高齢者の描き方|顔の特徴からシワの種類、年齢別表現

高齢者の描き方|顔の特徴からシワの種類、年齢別表現

漫画で高齢者キャラクターを魅力的に描くには、単にシワを描き足すだけでは不十分なんです。顔のパーツ配置や骨格の変化、体型による描き分けまで、実践的なテクニックをマスターできていますか?

高齢者の描き方

高齢者を魅力的に描くための重要ポイント
👤
顔のパーツ配置

90歳以上の超高齢者は、赤ちゃんと同じパーツ配置で「かわいい」印象を表現できます

📐
骨格の変化

加齢により頭蓋骨が小さくなり、顔全体の長さも成年期より短くなる傾向があります

✏️
シワの描き方

重力で皮膚が垂れ下がる箇所を理解し、主要なシワと小じわを使い分けることが重要です

kindleアンリミ無料

高齢者の顔のパーツ配置と骨格の特徴

高齢者を描く際に、若者にシワを描き足すだけでは説得力のあるキャラクターになりません。
参考)100歳のおじいちゃんの描き方~老人が老人に見えない時の解決…

実は、90歳や100歳といった超高齢者を描くには、顔のパーツ配置を根本的に変える必要があるんです。​
加齢とともに頭蓋骨も老化し、眼窩のくぼみが大きくなって目が垂れ、歯が抜けたり骨密度の低下から顔全体の長さも成年の頃より短くなります。​
特に90歳から100歳くらいの年齢のお年寄りを描く時は、顔のパーツ配置を赤ちゃんの頃と同じにすると良いでしょう。​
頭部の真ん中より下に目や鼻といった顔のパーツを配置するイメージで、この顔をベースとしてシワや白髪といった老化の記号を描き加えていけば、確実に年齢を重ねたお年寄りを描くことができます。​
老人の頭蓋骨は大人のものというより、子供や赤ちゃんのものに近い形になっているため、頭蓋骨の変形により顔のパーツ配置が子供の頃の「かわいい」状態に戻っていくんです。​

高齢者のシワの種類と配置の描き方

高齢者のシワには主要なシワと小じわがあり、それぞれ描き方のポイントが異なります。
参考)若い顔を老いた顔へ – 顔の描き方のヒント

顔の老化では重力が大きな役割を果たすことを覚えておく必要があり、あらゆる部分は下に引っ張られ、一部は垂れ下がるんです。​
主要なシワが発生する重要な部分は、目の周り、額、口元、首などで、これらの箇所を円で囲んで特定すると描きやすくなります。​
年を取るにつれて主要なシワと同様に小じわが出てくることに注目してください。​
小じわは鼻によく現れ、目の周り、口の周り、唇の外側にも伸びていて、主要なシワはより深くなっていきます。​
笑顔のときの口元や、しかめっ面のときの目元や眉毛など、長年の表情の中で最も肌に影響してきた部分に現れることも知っておくべきポイントです。​
皮膚が下に垂れ下がる箇所を理解し、その皮膚がせき止められたところにシワができると考えると自然な表現になります。
参考)老人の描き方や成人の特徴をイラスト解説!年齢の描き分けをご紹…

高齢者の体型による顔の描き分け方法

体型によって老け具合も大きく変わるため、描き分けが必要になります。
参考)じいちゃん、ばあちゃんの顔の描き方のコツ!特徴を把握すれば簡…

ふくよかなおじいちゃんおばあちゃんはシワも少なく肌もハリがあるのに対し、細身の方はシワやタルミも目立ち頬がこけたりするんです。​
食欲が落ちて筋肉や脂肪が落ちてくると、骨格が皮で覆われているだけになり、節々が目立つようになります。
参考)画力編NO.024 男女や年齢による描き方 その8 おじいさ…

女性の場合、おっぱいも痩せて垂れ下がってくる特徴も押さえておく必要があります。​
頬骨の下は骨がないから凄くたるみ、痩せている人だとコケる表現が効果的で、おじいちゃんおばあちゃんはほっぺたが丸くポコッと目立っている方が多いです。​
輪郭は若者みたいにクッキリとしたラインではなく、たるんでいるからしまりのない輪郭になるのも重要な特徴です。​
体型ごとの描き分けのポイント:

  • ふくよか体型:シワが少なく、肌にハリがある、頬が丸く柔らかい印象
  • 標準体型:適度なシワとたるみ、頬骨がやや目立つ程度
  • 痩せ型:シワとたるみが顕著、頬がこける、骨格が浮き出る

高齢者の目元と口元の表現テクニック

目元の描き方には特に注意が必要で、老人の目は頭蓋骨と眼球の間にくぼみができます。​
まぶたは垂れ下がり、目尻にシワを作り、目尻も下がってくるのが特徴的です。​
目の形も年齢とともに著しく変化し、上まぶたが垂れ下がって目の上にかかるため、目が小さく凹んで見えるようになるんです。​
この変化によって眉毛は鼻梁の方にずれ、垂れ下がるようになることも押さえておきましょう。​
口元は高齢者の個性が出る場所で、老人の唇は肉が薄くなって起伏がなくなっているのが基本です。​
口周りには下方向に引っ張られた深いシワができ、口角も下がる傾向があります。​
入れ歯をはめている場合は、入れ歯が結構大きいので存在感があり、妙に歯並びもいいし、入れ歯の歯茎ががっしりとしていて出っ歯ぽくなる方も多いんです。​
入れ歯や歯がない場合、皮膚を支える歯のボリュームが無くなるので、鼻の下がびよーんと伸びるし、歯に皮膚が当たらないから口元がしぼむ表現が効果的です。​

高齢者の全身ポーズと仕草の描き方

年齢とともに腰が曲がってくるので、頭が下がって全体的に前方に倒れこむようなポーズになります。​
下半身の重心は足で支えますが、上半身と頭は杖で支えるような感じで描くと説得力が増すんです。​
足腰も弱くなってくるので、膝や肘を曲げておくとそれっぽい雰囲気になります。​
横顔の描き方も重要で、鼻の下、アゴ、ほっぺたなどのたるみがあるため、おじいちゃんおばあちゃんの横顔は全体的に輪郭が皮膚で伸びてぼやっとした輪郭になります。​
頭頂部などは皮膚が下に引っ張られて、ぴんと張った状態になって骨の形が見えるのも特徴的です。​
鼻筋も皮膚が張っているので、鼻の骨が目立つ表現を加えるとリアリティが増します。​
全身を描く際のチェックポイント:

  • 前傾姿勢:背中が丸まり、首が前に出る
  • 杖の使用:体重を支える重要なアイテム
  • 関節の曲がり:膝、肘が常にやや曲がった状態
  • 歩幅:小さく、慎重な足取り

高齢者キャラクターに魅力を与える独自の表現法

高齢者キャラクターに魅力を持たせるには、単に老化を表現するだけでなく、その人らしさや人生経験を感じさせる工夫が重要です。
参考)お年寄りの似顔絵のコツとは?喜ばれる似顔絵を贈って感謝を伝え…

年を重ねただけ魅力が増しているので、その方の特徴や雰囲気を大切にして描くことがポイントになるんです。​
顔のつくりでは、若者の顔が全体的に滑らかなシルエットなのに比べて、おじさんやおばあさんの顔は筋肉の衰えにより皮膚が下がり、顔のつくりが浮き出して目立つようになります。youtube​
頬骨の線をはっきり描く、骨格に沿って輪郭をゴツゴツさせる、くぼんだところに影を落とすなどを意識して描くと、年齢を重ねた大人の顔らしくなります。youtube​
髪の毛については、加齢と共に髪の毛が薄くなったり、生え際が上がったりしますが、どれくらい薄毛になるかは遺伝も影響するので、中には髪がフサフサの老人もいるんです。​
目が少し乳白色になる白内障の表現や、肌がやや青みを帯びた紫色になる(年を取ると肌が透き通るように下の血管が透けて見えるため)といった細かい描写も効果的です。​
魅力的な高齢者を描くための工夫:

要素 表現方法 効果
表情 笑顔が素敵に見える工夫、目尻のシワを活かす 温かみのある人柄を表現​
髪型 ふわふわパーマ、白髪の質感にこだわる 個性と生活感を演出​
小物 メガネ、杖、帽子などのアイテム キャラクターの背景を暗示​
服装 時代を感じさせる衣服、体型に合った服 人生の深みを表現

鼻と耳の両方にある軟骨は生涯を通じて成長し続けるため、若い人の顔は一般的に鼻が小さく、年配の人の顔は鼻と耳が大きくなる傾向があることも知っておくべき解剖学的知識です。​
顔だけではなく、首、手、腕などにも骨や筋、血管が浮き出てきますので、あわせて描くようにするとより年齢を重ねた雰囲気を出せます。youtube​
年齢が若い方の輪郭は丸みやふっくらさがありますが、齢を重ねるにつれて顔が徐々にやせ、首の筋や頬骨が出るなど変化が出てくる段階的な描き分けも理解しておくと表現の幅が広がります。
参考)老人=シワを描き足すだけはNG!世代別の描き分け講座

参考になる解説記事として、クリップスタジオの「年代別キャラの描き方基本ガイド」では、さまざまな年齢のキャラクターを描く方法について詳しく解説されています。

 

年代別キャラの描き方基本ガイド! - Clip Studio TIPS
また、100歳のおじいちゃんの描き方について詳しく知りたい方には、こちらの記事が老人が老人に見えない時の解決法を具体的に示しています。

 

100歳のおじいちゃんの描き方~老人が老人に見えない時の解決法
さらに、若い顔を老いた顔へ変化させるテクニックについては、3Dtotalの記事が段階的な加齢の表現方法を解説しています。

 

若い顔を老いた顔へ – 顔の描き方のヒント - 3Dtotal