
Blenderでレンダリングを行う際は、まずモデルの配置とマテリアルの設定を完了させておく必要があります。モデルがメッシュで作成されている場合、シェーディングツールを活用してエッジを滑らかにする作業も忘れずに行いましょう。
参考)【2024】Blender(ブレンダー)でのレンダリングのや…
次にカメラの位置設定なんです。Blenderでは現在の画面ではなくカメラの視点からレンダリングが行われるため、ショートカットキー「Gキー」でカメラを移動させ、レンダリングしたい構図に調整します。
ライティングの設定も重要なポイントです。基本的には「キーライト」「フィルライト」「バックライト」の3つを配置することで、光の表現がリッチになり被写体が際立ちます。キーライトは全体を照らすメインの照明として右上に配置し、フィルライトはキーライトでできた影をほんのり照らすために左前の低い位置に、バックライトは輪郭をくっきりさせるために後ろから照らすように配置するのが定石なんです。
参考)レンダリングのやり方・設定|サルブレ
Blenderレンダリングの詳しい手順と設定方法
Blenderには主に2つのレンダリングエンジンが搭載されており、それぞれ特徴が大きく異なります。
参考)レンダリングって何?初心者向けにEeveeとCyclesを解…
Eeveeはリアルタイムレンダリングエンジンで、非常に高速で結果を確認できるのが最大の特徴です。ゲームエンジンのような軽快さで作業中にリアルな見た目を確認しやすく、アニメやゲーム風の表現にも向いています。レンダリング速度を重視したい場合やパソコンの性能があまり高くない環境では、Eeveeが適しています。
一方Cyclesは物理ベースのレイトレーシングレンダリングエンジンで、現実世界の光の挙動をシミュレーションするため「写真のようにリアル」な仕上がりになります。反射や屈折、間接光などの精度がEeveeよりも高く、映画や高品質なCGアートに使われることが多いんです。ただしレンダリング時間は長めで、PCの性能によっては数分から数時間かかることもあります。
参考)【Blender4.4】EEVEEとCyclesのレンダリン…
処理方式の違いを理解すると使い分けがしやすくなります。Eeveeはラスタライズ方式とスクリーンスペースレイトレーシングを組み合わせており、Cyclesはパストレーシングでのレンダリングを行います。実務では、イメージ共有など速さが重視される場面ではEeveeを使用し、画面のレイアウトやモデルの配置が決まったらCyclesで本番のレンダリングを行うという使い分けが効率的です。
参考)BlenderのEevee vs Cycles|建築パースに…
レンダラー | レンダリング速度 | 画質 | 適した用途 |
---|---|---|---|
Eevee | 非常に高速 | 中〜高 | プレビュー、ゲーム風表現、短時間制作 |
Cycles | 低速 | 最高品質 | フォトリアル作品、建築ビジュアライゼーション |
Workbench | 超高速 | 低 | 作業画面のスクリーンショット |
Blenderのレンダリングエンジンの選び方と使い分けガイド
レンダリングに時間がかかりすぎる問題は、多くのBlenderユーザーが直面する課題なんです。高速化するためには複数のアプローチがあります。
参考)【2024】Blenderのレンダリングが遅い時の対処法は?…
まずBlenderの設定を調整する方法です。必要ではない影をレンダリング結果から外すことで処理を軽減できます。具体的にはCyclesの操作で、影を表示したくないオブジェクトを選択し、プロパティタブの「オブジェクトプロパティ」から可視性、レイの可視性と進み、「影」のチェックマークを外すと効果的です。
参考)【2024】Blenderでレンダリングの残り時間を短縮する…
GPUレンダリングへの切り替えも劇的な高速化をもたらします。パソコンがGPUを搭載している場合、プリファレンスから「システム」→「CUDA」とクリックし、使用するGPUを選択して保存します。その後レンダープロパティからデバイスを「GPU演算」に変更すれば、CPUの代わりにGPUを使って高速に計算してくれます。
参考)【2024】Blender(ブレンダー)でのGPUの役割は?…
カメラカリングを有効にすることで、レンダーカメラの範囲内にあるオブジェクトだけがレンダリング対象となり時間短縮につながります。全てのオブジェクトを選択した状態で、オブジェクトプロパティ>可視性>カリング>カメラでカリングをチェックONにします。
参考)Blenderを続けるためのヒント~時短!レンダリング高速化…
さらに出力サイズの調整も有効です。デフォルトの設定から出力サイズを50%にすることで、レンダリング時間を大幅に短縮できます。プレビュー段階では低解像度で確認し、最終出力時のみ高解像度にするという使い分けが賢明です。
参考)blender 4.1 cycles レンダリング時間を 1…
実際の事例として、Blender Guruさんの10の高速化方法を適用したところ、同じシーンのレンダリング時間が約2.26倍高速化できたという報告があります。インスタンス化の活用やノイズ調整などを組み合わせることで、品質を保ちながら作業効率を大きく向上させられるんです。
出力プロパティから解像度を設定する際、「X」「Y」「%」の3つのパラメータを理解することが重要です。「X」「Y」は画像サイズを示し、一般的にはX:1920、Y:1080が標準的な画像サイズとなります。「%」は解像度の大きさを示しており、100%だと等倍、50%にすると半分の大きさで書き出されます。
参考)【2025】Blenderのレンダリングとは?やり方・設定を…
サンプリング数はレンダリング品質を左右する重要な設定です。基本的には300〜500程度の数値でレンダリングを行えば透き通ったイメージを獲得できますが、複雑な図形の場合は1,000程度が必要になることもあります。いきなり高い数値でレンダリングを行うと時間がかかって非効率なので、まずは100程度の低い数値で確認してから段階的に上げていく方法がおすすめなんです。
参考)【2024】Blender(ブレンダー)でレンダリングのノイ…
初心者向けの推奨サンプル数として、ビューポートでは比較的低めに設定し、最終レンダリングでは高めに設定するという使い分けが効果的です。ビューポートは作業中のプレビューなので速度重視、レンダリングは最終出力なので品質重視という考え方ですね。
参考)【Blender4.2】レンダリング画像成方法 -Cycle…
ファイル形式の選択も大切なポイントです。PNG形式でRGBA(透明度を含む)、深度16ビット、圧縮100%に設定することで、黒が薄くならず真っ黒に出力され、トーン化した際も問題なく使用できます。圧縮率を100%にするとレンダリングは遅くなりますが、最終的なファイル容量が小さくなるため管理しやすくなります。
Blenderでレンダリングを行う際、何も設定を行わないとノイズが発生してしまう問題があります。ノイズを除去するためには複数の対処法を組み合わせることが効果的なんです。
最も簡単な方法がサンプリング数を上げることです。プロパティタブの「サンプリング」から「レンダーの数値を変更する」だけで、ノイズを大幅に軽減できます。ただし数値を上げすぎるとレンダリング時間が長くなるため、まず低い数値で確認してから段階的に調整する方法が賢明です。
デノイズ機能の活用も非常に効果的です。Cyclesのみで使用できる機能で、レンダープロパティの「デノイズ」の部分にチェックを入れるだけで簡単にノイズを除去できます。デノイザーには複数の種類があり、用途に応じて選択することで最適な結果が得られます。
参考)レンダリングノイズを除去&軽減する方法
コースティクスをオフにする方法も有効です。コースティクスは光の屈折による模様を再現する機能ですが、計算が複雑でノイズの原因になりやすいため、必要ない場合はオフにすることで品質が向上します。
レイの跳ね返る回数を調整することでもノイズを軽減できます。レイの跳ね返る回数を0にすると計算が簡略化され、ノイズが減少する効果があります。ただし表現の幅が狭まる可能性もあるため、シーンに応じて調整が必要です。
室内シーンなど複雑な光の計算が必要な場合は、ライトポータルにチェックを入れることで効率的にノイズを減らせます。窓などの開口部にエリアライトを配置し、ライトポータル機能を有効にすることで、室内への光の入り方が最適化されノイズが大幅に減少するんです。
ノイズ除去方法 | 効果 | レンダリング時間への影響 |
---|---|---|
サンプリング数を上げる | 高 | 大幅に増加 |
デノイズ機能 | 高 | わずかに増加 |
コースティクスオフ | 中 | やや短縮 |
レイ回数調整 | 中 | 短縮 |
漫画やイラストの背景制作にBlenderを活用する際、Freestyle機能が非常に強力なツールとなります。Freestyleは3Dモデルを線画としてレンダリングする機能で、設定により線に対して様々な表現を加えることができるんです。
参考)3DCGで背景を効率的に描こう! 漫画制作で使える3DCG…
具体的な設定方法として、レンダープロパティでフリースタイルにチェックを入れると線画が出力されるようになります。ライン幅モードを「絶対」にしておくと、出力するコマのサイズが変わっても同じ線の太さで出力できるため便利です。線を完全にアンチエイリアスなしで出したいときはサンプル数を1に設定しましょう。youtube
手書き風の線画を作るためのテクニックもあります。ビューレイヤープロパティのフリースタイル幅で「モディファイヤーを追加」から「ノイズ」を選択し、振幅を1に設定すると線がざらざらした感じになり、インクの滲みのような質感が出せます。さらにジオメトリから「Bezier Curve」を追加し、エラーの数値を25に設定すると直線が少しふっくらして手書き感を出すことができるんです。youtube
実際にプロの漫画家も活用しており、講談社版コミカライズ「キノの旅」全8巻のほぼ全ての背景がBlenderで描かれた事例があります。3DCGで背景を作成してから線画として抽出することで、作業効率が大幅に向上するわけです。youtube
レンダリングした3Dを下書きとして活用する方法も効果的です。レンダリングしたものに光を加筆して背景にしたり、3Dを下書きとして使ってある程度描き直したりと、用途に応じて柔軟に使い分けられます。
参考)絵描き向けBlender活用術|クロラ
出力設定では、PNG形式でRGBA、深度16ビット、圧縮100%に設定することで、漫画制作ソフトであるクリップスタジオペイントに持っていった際にトーン化しても真っ黒になるため使いやすいです。
プリレンダリングによるコストカット技術も注目すべきポイントなんです。重い処理をリアルタイムで計算せず、あらかじめテクスチャにレンダリング結果を焼き込むことで、リッチな表現を残しつつコストカットができます。タイトル画面の作成など、動かない1シーンを画像化したい時にも非常に有効な方法です。
参考)Blenderでゲームのコストカットしたりタイトル画面作った…
漫画や絵を描く人のためのBlender初級入門資料