぎず、キャラクターの心理や物語の文脈に合った恐怖表現を心がけることが、読者の心に残る作品づくりの秘訣です。