踏面の描き方|階段イラストのパース・消失点・二点透視で正確に描く

踏面の描き方|階段イラストのパース・消失点・二点透視で正確に描く

階段の踏面を正確に描くには、パースの基本と消失点の理解が必要です。建築基準法の寸法や蹴上げとのバランスも大切ですが、実際にどう描けば自然に見えるのでしょうか?

踏面の描き方

この記事で分かること
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踏面の基本寸法

建築基準法に基づく15cm以上の規定と、実用的な20~22cmの寸法を理解できます

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パースでの踏面の描き方

一点透視・二点透視図法を使った正確な階段の描き方と、消失点の設定方法が学べます

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アイレベルと踏面の見え方

視点の高さによって踏面の見え方が変わる法則と、描き分けのコツを習得できます

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踏面とは何か|階段の基本構造を理解する

踏面(ふみづら)とは、階段を登るときに足を乗せる水平な部分のことです。階段は踏面と蹴上げ(けあげ)という垂直な部分で構成されており、この2つの要素のバランスが階段の登りやすさを決定します。
参考)初心者も簡単!階段のイラストの描き方 - オンラインイラスト…

建築基準法では、踏面は15cm以上と定められています。これは足が載せられる最低限の寸法で、短すぎると使用できない階段になってしまうんです。一般的に登りやすいとされる踏面の寸法は20cm~22cm程度で、公共施設や住宅ではこの範囲で設計されることが多いです。
参考)階段の書き方とパースの基本!正面や斜め、横からの描き方は?

パースの3つの構成要素(横幅、奥行き、高さ)の中で、踏面は奥行きに相当する部分になります。漫画やイラストで階段を描くとき、この奥行きを消失点に向かって正確に描くことが、自然な階段表現の鍵となるんです。
参考)階段、螺旋階段の描き方

踏面と対になる蹴上げは、1段あたりの高さを示し、建築基準法では23cm以下と定められています。登りやすい蹴上げの高さは18cm~20cm程度とされ、この比率を意識することで、リアルな階段を描けるようになります。​
階段には15cm以上という基準がありますが、登りやすい階段を描くなら20~22cmを目安にすると自然です。

 

踏面の描き方の基本|一点透視図法での手順

階段の踏面を描くには、まずアイレベル(目線の高さ)と消失点を決めることから始めます。アイレベルの高さを150cm(1500mm)に設定した場合、このラインより下にある階段の踏面は見え、上にある踏面は見えなくなるという法則があるんです。​
一点透視図法で正面の階段を描く場合、まず地面に真横の線を引いて階段の幅を決めます。次に消失点V1から90度に直線を引き、階段を登った先の消失点V2を決めます。この2つの消失点を使うことで、正確な踏面の奥行きを表現できるんです。​
一段目の踏面を描くときは、地面から消失点V2に向かって線を引き、三角形を作ります。そして階段の両端から垂直に線を引いて高さを決め、長方形の上の両端から消失点V1に向かって線を引くと、色のついた部分が一段目の踏面になります。​
二段目以降は、一段目の手前の両端から消失点V2に向かって補助線を引き、一段目の奥から垂直線を引きます。この補助線と垂直線の交点が二段目の高さになり、交点と消失点V1をつなぐことで二段目の踏面が描けます。三段目以降も同じ手順を繰り返していくだけです。​
蹴上げの高さを1段15cmにする場合、アイレベル150cmなら階段は10段になる計算です。アイレベルより下の部分を10等分して目盛りをつけ、消失点と目盛りをつなげることで、均等な踏面を描けます。​
階段データ分析ツールを活用することで、正確な寸法に基づいた階段設計が可能です。

 

階段のパターンまとめ【一級建築士製図】

二点透視図法での踏面の描き方|斜めアングルの階段表現

二点透視図法で階段を描く場合も、基本的な考え方は一点透視図法と同じです。ただし消失点が2つになるため、踏面の奥行きと階段の横幅の両方にパースがかかることを意識する必要があります。
参考)簡単に描ける! 一点、二点透視図法の階段の描き方 わかりやす…

まずアイレベル上に2つの消失点を配置し、階段の接地面となる四角形を描きます。次に傾斜面を描くために、上空に追加の消失点を設定します。この追加消失点は、階段の勾配を表現するために必要な特別な消失点なんです。
参考)消失点を追加する背景描画法!階段の斜めと正面の描き方と坂道・…

踏面を描くときは、まず一段目の踏面のラインをアイレベル上のパースに沿って伸ばし、傾斜面を示す四角の下線に合わせます。踏面と下線の交点から縦線を伸ばして四角の上線に合わせ、横線も伸ばして踏面を完成させます。​
そしてまた踏面の線をパースに沿って伸ばし、四角の下の線に合わせて次の段を描く…という手順を繰り返していきます。アイレベルより上の部分では、四角の下の線と横線の交点から縦線を伸ばすことで、踏面が見えない状態を正確に表現できます。​
斜めから見た階段では、踏面の幅が段ごとに変化して見えます。最下段からアイレベルに近づくほど踏面の幅は薄く見え、アイレベルより上では全く見えなくなります。この見え方の変化を理解することが、説得力のある階段表現につながるんです。​

踏面とアイレベルの関係|視点による見え方の違い

踏面の見え方は、アイレベル(視点の高さ)によって劇的に変化します。アイレベルより下にある階段の踏面は見えますが、アイレベルより上の踏面は見えなくなるという法則があるんです。​
具体的に見ると、アイレベルが4段目より少し高い位置にある場合、1段目から3段目の踏面ははっきり見えます。4段目の踏面はうっすら見える程度で、5段目以降の踏面は完全に見えません。アイレベルに近づくほど踏面は直線的に見え、離れるほど面積が広く見えるという特徴があります。​
高い視点(俯瞰)から階段を見る場合、地面が大きく広がり、踏面の面積も広く見えます。この構図は小ささや儚さ、客観的な印象を与える効果があり、都市の俯瞰風景や日常の一瞬を切り取る表現に適しています。​
低い視点(あおり)から階段を見上げる場合、足元の踏面は見えにくくなり、上に向かう線が収束していきます。この構図は迫力や威厳、力強さを表現するのに効果的で、建物の外観やヒーローの登場シーンなどに使われます。​
階段を描くときは人物とのバランスも重要です。現代の建築基準法では階段の高さは15cm以上で、20~22cmが登りやすい平均的な高さとされています。人物と一緒に描く場合、階段の高さが低すぎたり高すぎたりしないよう、人物とのバランスを考えながら描くことが大切です。​

踏面の陰影表現|立体感を出すテクニック

踏面を立体的に見せるには、陰影のつけ方が重要になります。階段は踏面を明るく、蹴上げにトーンをつけて影にすると、メリハリがついてより立体的に見えるんです。
参考)階段の陰影(手描きパースの描き方)│見るだけで上達する手描き…

踏面と蹴上げのコントラストを作ることで、階段らしい表現ができます。具体的には、踏面の面にトーンをつけずに白く残し、蹴上げの垂直面にトーンや影を入れることで、段差がはっきりと認識できるようになります。
参考)https://ameblo.jp/sakamotokazushi/entry-11519433479.html

階段のポイントとして、蹴上げは垂直に、踏面は水平面なので踏面の奥行きは必ずアイレベル上の消失点へ向かうことを覚えておく必要があります。この法則を守りながら影をつけることで、パースの整合性を保った陰影表現が可能になります。​
踏面の明暗差を活用すると、階段の段数や高さが視覚的に理解しやすくなります。特に漫画の背景では、限られたスペースで階段の情報を伝える必要があるため、踏面と蹴上げのコントラストは効果的な表現手法なんです。​
階段を清書する際は、アタリや余計な線を消してから、踏面の明るい部分と蹴上げの暗い部分を明確に分けることで、基本的な階段が完成します。この明暗のメリハリが、説得力のある階段表現につながります。​

実践的な踏面の描き分け|正面・横・斜めの違い

踏面の描き方は、階段を見る角度によって大きく変わります。正面から見た階段、横から見た階段、斜めから見た階段では、それぞれ異なるアプローチが必要になるんです。​
正面から見た階段では、踏面の奥行きが消失点V1に向かい、階段全体の形状が左右対称に見えます。線が重なりがちで描くのが大変ですが、すべての段を丁寧に描いていくことで、正確な正面階段が完成します。​
横から見た階段では、横幅(有効幅)のラインが消失点に向かうことに注意が必要です。横からの視点では勾配を決めることができるので、分度器で測ってから高さを決めても良いでしょう。踏面の奥行きは水平面として表現され、アイレベルより上の踏面は見えなくなります。​
斜めから見た階段は、二点透視図法を使うことが多く、踏面と横幅の両方にパースがかかります。アイレベルと2つの消失点V1、V2を決め、下から一段目を描き、補助線を引いて二段目以降を描いていく手順は、正面の階段と基本的に同じです。​
消失点より上になると踏面は見えないため、描く作業がラクになります。この法則を理解することで、どの角度から見た階段でも、見えるべき踏面と見えない踏面を正確に描き分けられるようになります。​
階段を描く際の角度の選択は、作品の雰囲気や伝えたい情報によって変わります。正面は安定感、横は勾配の明確さ、斜めは空間の広がりを表現するのに適しているんです。​
背景描画の基礎となるパース理論について、詳しく解説されています。

 

【第十四回】パース基礎:「追加消失点で階段を描く方法」を解説

踏面を活かした漫画表現|動線と空間演出のコツ

漫画で階段を効果的に描くには、踏面の見せ方が重要になります。階段の消失点を明確に設定し、踏面と蹴上げの比率を一定に保つことで、読者に違和感のない階段表現ができるんです。
参考)階段の踏面と蹴上の寸法で描く動線と空間

人物との比較によって寸法感を表現することも大切です。キャラクターが階段を登る・降りるシーンでは、踏面に足を乗せる位置やバランスを意識することで、リアルな動きが表現できます。階段の高さが低すぎたり高すぎたりすると不自然に見えるため、人物とのバランスを考えながら描く必要があります。​
階段を使った構図では、視点の高さによって物語の印象が変わります。登っている人物を下から見上げる構図は、その人物の力強さや目標に向かう姿勢を強調できます。反対に、降りている人物を上から見下ろす構図は、不安や孤独感を演出するのに効果的なんです。​
踏面の幅や奥行きを強調することで、階段の長さや高さを視覚的に表現できます。長い階段を描くときは、手前の踏面を大きく、奥の踏面を小さく描くことで、距離感が強調されます。この遠近感の表現が、空間の広がりや深みを生み出すんです。​
漫画の背景として階段を描く際は、必要以上に細かく描かずに、重要な部分だけを丁寧に描くメリハリが大切です。キャラクターが立つ踏面や視線の先にある踏面を詳しく描き、それ以外は簡略化することで、効率的で効果的な背景表現ができます。​
階段描画の実践テクニックと作例が豊富に紹介されています。

 

初心者も簡単!階段のイラストの描き方