
夢の中を描くとき、現実世界とは異なる空間表現が重要になります。遠近法や重力を意図的に無視することで、夢特有の不思議な感覚を作り出せるんです。
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具体的には、空中に浮かぶ階段や島々、上下が逆転した世界、過剰に大きな月や太陽といった要素を取り入れることで非現実感が強まります。漫画の場合は、アオリやフカン構図を活用し、上から下へ、下から上へ広がる空間を意識すると、より壮大で幻想的な印象を与えられるんです。
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また、奥行きを出すために、手前から奥へキャラクターや物体を配置する方法も効果的です。体のパーツを使って立体感を出し、手前の部分を明るく、奥の部分を暗くするだけで、夢の中の不思議な空間が表現できます。
時空がねじれた構図や、キャラクターが複数の場所に同時に存在するような描写も、夢ならではの演出として有効なんです。
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色彩は夢の中のシーンを描く上で最も重要な要素の一つです。現実には存在しない配色や、あえて現実離れしたカラーコントラストを用いることで、見る人の感覚を刺激できます。
パステルカラーや淡い色合いを中心に、幻想的で夢のような世界観を表現する「ゆめかわいい」スタイルは特に人気があります。夜空に蛍光ピンクやエメラルドグリーン、人物に紫や銀色の肌を与える、青い光を中心に構成された風景といった、現実離れした配色が効果的なんです。
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漫画の場合は、トーンの使い方で雰囲気を大きく変えられます。全体的にベタが多めの雰囲気トーンを使用したり、カケアミや砂目の雰囲気トーンでざらっとした質感を出すことで、夢や回想シーンの感情を表現できます。
白や淡い色を多く含むレイヤーを重ねると、発光しているような表現も可能になります。色の彩度と明度を極端に使い分けることで、夢の中の非現実的な雰囲気がより強調されるんです。
漫画で夢の中を描く際、コマ割りは時間や空間の曖昧さを表現する重要な技法です。通常のシーンとは異なる独特のコマ配置によって、読者に「これは夢のシーンだ」と直感的に伝えることができるんです。
斜めのコマを活用すると、不安定な様子やショックを受けた様子、驚いた様子など、夢の中の不安定な感覚を表現できます。また、コマとコマの間隔を広くしたり、空白のコマを挟むことで時間の経過や曖昧さを伝えることが可能です。
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夢から覚めるシーンでは、突然目が覚める表現として白目をむいたビックリした表情を描き、漫画符号(効果線など)を加えることで驚きの度合いを強調できます。コマの大きさを急に変化させたり、枠線を意図的に崩すことで、夢と現実の境界を視覚的に表現することもできるんです。
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同じ大きさのコマを並べると「同時に起こった出来事」として認識させられるため、夢の中の不思議な時間感覚を表現するのに適しています。
夢のシーンでは、効果音と背景効果の使い方が非常に重要です。現実のシーンとは異なる効果を使うことで、読者に夢の中だと認識させることができるんです。
効果音の配置には工夫が必要で、キャラクターの頭上に配置すると思考や状態を表し、動作の周囲に配置すると動きを強調し、背景全体に配置すると場の雰囲気を表現できます。夢のシーンでは「ふわぁ〜」「ぼんやり」「ゆらゆら」といった柔らかい効果音が適しています。
背景効果としては、集中線や放射線、フラッシュなどの漫画の効果線を活用することで、キャラクターの感情や表情、シチュエーションの演出を補強できます。夢の中では、通常より柔らかくぼかした効果線や、光の粒子のような細かいドット、流線型のエフェクトが効果的なんです。
また、スパッタリングやドリッピングの技法を使うと、星屑や夢の粒子のような幻想的な効果を生み出せます。
夢から現実へ戻る目覚めのシーンは、物語の転換点として非常に重要です。このシーンを効果的に描くことで、読者に強い印象を与えることができるんです。
参考)漫画の目が覚めるシーンの表現と漫符の効果的な描き方
目が覚める瞬間の表現には複数のパターンがあります。ゆっくり目を開ける場合は穏やかな目覚めを表現でき、目を細く描いたり、まぶたが徐々に上がっていく様子を連続したコマで描写します。大きく見開いた目は驚きや恐怖で目が覚めた状況を表現するのに適しています。
効果音も重要で、穏やかな目覚めなら「ふわぁ〜」「むにゃ」、急な目覚めなら「がばっ!」「ぱちり!」、寝坊に気づくシーンでは「ぎょえ!」「がーん」といった効果音を使い分けます。
コマ割りの工夫として、夢の中では斜めや不規則なコマを使い、目覚めた瞬間に通常の四角いコマに戻すことで、夢と現実の対比を明確にできます。寝具や小物(シワのある枕、乱れた髪、ベッドサイドの時計など)を描き込むことで、現実世界に戻ったことをより説得力を持って表現できるんです。
参考リンクとして、実際の夢の風景を描くための技法について詳しく解説されているサイトがあります。
夢や幻想的な世界を描くテクニック | 画材や構図、色彩の選び方
また、漫画における寝起きや目覚めのシーンの具体的な描き方については、こちらが参考になります。