
半透明の表現は、漫画やイラスト制作において重要なテクニックです。ガラスや水、薄い布といった素材を描く際に、適切な半透明の表現ができると作品の質が格段に向上します。
参考)単純に透明度を描く方法 by vanlau - お絵かきのコ…
半透明を描くには、単に色を薄くするだけでなく、光の透過や反射といった物理的な現象を理解することが大切なんです。デジタルツールのレイヤー機能や描画モードを活用することで、効率的に半透明の質感を作り出せます。
参考)透明感を演出するテクニック10選
レイヤーの不透明度設定は、半透明表現の基本となる要素です。CLIP STUDIO PAINTやPhotoshop Elementsなどのデジタルペイントソフトでは、レイヤーパネルから不透明度を1%から100%の範囲で調整できます。
参考)https://helpx.adobe.com/jp/photoshop-elements/using/opacity-blending-modes.html
不透明度が1%のレイヤーはほとんど透明になり、100%では完全に不透明になります。半透明の素材を表現する際は、50%から80%程度の不透明度が効果的です。
参考)https://helpx.adobe.com/jp/photoshop-elements/mac-app-store/help/opacity-blending-modes.html
レイヤーの不透明度とペイントツールの不透明度は連動するため、例えば不透明度50%のレイヤーに不透明度100%のブラシで描画すると、結果として50%の不透明度で表示されます。この仕組みを理解しておくと、より細かい調整が可能になります。
クリスタで半透明の描画を行う際は、「透明度置換」という合成モードが便利です。この合成モードを設定した描画ツールを使用すると、描画した色の透明度と同じになるように下の色の透明度を変換してくれるんです。通常のクリスタでの描画では重ね塗りをすればするほど透明度が落ちていきますが、透明度置換を使えば重ね塗りをしてもその時の描画色透明度をそのまま表現できます。
参考)クリスタのペン・ブラシには合成モードを設定できます!!
描画モードは、レイヤーをその下のレイヤーとどのように合成するかを決定する重要な機能です。半透明の表現には、乗算、スクリーン、オーバーレイといった描画モードを効果的に使い分ける必要があります。
参考)透明感のあるイラストの描き方・塗り方【理論を理解して必ず描け…
乗算モードは影や暗い部分の表現に適しており、不透明度40〜60%に設定することで自然な陰影が作れます。スクリーンモードは光の透過や明るい部分の表現に使用され、不透明度20〜25%程度で透過光の効果を再現できます。
半透明の素材を描く際は、暖色光と寒色影の組み合わせが効果的なんです。現実では日陰は青い空の光で青く、日向は太陽光で黄味がかって見えるため、この対比を取り入れることで透明感が生まれます。
暖色光の追加には、クリーム色(#FFF8E8)をスクリーンモードで不透明度20%程度に設定し、エアブラシで頬や鼻筋、髪の天頂部などに適用すると自然な光の透過感が表現できます。寒色影は青みがかった色(#B8C8E8)を乗算モードで不透明度25%程度に設定し、首の下や髪の深い部分に適用します。
半透明の表現に適したブラシ設定は、筆圧に応じた透明度の変化が重要です。透明感マーカーや水彩ブラシを使用する際は、筆圧を20〜50%程度に抑えることで、自然な半透明の質感が得られます。
ハードブラシとソフトブラシの使い分けも大切なポイントです。輪郭がはっきりした半透明の物体を描く場合はハードブラシを不透明度100%で使用し、エッジを徹底的にぼかしたい場合はソフトブラシを低い筆圧で使用します。
半透明の布や髪を描く際は、内側から外側へ向かって塗り、エッジを極限までぼかすテクニックが効果的なんです。肌の透明感を出したい場合は、筆圧を10〜30%に抑え、最小限の影のみを描くことで透き通るような質感が表現できます。
グレーの濃度によって半透明の度合いを調整する方法もあります。クリスタでは描画色の白をOFFにすると、グレーの濃度に合わせて半透明になる機能があり、これを活用すると白背景を簡単に透明に変換できます。
参考)クリスタの描画色を利用して白背景を透明にする方法!!画像素材…
半透明の物体には、表面反射光と内面反射光の2種類の反射が存在します。表面反射光は光源側にでき、内面反射光は光源と反対側にできる特徴があります。
参考)透明な質感の描き方−2 href="http://studiokeeps.com/blog/?p=920" target="_blank">http://studiokeeps.com/blog/?p=920amp;laquo; Digital P…
ガラスやプラスチックなどの半透明素材を描く際は、何が映っているかを理解してから描くことが重要です。デッサンでは実際に手や物を置いてどこに何が映るのか確認する方法が有効で、テーブルの四隅など特定の場所に物を置けば、その場所が反射に映ることを確認できます。
参考)デッサン教室で学んだこと③ 反射の描き方|Yukimi.Cr…
透過光の追加には、新規レイヤーを作成してスクリーンモードで不透明度25%に設定し、髪の毛束内部や肌の額・鼻筋・あごに薄く光を加えます。この透過光は、完全に不透明な物質は光を透過しないという原理を利用し、内部に光があることで半透明な美しさを表現するテクニックです。
反射光を描く際は、物体と同系色ではない色を使う方が効果的なんです。背景などを想定しない場合でも、自由に色を足すことで透明感が増し、反射しにくい素材にも少し色を足すことで絵全体の透明感が向上します。
デジタルペイントソフトのリムライト機能を活用する方法もあります。新規レイヤーをスクリーンモードで作成し、白色(#FFFFFF)で細いペン(1〜2px)を使って輪郭に沿って描くことで、半透明物体の縁の光を効果的に表現できます。
半透明の表現を成功させるには、背景との色の関係性が極めて重要です。周囲の色を重ねて後ろの物体が透けて見えるように演出することで、自然な透明感が生まれます。
境目に彩度の高い色を置くテクニックも効果的なんです。光と影の間に彩度が高い部分を作ると透明感が増し、素材や光源によって色は変わりますが、肌の色であれば赤系や青系など絵の方向性に合わせて様々な色を試すことができます。
全体の彩度を下げつつ一部だけ彩度を上げる方法も、半透明表現に有効です。彩度が高い部分を少なくすることで、逆に彩度の高さが際立ち、彩度の差で光と影のコントラストを作る効果が得られます。
薄い色でフチを潰すテクニックは、空気遠近法とも反射光とも取れる曖昧な技法ですが、目立たせたいものの周囲を薄い色で潰すと透明感を演出できます。迷った時は薄い青を選ぶと、絵を落ち着ける効果があるので初心者にもおすすめです。
背景の抜けを作る方法として、エアブラシで白色(#FFFFFF)を軽く顔周辺に塗り、空気感のあるグラデーションを作ると、半透明の物体がより際立ちます。
CLIP STUDIO PAINTの合成モード全般について詳しく知りたい方は、公式のTIPSページが参考になります。
CLIP STUDIO PAINTの合成モード全解説【はじめに】 - CLIP STUDIO TIPS
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