学習曲線の漫画制作への活用と上達法

学習曲線の漫画制作への活用と上達法

漫画を描きたいと思っても、なかなか上達しないと感じたことはありませんか?それは学習曲線という成長の法則を理解していないからかもしれません。プラトー期の乗り越え方や効率的な練習方法を知れば、挫折せずに漫画を描き続けられるのでしょうか?

学習曲線の漫画における活用

📈 この記事で分かること
💡
学習曲線の基礎知識

漫画制作における成長パターンと停滞期の理解

🎯
実践的な上達方法

プラトー期を乗り越える具体的な練習テクニック

🚀
継続のコツ

挫折せずに漫画を描き続けるためのメンタル管理法

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学習曲線とは何か

学習曲線とは、練習や学習に費やした時間と上達の関係を示すグラフのことです。漫画を描く際にも、この曲線は重要な意味を持ちます。
参考)【イラストの上達方法】連載⑥ 成長の速度を理解して淡々と進も…

ドイツの心理学者ハーマン・エビングハウスが1885年に提唱したこの理論によれば、成長は直線的ではなく段階的に進むことが分かっています。最初はなかなか上達が感じられない「準備期」があり、その後伸びを実感できる「発展期」が訪れます。​
しかし、さらに上を目指すには再び停滞する「高原期(プラトー期)」が来るんです。この3つのステップを何度も繰り返しながら、技術は向上していきます。​

漫画制作における学習曲線の特徴

漫画制作の場合、学習曲線の特徴がより顕著に表れます。努力と成果の関係を直線的に考えている人ほど、挫折しやすいというデータがあるんです。
参考)〈中級の壁〉を超えるバカー続けられない人ほど努力と成果の関係…

初心者のうちは基礎的な技術を学ぶため、比較的短期間で中級レベルに到達できます。この時期のグラフの線は急速に上昇するため、モチベーションも高まりやすいです。
参考)プラトー期(学習停滞期)を乗り越えるための対処法とは

ところが中級レベルになると、描く内容が複雑になり難易度が上がってきます。同じ時間を練習しても、初心者の頃ほど目に見える成長を感じられなくなるんです。この段階でグラフの線はなだらかになり、やがてほぼ平坦な状態になります。​

学習曲線を活用した漫画の上達戦略

学習曲線を理解した上で、効果的な上達戦略を立てることが重要です。最も大切なのは、3ヶ月から1年は成果を気にせず、ひたむきに描き続けることなんです。​
実際に、毎日漫画を描き続けている人は、1年後には当初の半数以下、2年から3年続けている人は10%以下になっているというデータもあります。普通の人があきらめた後のタイミングで、大きな成果が現れてくるんです。​
人気漫画「鬼滅の刃」にも、学習曲線を表すエピソードが登場します。主人公が1年以上の訓練の後、半年以上かけても岩を斬れない状態が続きますが、ある日突然できるようになるシーンがあるんです。これは、努力と成果が比例しないという学習曲線の本質を表しています。​
イラストの上達方法を解説した専門家による詳細なガイドがあります。

 

イラストレーターによる成長曲線と継続のコツ

漫画初心者が実践すべき具体的な練習方法

漫画初心者が行うべき練習として、まず人の体について勉強することが外せないポイントです。キャラクターデザインは漫画の世界観を決定する要因の一つですが、人体を上手く描けなければストーリーに入り込めません。
参考)漫画の練習を効率よくするには | マンガのお仕事メディア

プロの漫画家が描いているキャラクターをトレースすることをおすすめします。トレースとは、原図の上に薄い紙を乗せてなぞる描き方のことで、線の引き方を体で覚えることができるんです。​
さらに画力を上げるには模写も必要になります。模写はトレースと異なり、見本となる絵を見ながら描くので、バランスや各パーツの割合を考える練習に繋がります。好きな漫画を丸々1冊または1話分模写することで、漫画的な感覚を掴むことができます。
参考)【初心者向け】漫画を描いてみたい人へ!漫画の練習方法紹介しま…

ストーリー作りの練習としては、最初から長編漫画や複雑なストーリーを考えるのは避けるべきです。まずは1ページ漫画や4コマ漫画から練習してみましょう。​

プラトー期における心理と対処法

プラトー期とは、学習や練習を重ねても上達をほとんど感じず、全く前進していないように感じる時期のことです。この期間、脳は習得した内容を使えるよう整理する作業を行っているといわれています。​
漫画家を目指す過程には、画力向上の停滞期やネームでの壁、投稿作品の落選など、精神的に苦しい局面があります。こうした時期をどう乗り越えるかが、プロになれるかどうかの分かれ道なんです。
参考)漫画家になるには?中学生・高校生・社会人向け完全ガイド【独学…

停滞期であってもあきらめることなく学習を続けていると、次第に応用が効くようになりレベルアップを感じるようになります。グラフは再び上向きの線を描き始め、上級レベルへと移行していくんです。​
マンネリやスランプといった状態に陥らないためには、連続した課題を持つことが重要です。新たに現れた課題に取り組み続けることで、気付いた時には随分と上手くなっているものなんです。
参考)最近「絵が上達しない、下手だな」と伸び悩んでしまう原因と対処…

学習停滞期の心理メカニズムと対処法について詳しく解説されています。

 

中級の壁を超えるための努力と成果の関係性

デジタル作画ツールを活用した効率的な学習

デジタルで漫画を描く場合、適切なツールの選択が学習曲線に大きく影響します。パソコン、iPad、スマートフォンのいずれかがあれば、デジタル漫画制作を始められます。
参考)デジタルの漫画制作に必要な道具とは?予算も目安にピッタリの方…

デジタル作画ソフトとしては、CLIP STUDIO PAINTが多くのプロに愛用されています。イラスト向きのPro版と漫画向きのEx版があり、Ex版の方が漫画を効率よく描ける機能が充実しているんです。​
初心者にはジャンプPAINT by MediBangもおすすめです。操作がシンプルで使いやすく、無料で使うことができます。アプリ内で新人賞の応募やコンテスト情報を見たりできるため、初心者の方に適したアプリとなっています。​
iPadで使えるApple Pencilは、反応速度が速くペンずれをほとんど感じないので優れています。持ち運びができるデジタルツールとして、昨今の需要が高く注目を集めているんです。​

学習曲線理論を漫画創作に応用する独自視点

学習曲線の理論を漫画のストーリー創作そのものに応用する視点も興味深いです。キャラクターの成長物語を描く際、主人公の上達過程をリアルな学習曲線に沿って描写することで、読者の共感を得やすくなります。

 

「鬼滅の刃」の成功要因の一つは、主人公の成長が非現実的な直線的上昇ではなく、実際の学習曲線に則った描写になっている点です。長い訓練期間と突然の飛躍というパターンは、読者自身の経験と重なり感情移入しやすいんです。​
また、描き手自身の学習曲線を作品に反映させることで、作品に深みが生まれます。初期作品と比較して技術的に成長した部分を意識的に作品内で表現することで、読者は作者の成長ストーリーも同時に楽しめるようになります。

 

練習の過程で描いた習作を定期的に見返すことも重要です。3ヶ月前、半年前の作品と比較することで、自分では気づきにくい成長を客観的に確認できるんです。この小さな成長の実感が、プラトー期を乗り越えるモチベーションになります。​
さらに、目標とは異なる方向に進んでしまうことも学習の一部として受け入れる姿勢が大切です。背景の練習をするつもりが花や草木を描く練習になってしまっても、結果的には描けるものが増えて上達していくんです。​