
モヤを描く際の最初のステップは、全体の構造を理解することなんです。デジタルイラストでモヤを描く場合、まず新規レイヤーを作成してから作業を始めると、後から調整しやすくなります。
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モヤの色選びでは、背景の色をスポイトツールで取得し、その色を少し明るくしたものを基本色として使うのが効果的です。例えば背景が青系の風景なら、その青よりもやや白みがかった淡い色を選択することで、自然なモヤの表現ができます。
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初心者の方は、最初からカラーで描くよりも、グレーで下描きしてから色を乗せる方が失敗しにくいという特徴があります。この方法なら、モヤの濃淡だけに集中して描くことができるんです。
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モヤを配置する位置も重要で、山の麓や森の奥、水辺の境界線などに描くと、より効果的に雰囲気を演出できます。
デジタルペイントソフトには、モヤの描写に特化したブラシがいくつか用意されているんです。CLIP STUDIO PAINTでは「U-Cloudブラシ」が特に優れていて、雲や煙のような複雑な変化を簡単に描けます。このブラシは筆圧で不透明度と太さが変化するため、自然なグラデーションを作りやすい特徴があります。
参考)雲を描いてみよう②【雲ブラシの種類と特徴】
MediBang Paintユーザーには「雲2」ブラシがおすすめで、ブラシサイズを大きくすると透明感が出てふんわりした質感になります。不透明度を下げて使えば、ぼんやりとしたモヤも描けるんです。
「もこもこ水彩」ブラシは、遠くにぼんやりと広がるモヤを広範囲に描きたいときに使いやすく、霧のように淡い表現に向いています。描画間隔を狭くすると密度高めのもこもこ感を出すこともできます。
これらのブラシは無料でダウンロードできるため、まず試してみて自分の描き方に合うものを見つけるといいでしょう。
アナログで描く場合は、水を含んだ刷毛を左右に振りながらぼかす技法を使うと、ふんわりとしたモヤの質感を表現できます。youtube+1
モヤを使った空気遠近法は、風景に大きな距離感を生み出す強力な技法なんです。この方法では、遠景の景色ほど淡い色で表現し、近景は濃い色とコントラストを強めに描きます。
具体的な手順としては、まず遠景から描き始めて、徐々に手前にかけて描きこみ量を増やしていくのがポイントです。遠くの山や建物は、空気中のチリや大気の厚みの影響を受けて淡くぼやけて見える現象を利用するんです。
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プロの技法として、絵を描いていて思ったように距離感が出ないときの裏ワザがあります。それは、うすーく塗れるブラシを選択して、やんわりと霧のようなタッチを入れることです。こうすることで、近景と遠景のコントラストの差がよりハッキリとして、山までの距離感が劇的に遠くなります。
色の濃淡でメリハリをつけることも重要で、モヤを濃淡で描き分けることで自然な奥行きが生まれます。山の下部分や境界線のところにふわふわした霧を描き加えるだけでも、雄大なスケール感を表現できるんです。
1km程度の距離でも、青みがかったり霞がかったように見える効果を活用すると、より説得力のある風景になります。
効果的なモヤ表現には、適切なレイヤー構造が欠かせないんです。基本的な構造は、背景レイヤーの上に複数のモヤ用レイヤーを重ねていく形になります。
最初のレイヤーでは、U-Cloudブラシなどを使って雲のシルエットにモヤっぽい感じを描き足します。ただし、このブラシだけを使うとメリハリがなくなってしまうため、シャープなエッジが欲しい部分は別のブラシを使い分けることが大切です。
濃淡の付け方には段階的なアプローチが効果的で、最初は薄めの色で全体のベースを作り、後から濃い部分を重ねていきます。白を刷毛に取ってポンポンと叩くように乗せ、左右に振ってぼかすという動作を繰り返すことで、ふんわりとした質感が生まれます。youtube
グラデーションレイヤーを活用する方法もあり、普通のトーンの代わりにグラデーションにすることで奥行きや陰影を出せます。時間がないときにも、この手法は特におすすめなんです。
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複数のブラシを組み合わせる際は、S-Oilブラシでシャープな部分、G-Paperブラシでアナログっぽい質感、U-Cloudブラシでモヤの質感というように、目的に応じて使い分けると良いでしょう。
漫画でのモヤ表現は、キャラクターの感情や場面の雰囲気を強調する重要な演出技法なんです。例えば、キャラクターの背後に黒いモヤを描くことで、不安や恐怖といった心理状態を視覚的に表現できます。
参考)https://twicomi.com/manga/ribon_mangasho/1927660662660252078
黒いモヤを描く場合、CLIP STUDIOでは「雲ガーゼ」というブラシが似た感じに描けると評価されています。このようなモヤは、モノクロ漫画の作画クォリティを上げるための重要な要素なんです。
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吐息や白いモヤを表現する際には、アナログでペン書きしてコピックで色を塗る場合、白い部分を残しておくか、修正液やホワイトペンを使う方法があります。デジタルの場合は、レイヤーを分けて描くことで調整が容易になります。
参考)ハイキューの絵を模写したいのですが、吐息とか白いモヤはどうや…
漫画の背景におけるモヤは、スプレーをちょっとかけたり、トーンを削って変化をつけることでも表現できます。グラデーショントーンを活用すれば、柔らかいモヤの質感を簡単に作れるんです。
実際の制作現場では、モヤを使うことで「まんが作りのモヤ(疑問)をズバッと解明」するような、読者に分かりやすい視覚的な工夫が施されています。
モヤの色調整は、作品全体の雰囲気を決める重要な工程なんです。オーバーレイモードのレイヤーを使って色を調整すると、自然な色味のモヤを作れます。具体的には、彩度の低めな青(R50/G104/B164など)を使うと落ち着いた雰囲気になります。
仕上げの段階では、モヤの境界線をぼかす処理が効果的です。水を含んだ筆でところどころぼかしていくと、より自然な質感になります。デジタルの場合はガウスぼかしを少しだけかけることで、遠景の霧らしさが増すんです。
参考)霧の風景-水彩画の描き方
コントラストの調整も重要で、色の濃いところと薄いところのメリハリをしっかりつけることがポイントです。山などのシルエットはぼかしつつ、手前の主要な被写体は濃い色で描くことで、モヤの効果が際立ちます。
最終的な仕上げでは、部分的に影を描き込むことも忘れないでください。モヤにも光と影があることを意識して、立体感を出すと作品のクォリティが格段に上がります。
プロの現場では、描き込んだ後に全体を見直して、必要な箇所だけに質感表現を加えるという手法が使われています。画面全体での描きこみバランスを取ることが、美しいモヤ表現の秘訣なんです。
風景画の描き方について、より詳しい技法を学びたい方はこちらも参考になります。
風景画の描き方・手順をアニメ背景のプロが初心者向けに徹底解説 | Tasogare-ya Illustration Institute
CLIP STUDIO PAINTのブラシテクニックについては、こちらの記事が詳しく解説しています。