

100均の望遠レンズをケースをつけたまま装着すると、まともに使えず資料写真がすべてボツになります。
100均のスマホ用望遠レンズは、主に「キャンドゥの2倍望遠レンズ」として販売されており、価格は税込110円です。クリップをスマホカメラのレンズ位置に挟み込むだけで使える手軽さが魅力で、重さもほぼ変わらないためカバンに入れて持ち歩けます。
では実際の写りはどうなのでしょうか? 複数の検証記事によると、100均の2倍望遠レンズは「被写体を大きく写せるが、全体的にぼんやりした質感」が特徴です。テキストや細かい文字の読み取りは難しく、人物の顔の表情もぼんやりしてしまいます。
漫画の背景資料として使う場合、建物の輪郭や街並みの全体的な構造感をつかむ目的なら十分に役立ちます。細部の質感(煉瓦の凹凸、窓枠のネジなど)を資料にしたい場合は、100均レンズには向きません。つまり「大まかな形を確認する資料撮り」に最適です。
ダイソーとキャンドゥで商品の特性が異なる点も重要です。ダイソーは「スマートフォンレンズセット(魚眼・マクロ・広角の3種)」がメインで、望遠レンズは取り扱いが少ない傾向があります。望遠レンズを求めるなら、キャンドゥが確実です。
| ショップ | 商品名 | 倍率 | 価格(税込) | 漫画資料向きの用途 |
|---|---|---|---|---|
| キャンドゥ | 2倍望遠レンズ | 2倍 | 110円 | 遠景の建物・街並みの構図確認 |
| ダイソー | スマートフォンレンズセット | 広角・魚眼・マクロ | 110円 | 小物の接写・広い室内の構図 |
| キャンドゥ | 広角&マクロレンズ | 広角・マクロ2役 | 110円 | 小物接写・広い背景の構図 |
資料写真のクオリティを上げたい場合は、Amazonなどで1,000〜3,000円帯の外付け望遠レンズも選択肢に入ります。ただし「まず試してみたい」「構図確認だけできればいい」という段階なら、100均で十分です。
望遠レンズを使うと得られる「圧縮効果」は、漫画を描く人にとって知らないと大きな損になる概念です。圧縮効果とは、望遠撮影によって手前の被写体と背景の距離が縮まって見える現象のことで、キャノンの公式ページでも「近景と遠景とが重なって見える現象」と説明されています。
具体的なイメージで言うと、100m先にある建物が人物のすぐ後ろに迫っているように写せます。これがイラストに応用されると「よりリアルで奥行きのある背景」に見えます。
実は多くの漫画初心者が「広角カメラ(スマホのデフォルト画角)で撮った写真をそのまま背景資料にする」という使い方をしています。これが問題です。スマホのデフォルトカメラはフルサイズ換算で約25〜28mm相当の広角レンズが多く、パースが強くつきすぎます。広角で撮った資料を使うと、常にオーバーパース気味の絵になりがちです。
人間の肉眼に近い見え方に相当するのはフルサイズ換算50mm相当とされています。スマホでこれを再現するには、標準カメラを約2倍ズームするかトリミングすることが基本です。
望遠レンズはここでさらに一歩先に進んだ表現を可能にします。
望遠側で撮った資料を使うことで、読者が「リアルだな」と感じるコマが描きやすくなります。これは使える知識です。
参考:望遠レンズの圧縮効果の仕組みをTAMRONが詳しく解説しています。
「ケラレ」とは、レンズを装着した際に写真の四隅に黒い影が写り込む現象です。これは漫画資料として使えない写真になる最大の原因であり、100均レンズを使うほぼ全員が最初に直面する問題です。
ケラレが発生する主な原因は2つあります。1つ目は「スマホケースを付けたまま装着すること」です。ケースがあるとクリップの位置がずれやすく、レンズ軸がスマホカメラのレンズ中心からわずかにずれるだけで強いケラレが発生します。
実際の検証記事によると、スマホケースを外して装着するだけでケラレが大幅に解消されたと報告されています。ケースを外すのが基本です。
2つ目の原因はクリップ位置のずれそのものです。100均レンズのクリップはネジで固定できないため、撮影中にずれることがあります。装着後はカメラアプリを起動してプレビュー画面を確認し、四隅の暗くなり具合をチェックしてから撮影に入る手順を守りましょう。
それでもケラレが残る場合は、スマホのズームを少し上げるだけで解消できます。100均の2倍望遠レンズを装着した状態でさらにデジタルズームを1.2〜1.5倍にすれば、四隅が切り取られてケラレが消えます。
スマホの機種によっては複数カメラ(広角・超広角・望遠内蔵)を搭載しているものがあります。その場合、外付けレンズを装着するカメラが切り替わってしまうケースがあるので、ズーム操作は慎重に行いましょう。
望遠撮影は手ブレが大敵です。倍率が上がるほど、わずかな手の揺れが大きく影響します。100均の2倍程度であれば手持ちでも撮れますが、より高倍率な望遠レンズ(8倍・18倍以上)を使う場合は、三脚が必須になります。
スマホ用三脚も100均で入手できます。ダイソーやセリアではクリップ式のスマホホルダー付き三脚が100〜200円台で販売されており、これを使うだけでブレが大幅に軽減されます。三脚なしで18倍のレンズを手持ちで撮ると、ほぼ全てのカットがブレた資料になります。
漫画の背景資料撮影という観点では、撮影シーン別に三脚の必要性を判断できると効率的です。
三脚を使うとセルフタイマーとの組み合わせも可能になります。シャッターを押す瞬間の揺れも消えるため、資料写真の鮮明さが一段上がります。これは100均レンズの画質の限界を少しでも補う有効な手段です。
「でも100均の三脚はすぐ壊れるのでは?」と思う方もいるかもしれません。資料撮影用途ではそれほど酷使しないため、コスパは十分といえます。300〜500円のダイソー製スマホ三脚は「軽い・コンパクト・資料撮り用途には問題なし」と評価されています。
多くの解説記事では「望遠レンズ=遠くのものを大きく撮る道具」としか説明しません。しかし漫画を描く人間にとって、望遠レンズの最大の価値は「どのコマに使うべき画角の資料が撮れるか」という選択にあります。
映像の世界では、日常的な芝居シーンほど望遠気味のレンズで撮影されることが多いとされています。広角は「極端な演出・劇的な瞬間」のためのレンズです。この知識を漫画に置き換えると次のようになります。
つまり100均の望遠レンズは「望遠でしか撮れない資料専用機」として割り切るのが正解です。主人公が人混みの中を歩くシーンや、遠くの看板が密集して見える街中シーンの資料には、2倍望遠レンズでも明らかな違いが生まれます。
同じ場所で「広角」「標準(2倍ズーム)」「望遠(100均レンズ装着)」の3パターンを撮り比べる習慣を持つと、コマごとの画角選びが劇的にうまくなります。1枚の資料写真ではなく、画角の比較セットを資料として残しておくことが他の漫画家との差になります。
参考:スマホカメラを使った漫画背景資料の撮り方についての実践的な解説です。
漫画の背景描いたりオタ活したりにおけるスマホカメラ活用のTIPS | note
また、イラストにおける広角・望遠とパースの関係については、以下のCLIP STUDIO公式記事も参考になります。

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