
パーティクル表現は、漫画やイラストに「空気感」や「躍動感」を与える重要な技法です。プロのアニメーターが多用するこの技法は、実は漫画制作でも非常に効果的なんです。
参考)もっとアニメを知るための撮影講座[泉津井陽一]第6回 エフェ…
従来は作画で表現されていた弾丸の連射や宇宙空間での光の点滅も、現在ではパーティクル技法で表現可能になっています。
パーティクルとは「粒子」を意味し、光や魔法、星空、ホコリなどを粒状に表現する技法です。
参考)光の演出をするなら「パーティクル」を有効利用する|Kenny
漫画制作においてパーティクルが効果的な理由は、静止画でありながら「動き」や「時間の流れ」を感じさせることができる点にあります。単なる装飾ではなく、読者の視線を誘導し、場面の雰囲気を瞬時に伝える機能を持っているんですね。
デジタル漫画制作では、クリップスタジオペイントやメディバンペイントなどのツールに標準搭載されているスプレーブラシやエアブラシの「飛沫」設定を活用することで、簡単にパーティクル表現を実現できます。
参考)簡単なパーティクルの描き方講座 : かずみなろぐ
基本的な制作手順は以下の通りです。
この基本工程を理解すれば、様々な場面に応用できるようになります。
クリップスタジオのアセットストアには、すぐに使える「光パーティクル」などのブラシ素材も公開されており、初心者でも手軽にクオリティの高いパーティクル表現が可能です。
参考)光パーティクル - CLIP STUDIO ASSETS
パーティクルを効果的に描くには、配置方法が重要です。適当に散らすのではなく、作品の世界観や場面の意図に合わせて計画的に配置する必要があります。
動線タイプは、キャラクターや物の動きの流れに沿ってパーティクルを配置する方法です。剣を振るアクションシーンで軌道上にキラキラした光の粒子を配置すれば、より躍動感のある絵になります。静止画でありながら「動き」を感じさせることができるんです。
放射・集中タイプは、一点から放射状、または一点に向けて集中するようにパーティクルを配置します。漫画の集中線のような効果があり、視線を誘導して構図に迫力を出すのに有効です。魔法が発動する瞬間や、エネルギーが集まる描写に最適なんですね。
円形タイプでは、キャラクターの周りを奥行きのある円状や渦を描くようにパーティクルを配置します。これにより画面に前後感と奥行きが生まれ、よりダイナミックな表現が可能になります。
色の選択も重要な要素です。光を表現する場合、基本色に対して明るい色を重ねます。例えば炎のエフェクトでは、根元に明るい黄色、外側に赤やオレンジを配置することで、より本物らしい発光表現ができます。
参考)魔法の効果の描き方 by PavaJuega - お絵かきの…
パーティクルの「大きさ」にも変化をつけることで、遠近感や空気の流れを表現できます。手前は大きく、奥は小さくというグラデーションを意識すると、より立体的な空間表現になります。
参考)光エフェクトの描き方をメイキング解説!発光加工で見栄えが華や…
プロの制作現場では、パーティクルにブラー(ぼかし)効果を複数重ねて、より複雑で印象的な表現を作り出しています。単純な粒子の集合ではなく、光のボケ具合や拡散の仕方まで計算されているんです。
クリップスタジオペイントでは、パーティクル表現に特化したブラシやデコレーションツールが充実しています。
参考)漫画のエフェクトツールの配布と解説 href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/10090" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/10090quot;マンガの為のCLIP …
デジタル漫画制作における効率的なワークフローとして、まずグラデーションツールのデフォルト設定「夜空」でベースとなるグラデーションを作成します。その上に新規ラスターレイヤーを作成し、エアブラシの「飛沫」で粒子を描画していく方法が基本です。
レイヤー構成を適切に管理することで、後から調整しやすくなります。「粒子レイヤー」「光ボケレイヤー」「青光ボケレイヤー」など、役割ごとにレイヤーを分けておくと、色や明るさの微調整が簡単になるんですね。
参考)【ClipStudioPaint】光っているようなエフェクト…
ブレンドモードの使い分けも重要です。「スクリーン」モードは柔らかい光の表現に、「覆い焼き(発光)」や「加算(発光)」はより強い発光表現に適しています。背景が黒い場合は「スクリーン」、明るい背景には「覆い焼き」というように使い分けることで、効果が最大化されます。
クリップスタジオのデコレーションツールを使えば、「キラキラ星のデコレーションブラシ」のように、あらかじめパーティクルパターンが設定されたブラシで一筆描くだけで、複雑なパーティクル表現を実現できます。
参考)キラキラ星のデコレーションブラシ - 簡単設定でパーティクル…
粒子サイズ、粒子密度、向きなどのパラメータを調整することで、同じブラシでも全く異なる印象の表現が可能です。
プロの制作現場では、After Effectsなどの動画編集ソフトと連携してパーティクルを生成するケースもあります。3Dソフトで作成したパーティクル素材を漫画に取り込むことで、より複雑で立体的な表現も実現できるようになっています。
クリップスタジオのアセットストアからダウンロードできる素材には、「マンガエフェクト01」のように、星パーティクルや風と木の葉パーティクルなど、漫画表現に特化したものも多数あります。これらを活用すれば、短時間で高品質な表現が可能です。
参考)マンガエフェクト01【Manga Effect01】 - B…
VRoid Studioなどの3Dキャラクター制作ツールと連携すれば、3D空間内でのパーティクル表現も漫画コマに取り込めます。特に複雑な角度からの描写や、正確なパース表現が必要な場合に有効なんです。
バトル漫画でパーティクルを効果的に使うには、攻撃の種類や威力に応じた表現の使い分けが重要です。
エネルギー弾を表現する際、単なる丸い発光体ではなく、その周囲に「荒れ集中線」を配置することで、より荒々しく力強い印象を与えられます。放射線定規にスナップさせることで、正確な放射状の線が描けるんです。
さらに「陽気角丸ぼかし」ブラシで光の粒子を追加し、ブラシ先端の「厚さ」やストロークの「間隔」、入り抜きの「ブラシサイズ」などのパラメータを調整すれば、より光が溢れる感じを演出できます。
爆発シーンでは、衝撃波の表現にパーティクルが欠かせません。爆発の中心から外側に向かって飛び散る粒子を描くことで、爆発の勢いや破壊力を視覚的に伝えられます。
参考)リアルな爆発エフェクトの描き方!躍動感のあるアクションシーン…
炎上の熱による空気の屈折や、重力による歪みを表現するために、パーティクルに「波ガラス効果」と呼ばれる揺らぎを加えることもプロの現場では一般的です。これはフラクタルノイズを参照画像として使用し、画面にゆらぎを付加する技法なんです。
魔法の発動シーンでは、詠唱中に徐々に魔力が高まる様子をパーティクルで表現します。最初は小さく少ない粒子が、時間とともに大きく密度を増していく描写により、力の蓄積を視覚化できます。
ビーム攻撃の表現では、作画された基本の線に、プラグインのフレアやパーティクル、3D素材を組み合わせることで、複雑でインパクトのある表現が生み出されています。単純な一本線ではなく、周囲に飛び散る光の粒子が、ビームの強大なエネルギーを感じさせるんです。
パーティクルを使った境界線のブレ表現も、スピード感を出すのに効果的です。動いている物体の輪郭をパーティクルで表現することで、まるで残像が見えるような高速移動の印象を与えられます。
参考)https://gamescience.jp/2007/Paper/Kawasaki_2007.pdf
不気味集中線にスパッタリング(飛沫効果)を加えることで、より緊迫感を出すこともできます。脂汗が噴き出すような迫力を、お手軽に表現できる技法なんです。
光の演出でパーティクルを活用する際、最も重要なのは「光の反射を意識すること」です。
夜空の星をパーティクルで表現する場合、単に白い点を散らすだけではなく、星の明るさに応じてサイズや輝度に変化をつけます。明るい星は大きく、暗い星は小さく描くことで、よりリアルな夜空になるんですね。
妖精の粉や魔法の光をイメージした光のパーティクルは、単一の色ではなく、複数の色相を持つグラデーションで表現すると、より神秘的な雰囲気を出せます。青、紫、ピンクなど、虹色に近い柔らかな色合いを重ねることで、幻想的な世界観を作り出せます。
部屋の中のホコリをパーティクルで表現することも、イラストにリアリティを持たせる有効な方法です。光が差し込む窓辺に、わずかに舞うホコリの粒子を描くだけで、空間に「空気」と「時間」が生まれます。
ゴッドレイ(光芒)の表現では、太陽光が雲の隙間から差し込む様子を、パーティクルシステムを利用して表現できます。ゆらゆらと揺らめく光の筋に、小さなダストのパーティクルを加えることで、より神秘的で印象的な演出になります。
参考)【Unity】パーティクルシステムを利用してゴッドレイを表現…
レンズを通して見たときに現れる「オーブ」と呼ばれる光のボケ玉も、パーティクル技法で表現できます。ピントから外れた空間上にある雨やホコリが、乱反射により光の玉として現れる現象です。これを適切に配置することで、空間の奥行きと臨場感が増します。
発光表現では、レイヤーのブレンドモードを「覆い焼き(発光)」や「加算(発光)」に設定し、さらにガウスぼかしを適用することで、柔らかく広がる光を表現できます。
十字光のような強い発光を表現する場合、まず基本の十字形を描き、その選択範囲を拡張してから白色と青っぽい色でそれぞれ別レイヤーに塗りつぶします。それぞれにぼかしを適用し、レイヤー効果を調整することで、多層的な光の表現が完成します。
キラキラエフェクトでは、放射線状に光っているブラシを使うか、エアブラシで基本形を描いてから星型のパーティクルを追加する方法があります。どちらの方法でも、光の中心は明るく、外側に向かって徐々に暗くすることで、より自然な発光表現になります。
参考)【アイビスペイント】キラキラエフェクトを描く方法 - オンラ…
光のパーティクルには「水彩境界」をオンにすることで、粒子の縁に濃淡が生まれ、より立体的で有機的な印象になります。デフォルトのスプレーブラシと併用すれば、星空のような複雑な光の層も簡単に作れるんです。
参考)パーティクルブラシ - CLIP STUDIO ASSETS
参考リンク:光エフェクトの基本から応用まで解説されています
光エフェクトの描き方をメイキング解説!発光加工で見栄えがUPする方法
参考リンク:クリップスタジオでのパーティクル制作の詳細手順
簡単なパーティクルの描き方講座 - かずみなろぐ
参考リンク:炎エフェクトの基本的な描き方
【5大属性+】エフェクトの描き方・コツをイラストで解説