
大胸筋は胸部にある大きな筋肉で、上部・中部・下部の3つの領域に分かれています。それぞれの部位が上腕骨の大結節稜という部分につながっており、腕の動きに連動して伸縮するんです。
参考)https://muscle-illust-works.com/2021/02/04/draw-muscles-01/
大胸筋上部は鎖骨の半分あたりから上腕骨へ、中部は胸骨部分から上腕骨へ、下部は肋骨や外腹斜筋から上腕骨へとつながっています。左右の大胸筋の間には少し隙間があって、胸骨が見える状態になっているのが自然な形なんです。
大胸筋を描くときに重要なのが周辺の筋肉との位置関係で、上腕二頭筋の上に大胸筋が被さり、その上を三角筋が覆いかぶさっています。つまり大胸筋は常に上腕二頭筋と三角筋に挟まれて動くことになり、三角筋との間には少しくぼみができるのがポイントです。
筋肉イラストの描き方 第一回『大胸筋』では、図解を使って大胸筋の詳しい構造が解説されています。
大胸筋を描くときは、いきなり複雑な形を描こうとせず図形で捉えると格段に描きやすくなります。基本となるのは逆五角形の形状で、これを意識するだけでバランスの良い大胸筋が描けるんです。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/41
具体的な描き方としては、縦横の長方形を重ねて配置し、その長方形を分割した点を基準に線を引いていくことで、大胸筋の基本形が作れます。縦の長方形が横の長方形より少し長めになるように描くのがコツです。
大胸筋の大きさは顔と同じくらいの面積で描くとバランスが良くなります。四角く描くのではなく、丸みを持たせながら逆五角形を意識することで、自然な筋肉の形が表現できるんです。
参考)スジだけ描いても細マッチョにはならない!? 上半身の筋肉の描…
大胸筋の端は三角筋の下に入り込むように描くのがポイントで、肩の付け根のところで三角筋との境目を描くとそれらしく見えます。左右の大胸筋の間には少し隙間を作ることも忘れずに。
腕を上げたときの大胸筋は、引っ張られて上に移動することを意識して描きます。このとき主に作用するのは大胸筋上部の筋肉です。
両腕を胸の前で寄せるポーズでは、大胸筋が縮んで筋肉が重なり合います。脇のあたりにえくぼのような凹みができるのが特徴的で、このディテールを加えるとリアルさが増すんです。このポーズでは主に大胸筋下部が作用しています。
腕を後ろに引くポーズでは、大胸筋がそちら側に引っ張られて伸びることを意識します。大胸筋上部と中部の筋肉が作用する動作で、伸びている感じを表現するのがポイントです。
胸を突き出すサイドチェストのようなポーズでは、腕に引っ張られつつ体で押し出して強調している様子を描きます。主に大胸筋中部が作用しており、筋肉の厚みを最大限に見せるポーズなんです。
大胸筋は上腕骨につながっているため、肩の動きにダイレクトに影響を受けます。腕の可動と共に大胸筋は同じ方向に引っ張られて伸びるので、腕のポーズに合わせて大胸筋の形も変化させることが重要です。
参考)一歩上を目指す「首・肩・胸の筋肉図解」とポーズ人形の落とし穴…
大胸筋に陰影をつける際は、筋肉の主線に沿って小さい影を入れることから始めます。黒色の主線に沿って彩度の高い色を置くことで、肌の立体感が出てくるんです。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/312
大胸筋と三角筋の境目のくぼみを描くことで、胸の厚みを表現できます。胸の中心部分にも少し隙間を作ると、立体感を強調できます。
影をつける際は、明るい肌に影をつけるというより、暗い肌に光を当てるように明るい色を塗っていく方が直感的に分かりやすいです。この考え方を取り入れると、自然な陰影が表現できるようになります。
参考)【デジタルイラスト】影のつけ方が難しいです。男の筋肉や裸体を…
光源の位置を意識することも重要で、光が当たる部分と影になる部分を明確にすることで、筋肉の盛り上がりがはっきりと表現できます。大胸筋は丸みを持った立体的な筋肉なので、球体に光が当たったときの陰影をイメージすると描きやすくなります。
参考)光源の位置を意識した陰影のつけ方講座
エッジを柔らかく陰影付けすることで、ふっくらと柔らかい肌の質感が表現できます。毛布で覆われた四角形をイメージすると、適切な柔らかさの陰影がつけられるんです。
参考)筋肉の描き方と色付け by DDALKU - お絵かきのコツ…
大胸筋と三角筋は仲良しで一緒に動く特性がありますが、構造を理解しておくことが重要です。三角筋は肩の前後に覆うように付いていて、大胸筋の一部は三角筋の下にもぐり込むように上腕骨へつながっていきます。
参考)https://www.pixiv.net/artworks/57993860
この構造により、見た目が三角筋の一部のように見える部分があるんです。大胸筋の端は上腕骨に繋がっているため、腕に引っ張られるような形で肩の三角筋と一緒に動きます。
参考)https://www.pixiv.net/artworks/96282968
肩とひとつながりにして描くことで、形の良い大胸筋が表現できます。腕を上げるごとに肩はどんどんと後ろに回転し、三角筋も後ろに回りこむため、この動きに合わせて大胸筋も変化します。
脇の下には様々な筋肉が集まっていて、大胸筋と三角筋の関係を理解することで、脇周辺の描写もリアルになります。腕を上げたときは鎖骨も上がることに注意が必要で、大胸筋の下の部分の厚みが薄くなることも覚えておきましょう。
腕の位置に応じた筋肉の形状変化を正確に捉えることで、どんなポーズでも説得力のある大胸筋が描けるようになります。
参考)「大胸筋」と「腹直筋」の立体的な陰影のつけ方と、腕の位置に応…
大胸筋と腹直筋の間には三角形(ひし形)の隙間があることを忘れずに描きましょう。この隙間は筋肉のボリュームが大きいゴリマッチョの場合は埋まって見えないこともありますが、うっすらあいている感じで描くとリアルな印象になります。
胸骨と鎖骨を理解することも大切で、左右の大胸筋の中心にある胸骨は体を左右に分ける中心線になります。腹筋の中心線ともつながっていて、上半身全体のデッサンの基準線として重宝するパーツなんです。
参考)2種類の骨でデッサンが決まる、胸の描き方!
鎖骨は顔と腕をつなぐ関節に近く、首と肩の比率や首と胸骨の位置を決めたりするなど、上半身のパーツの位置を整える非常に大事な要素です。斜めや上下など難しいアングルのキャラクターを描くときは、胸骨と鎖骨をしっかり描くことでデッサンの精度が飛躍的に上がります。
腹直筋は四角く割って描くのではなく、大胸筋の下から逆ハの字のように一番上の腹筋を描き、そこから六角形のブロックを意識すると自然な仕上がりになります。前鋸筋と腹斜筋が交互に重なるように描くことで、体幹部分全体の連続性が表現できます。
2種類の骨でデッサンが決まる、胸の描き方!では、骨格の重要性について詳しく解説されています。