
僧帽筋は、後頭部から首のうなじ、肩、背中の中心にかけて広がる大きな筋肉です。名前の由来は僧侶の帽子に似た形状からきており、背中側から見ると菱形(ダイヤ型)の形をしています。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/311
イラストを描く際は、まず肩を結んだ横線と背骨の中心線で十字を作り、その交点を中心に小さな菱形を描くとアタリが取りやすくなります。この菱形を囲むように逆さ向きの矢尻のような形に広げていくと、僧帽筋の基本形状が完成します。
参考)アタリが取れればカッコよく描ける! 男女別背中の描き方
僧帽筋は上部・中部・下部の3つの線維に分けられ、それぞれ異なる作用を持っています。上部線維は肩甲骨の挙上、中部線維は肩甲骨を内側に引く動き、下部線維は肩甲骨の回転をサポートする役割があります。この機能的な違いを理解すると、ポーズごとの筋肉の動きも自然に表現できるようになるんです。
参考)僧帽筋の解剖と機能を完全ガイド:上部・中部・下部の役割
部位 | 起始 | 停止 | 主な作用 |
---|---|---|---|
上部線維 | 外後頭隆起・項靭帯 | 鎖骨外側1/3 | 肩甲骨・鎖骨の挙上 |
中部線維 | 上部胸椎棘突起 | 肩峰 | 肩甲骨を内側に引く |
下部線維 | 下部胸椎棘突起 | 肩甲棘 | 肩甲骨の回転 |
僧帽筋の参考情報については、理学療法の専門サイトでも詳しく解説されています。
僧帽筋の解剖と機能を完全ガイド:上部・中部・下部の役割 | リハトラ
僧帽筋を自然に描くには、周辺の骨格や筋肉との繋がりを把握することが重要です。特に鎖骨との関係性は、首から肩へのラインを描く上で欠かせない知識なんです。
参考)肩のイラスト描き方手順・コツを解説!様々な肩を描きわけよう …
僧帽筋は鎖骨の外側部後面の上面に付着しており、三角筋付着部よりも後方に位置しています。正面から見ると、僧帽筋は後頭部から始まってうなじを覆いながら、鎖骨の外側半分につながる形になります。この構造を理解していると、首周りの魅力的なラインが描けるようになります。
参考)鎖骨に付着する筋肉と付着部位|Yoshihiko Tsume…
鎖骨には複数の筋肉が付着していますが、主なものは以下の通りです。
後ろからのアングルで肩周りを描く場合、僧帽筋の理解が特に大切です。首と肩を繋ぐ役割をしている僧帽筋は、首のラインを後ろから隠すように配置されています。首から肩へと向かう僧帽筋は、端の辺りで三角筋の下側のラインと重なるため、二つの筋肉の存在を意識して肩のシルエットに凹凸を描くとリアリティが増します。
肩関節周辺の筋肉構造について、整形外科の専門サイトでも図解付きで説明されています。
男性と女性では、僧帽筋の発達度合いが大きく異なります。この違いを理解して描き分けることで、キャラクターの性別や体型をより説得力を持って表現できるんです。
男性の場合、僧帽筋は発達しており、首回りが盛り上がってたくましい印象を与えます。筋肉質なキャラクターを描くときは、僧帽筋を目立たせることで力強さが増します。イケメンキャラクターを描く際は、鎖骨・胸鎖乳突筋のライン、そして僧帽筋、三角筋を意識して骨や筋肉のラインや凹凸を加えていくと良いでしょう。
女性の場合は、男性と比べて僧帽筋の盛り上がりを薄く控えめに描きます。僧帽筋を盛りすぎると筋肉質で男性的な印象になってしまうため注意が必要です。女性キャラクターでは、首が細く筋のラインも最低限の描き込みに留めることで、女性らしい柔らかさが表現できます。
骨盤の描き方も性別による違いがあり、女性は男性に比べてやや横長に描くと自然です。背中の形は逆三角形を意識するとアタリが取りやすく、この基本形状に僧帽筋と広背筋を描き込んでいきます。
参考)背中側の筋肉を学ぼう
男女の描き分けについては、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
キャラクターの性別による描き分けについて、イラスト講座サイトで詳しく解説されています。
【イラスト講座】男キャラと女キャラの違いと描き分け方(顔編)| すなめりアーティスト情報発信サイト
僧帽筋を描く際は、段階的にアタリを取っていく方法が確実です。いきなり細部を描こうとせず、まずは大まかな形状を捉えることが成功のコツなんです。
参考)筋肉を描くコツはバランスとシルエット!ゴリマッチョの描き方講…
最初のステップは、顎の下から肋骨を丸で大きく囲み、僧帽筋と広背筋のアタリを取ることです。次に肩を結んだ横線と背骨の中心線で十字を作り、その交点を中心に小さな菱形を描きます。このダイヤ型を囲むようにさらに加筆し、逆さ向きの矢尻のような形にしていきます。
腕を下ろしたポーズでは、僧帽筋は首の後ろから肩へと伸びています。後ろからのアングルだと、首のラインは僧帽筋で隠れるため、首と僧帽筋の前後関係に注意してください。僧帽筋と三角筋があることを意識して、肩のシルエットに凹凸を描くとより自然になります。
腕を上げるポーズでは、僧帽筋の位置関係が変化します。腕を上げたことによって鎖骨も上がることに注意しましょう。後ろから見ると、僧帽筋が三角筋よりも少し手前にあることが分かる線を描くと、立体感が増します。
構造から形と筋肉の描き込みができるようになると、解剖学的な特徴やプロポーション、個々の体型差を意識していけます。肩甲骨がその主な土台となっているため、僧帽筋のラインを参考に肩甲骨の位置をまずしっかりと決定することが重要です。
イラストレーターによる背中の描き方講座では、アタリの取り方が詳しく図解されています。
アタリが取れればカッコよく描ける! 男女別背中の描き方 | いちあっぷ
僧帽筋に陰影をつけることで、平面的だったイラストが一気に立体的になります。筋肉の膨らみや厚みを意識しながら影を配置することが、リアルな人体表現のポイントなんです。
僧帽筋の陰影を描く際は、筋肉の境界部分を意識します。特に三角筋や広背筋との境目に影をつけると、それぞれの筋肉の存在感が明確になります。背骨の中央あたりが最も盛り上がるため、この部分を明るく、周辺に向かって徐々に影を濃くしていくと自然です。
影をつける手順としては、まず「乗算」に設定した新規レイヤーを作成します。そして僧帽筋の下部や筋肉の境界に柔らかい影を付けていきます。僧帽筋に沿って影ができるため、基本的には正面と変わりませんが、奥側を意識して影を入れることが大切です。
参考)筋肉の描き方:基本の形と筋肉の陰影 by Yelogrei …
首周りの影の処理も重要です。影の馴染みをよくするために、胸鎖乳突筋の線や鎖骨の線画の色を変えることも効果的です。黒で描いた線画を、周りの色と似た色に変更すると、より自然な仕上がりになります。
参考)【初心者向け】首の描き方を学ぼう!
筋肉が移動し薄くなった部分は線を薄く描き、陰影の濃淡を加減します。さらに僧帽筋を描き加えることで筋肉のリアルさが増し、自然な人体の動きを表現できるようになるんです。
参考)人物の筋肉構造と描き方のコツ〜人物を筋肉で捉えるオンライン講…
陰影をつけるポイントをまとめると以下の通りです。
筋肉の陰影の描き方については、CLIP STUDIO TIPSで基本から詳しく解説されています。
筋肉の描き方:基本の形と筋肉の陰影 | CLIP STUDIO TIPS
背中を描く際、僧帽筋だけでなく広背筋や肩甲骨との関係性を理解することで、より説得力のある人体が描けます。これらの構造は互いに密接に関連しており、一つを理解すれば他の部分も自然と描けるようになるんです。
参考)意外と知らない?キャラの「背中」描き方講座
広背筋は背中を覆う面積が最も広い筋肉で、人体で一番広い面積を持っています。背骨の下方から腸骨稜の後ろ側、そして上腕骨まで繋がっており、キャラクターの背中はほぼこの広背筋と僧帽筋で出来ていると言って良いほどです。この広背筋は正面側でも脇の方から見えるため、横や斜めのアングルでも意識する必要があります。
肩甲骨は逆三角形の形をしており、6方向への運動が可能です。肩甲骨と胴体部で関節構造を形成しているのは鎖骨のみで、肩甲骨を支えているのがほぼ筋肉であるため、自由度が高く大きく動かせるのが特徴です。僧帽筋は肩甲棘、肩峰、鎖骨に停止しており、肩甲骨の動きに直接関わっています。
参考)https://www.aandk-t-s.com/16715409261441
僧帽筋(青色)は、うなじ・肩・背中の上部を占める菱形の筋です。広背筋(オレンジ色)は、肩甲骨の下から腰にかけてを覆い、背中に逆三角形の輪郭をつくります。この二つの筋肉の配置を理解すると、背中全体の形状が自然に捉えられるようになります。
腕を前に突き出すと大胸筋も伸縮し、これらの肉の伸縮は服を着せたときに大きな変化となって現れます。「きちんとデッサンをしたのに、服を着せたらペラペラな身体になってしまった」という悩みは、筋肉の伸縮を理解していないことが原因なんです。
僧帽筋や広背筋を鍛えることで、逆三角形の広い背中を作ることができます。イラストでも同様に、これらの筋肉を意識して描くことで、魅力的な背中が表現できるようになります。
背中の筋肉構造について、イラスト学習サイトでも詳しく解説されています。