
水平線は、パースを描く際に最初に引くべき基準線なんです。この線は「アイレベル」とも呼ばれ、観察者の目線やカメラを置いた高さを表します。
参考)【水平線】パースの知識をどう使えば良いかわからない人向けのコ…
漫画や背景イラストで水平線を正しく設定できると、画面全体に統一感が生まれるんですね。アイレベルより上にあるものは見上げる視点(アオリ)になり、下にあるものは見下ろす視点(俯瞰)として描かれます。
参考)透視図法で背景上達!使い分け・描き方基本で正しいパースへ -…
実は水平線と地平線は厳密には別物なんです。地平線は地面の先にある線ですが、アイレベルは目線の高さそのもの。ただし実務では、平らな地面に立っているシーンではほぼ同じ位置に来るため、同じように扱われることが多いです。
参考)【初歩の初歩】パース超基礎講座①~「アイレベル」って何?~
水平線を画面の下のほうに設定すると、空が広く見える割合が増えます。この構図は、天にそびえ立つ建物の大きさを印象づけたいときに効果的なんですね。
反対に水平線を画面の上に設定すれば、地面の見える範囲が広くなります。眼下に広がる森や海などを広大に見せたい場面で採用される手法です。
ゲームの背景イラストでは、画面内の上4:下6の割合になる高さに水平線を置くケースが多いんです。この比率だとキャラクター抜きで見てもバランスが良くなりやすく、実務でよく使われています。
参考:パースと水平線の基本を解説している記事です。
まず画面に横線を1本引きます。これが水平線(アイレベル)です。デジタルツールなら、Shiftキーを押しながらドラッグすると水平な直線が簡単に引けるんですよ。
参考)アイレベルでもう迷わない!初心者向けアイレベルの基本・デジタ…
次にこの水平線上のどこかに消失点を設定します。一点透視図法では、画面中央付近に消失点を置くのが基本なんです。端に置くとパースが歪んで絵が破綻しやすくなります。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/107
消失点から放射状にパースラインを引き、そのラインに沿って建物や道路を描いていきます。横線は水平に、縦線は垂直に描くことを心がけると、自然な一点透視の背景が完成します。
参考)http://oekakinado.web.fc2.com/itten.htm
参考:一点透視図法の具体的な描き方を動画と図解で解説しています。
基本的に水平線は画面に対して水平に引きますが、カメラやキャラクターが傾いている場合は水平線も連動して斜めになるんです。
判断基準はシンプルで、画面内のキャラクターが斜めに立って見えるなら水平線も傾けます。このとき、水平線はキャラクターの重心線(重力がかかる方向)に対して必ず90度で交差するんですね。
逆にキャラクターが真っすぐ立って見えるシーンで水平線が斜めになることはほぼありません。もしキャラに対して背景だけが斜めに見える場合、水平線の角度設定を間違えている可能性が高いです。
初心者が陥りやすいミスとして、水平線を「地平線そのもの」だと思い込んでしまうケースがあります。すると建物の高さとアイレベルの整合性が取れず、不自然な絵になってしまうんです。
海や水面を描く際は、カメラの位置(アイレベル)よりも海面が高くならないよう注意が必要です。水平線より海面が上にあると、巨大な波のように見えてしまいます。
参考)海の描き方講座!デジタルで綺麗な海を背景に描くコツ - イラ…
漫画の背景作画では、消失点に向かう線があちこちに散らかっているラフの段階で水平線の位置を決めておくと作業がスムーズです。水平線を基準に各要素の高さや大きさを合わせていくことが、パース修正のポイントになります。
チェック項目 | 正しい状態 | よくある失敗 |
---|---|---|
水平線の位置 | キャラの目線と一致 | 海面が目線より高い |
消失点の配置 | 画面中央付近 | 画面端に設置 |
アイレベルの理解 | カメラの高さ | 単なる地平線と誤解 |
角度設定 | 基本は水平 | 不要な場面で傾ける |
参考:背景パースの消失点設定方法について詳しく解説されています。
主要キャラクターの目の位置に水平線を合わせる方法は、視線誘導がしやすいんです。見る側にキャラクターと同じ目線で世界を見せることができるため、没入感が高まります。
例えば子どもキャラの目線に合わせて水平線を低く設定すると、周囲の建物が巨大に見えるんですね。逆に空を飛ぶキャラの目線に合わせて高く設定すれば、雲海や地上の風景を俯瞰的に表現できます。
この手法のメリットは、水平線が画面中央付近にあっても「キャラクターの視点」という情報があることで空間の大きさを伝えやすくなる点です。アオリや俯瞰の効果を自然に演出できるんですよ。
漫画では、キャラクターがいない背景のみのコマで水平線を活用すると効果的なんです。通常の4:6比率だと退屈な構図になりがちなので、意図的にアオリ気味や俯瞰気味にすると見栄えが良くなります。
見開きページで複数のコマに同じシーンが続く場合、水平線の高さを統一することで空間の連続性を表現できます。読者が無意識にカメラの位置を把握できるため、場面の流れが自然になるんですね。
アクションシーンでは、あえて水平線を斜めに設定してダイナミックさを演出する手法もあります。このとき重心線と水平線が直角に交わるルールを守れば、激しい動きの中でも空間の整合性が保たれます。
参考:透視図法と水平線の関係を実例付きで解説しています。
クリップスタジオなどのデジタルソフトには、水平線を自動で設定できるパース定規機能があるんです。写真を参考にする場合、既存の建物のラインから水平線の位置を逆算して設定することもできます。
参考)写真を参考にパース定規を設定して背景を描く href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/1197" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/1197quot;定規・パース定…
平行線定規を使うと、水平線に対して常に平行な線を引けるため作業効率が上がります。描画中にCtrlキーを押せばツールを切り替えずに角度調整できる機能も便利なんですよ。
ただしデジタルツールに頼りすぎると、水平線の意味を理解せずに機械的に設定してしまうリスクもあります。基本的な理論を理解したうえでツールを活用することが、実務では重要なんです。
参考:クリップスタジオでのパース定規の使い方を詳しく解説しています。
放射線構図では、水平線上の消失点から放射状に線が伸びる構図を作ります。道路や線路など、奥行きを強調したい場面で効果的なんですね。
参考)放射線構図とは 基本とコツ(風景画の描き方 構図編) - ア…
消失点を画面の中央に置くと左右対称で安定感のある構図になりますが、単調になりがちです。そこで消失点を上下左右にずらすことで、空間に動きや変化を持たせることができます。
しゃがんだり歩道橋に上がったりと、観察者の視点の高さを変えるだけで水平線の位置も変わるんです。日常では見られない角度から描くことで、見る人に新鮮な印象を与えられます。