つまらないストーリーの特徴と面白くない漫画の作り方

つまらないストーリーの特徴と面白くない漫画の作り方

つまらない漫画やストーリーには共通する特徴があります。読者を引き込めない理由や、面白くない物語の構造的な問題点を解説します。あなたの漫画は、知らず知らずのうちにこれらの特徴を持っていませんか?

つまらないストーリーの特徴

つまらないストーリーの主な特徴
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予測可能な展開

読者が次の展開を簡単に予測できるストーリーは緊張感がなく、興味を失わせます

📉
平坦なストーリー展開

起伏がなく、同じ調子で進行するストーリーは読者を退屈させます

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キャラクターの成長がない

主人公やキャラクターに変化や成長がないと読者は感情移入できません

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つまらないストーリーの根本的な問題点

漫画やストーリーがつまらないと感じられる最も根本的な問題は、「読者にとっての価値がない」ということです。つまらないと感じる理由は大きく分けて3つあります。

 

  1. 体験的な価値の欠如: 読んでいて満足感や楽しさを感じられない
  2. 期待できる価値の欠如: 先を読みたいという興味が湧かない
  3. 結果としての価値の欠如: 読み終わった後に何も得られない感覚

これらの問題は、ストーリー構成の失敗から生まれることが多いのです。例えば、主人公の目標が小さすぎたり、敵が弱すぎたり、立ちはだかる壁が低すぎたりすると、読者は「それで?」と感じてしまいます。

 

また、主人公の動機が一貫していないことも大きな問題です。物語の途中で主人公の目的や動機がコロコロ変わると、読者は混乱し、物語への没入感を失います。主人公の一貫した動機と方向性を失うと、ヒロインやラスボス、サブキャラクターの存在価値も同時に失われてしまうのです。

 

つまらないストーリーに見られる要素の詰め込みすぎ

漫画家志望者がよく陥る失敗の一つが、ストーリーに様々な要素を詰め込みすぎることです。特に読み切りや連載の一話目に、以下のような要素を詰め込みすぎると読者を混乱させます:

  • 大量のキャラクター
  • 複雑な設定
  • 各キャラクターのバックグラウンド
  • 過剰なセリフ

作者としては「色々な要素を入れると奥深い作品になる」と考えがちですが、それは大きな勘違いです。実際には、テーマや見せたいものが絞れていないことを示しています。

 

例えば、人気漫画「NARUTO(ナルト)」の一話目は、ナルト、イルカ先生、敵キャラの3人だけで基本的なストーリーが成立しています。サスケの過去や九尾の話などは一話目には詳しく触れられていません。多くの漫画家志望者は盛り上がる最終章を真似しようとして要素を詰め込みすぎてしまいます。

 

参考にするべきは人気作品の最終章ではなく、一話目なのです。メインキャラクターは2〜3人程度に絞り、読者が理解しやすいストーリー展開を心がけましょう。

 

つまらないストーリーにおける平坦な展開と予測可能性

物語に起伏がなく、ずっと同じ調子で進行するストーリーは、読者を退屈させます。緊張と緩和、喜びと悲しみといった感情の揺さぶりがないと、読者は物語に引き込まれません。

 

平坦なストーリーの典型的な例は「主人公が朝起きて、学校に行き、授業を受けて帰宅する」というような日常描写が延々と続くパターンです。このような展開では、読者に強い印象を与えることができません。

 

また、予測可能な展開も読者の興味を失わせる大きな要因です。読者が次に何が起こるかを簡単に予測できてしまうと、続きを読む動機が薄れてしまいます。

 

物語を面白くするためには、「行動」と「反応」のループを効果的に使うことが重要です。漫画に限らず、どのストーリーも基本的には:

  1. 主人公が「行動」し、その行動に他の登場人物が「反応」する
  2. 主人公の行動を受けて他の登場人物が「行動」し、その行動に主人公が「反応」する

このようなテニスのラリーのような展開によって、ストーリーは進み、盛り上がっていきます。特に主人公の「行動」には、そのキャラクターの個性や感情を込めることが大切です。

 

「そういう性格だから、そう行動した」「悲しくなったから、そんなことをした」のように、行動の理由・動機とキャラクターの個性を直結させることで、単なるストーリー進行のための行動ではなく、読者を引き込む見せ場にすることができます。

 

つまらないストーリーにおけるキャラクターの成長不足

キャラクターが成長しない物語は、読者の感情移入を妨げる大きな要因です。キャラクターの成長や変化は物語の魅力の一つであり、読者の心を動かす重要な要素です。

 

「主人公が最初から最後まで同じ性格、同じ能力のままで、何の成長も見られない」というプロットは、キャラクターへの興味を失わせます。特に主人公は、物語の中で絶えず動き、成長することが求められます。

 

主人公は作品の中で以下の役割を担っています:

  • 作者が一番訴えたい「テーマ」を読者に伝える存在
  • 数ある登場人物の中で一番キャラクターが立っている存在

そのため、主人公には「行動力がある」ことが基本的な特性として求められます。ろくに行動せず口ばかりの主人公では、ストーリーは盛り上がりません。

 

また、主人公が常に勝ちっぱなしで完璧すぎる場合も、ストーリーは盛り上がりません。主人公が壁にぶつかり、悩み、それを乗り越えていく過程があってこそ、読者は共感し、感情移入することができます。

 

順風満帆な中での「行動」よりも、悩んだり壁にぶつかったりした上での「行動」の方が、ストーリーを盛り上げる効果があります。

 

つまらないストーリーを避けるための独自視点:動機と目的の一貫性

面白い物語の最も重要な要素の一つは、主人公の動機と目的の一貫性です。これは多くの創作指南書では見落とされがちな視点ですが、物語の骨格を支える重要な要素です。

 

主人公の目的はストーリーの進行に応じて変わることがあっても、その根底にある動機(想い)までが変わってしまうと、物語全体の方向性が失われます。例えば、「友達を助けたい」という動機から始まった物語が、途中で「世界を救いたい」という全く異なる動機に変わると、読者は混乱します。

 

主人公の動機がブレると、以下のような問題が生じます:

  • サブキャラクターの存在意義が薄れる
  • ラスボスとの対決の意味が弱まる
  • 読者の感情移入が困難になる

また、主人公のストーリーよりもサブキャラクターのエピソードが異様に長くなると、読者は「本筋はどこへ行ったの?」と感じてしまいます。例えば、桃太郎の物語で鬼退治が目的なのに、猿の村の問題解決に長い時間を費やすと、読者は本来の目的を見失います。

 

メインストーリーとサブストーリーは明確に区別し、サブストーリーはメインストーリーに紐づけるように意識することが重要です。エピソードが増えるほど物語は複雑になり、読者の理解を妨げる可能性があることを忘れないでください。

 

面白い物語の基本は、主人公が行くべき方向性が最初から最後まで一貫していることです。読者が主人公に感情移入し、「どうやって解決するの?」「最後に達成するの?」と思わせることが、物語を面白くする鍵なのです。

 

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つまらないストーリーから学ぶ面白い漫画の作り方

つまらないストーリーの特徴を理解することで、逆に面白い漫画を作るためのヒントが見えてきます。ここでは、つまらない物語の反対、つまり面白い物語を作るためのポイントをまとめます。

 

  1. 明確な動機と目標を設定する
    • 主人公の動機を明確にし、一貫性を持たせる
    • 目標は具体的で、読者が応援したくなるものにする
  2. キャラクターに深みを持たせる
    • 主人公に長所だけでなく短所も与える
    • 成長の余地を残し、物語を通じて変化させる
    • 「その行動はその主人公しかやらない」と思わせる個性を持たせる
  3. 緊張と緩和のリズムを作る
    • 常に同じトーンで進行せず、メリハリをつける
    • 主人公が壁にぶつかり、それを乗り越える瞬間を作る
    • 「行動」と「反応」のループを効果的に使う
  4. 読者の期待を裏切る展開を入れる
    • 完全に予測不可能である必要はないが、意外性は必要
    • 伏線を張り、それを回収する喜びを読者に与える
  5. 焦点を絞る
    • 特に初期段階では要素を詰め込みすぎない
    • メインキャラクターは2〜3人に絞る
    • 一話で伝えるべきことを明確にする

漫画の本質は「行動する主人公」です。主人公に絶えず行動させ、その行動に他のキャラクターが反応し、さらに主人公が反応するという循環を作ることで、ストーリーは自然と盛り上がります。

 

また、主人公の「最大の行動」をクライマックスに置くことで、物語全体の構造が明確になります。この「最大の行動」は、それまでの物語で積み重ねてきた主人公の成長や変化の集大成となるべきものです。

 

漫画制作者による「ストーリーを面白くする・盛り上げるためのコツ」の解説
最後に重要なのは、創作者自身が「描きたい」「伝えたい」という強い思いを持つことです。単に人気の傾向や売れている要素を組み合わせただけの作品は、読者に「何も感じない漫画」として受け取られがちです。自分の情熱を注げるテーマや世界観を見つけ、それを一貫性を持って表現することが、面白い漫画を生み出す第一歩なのです。

 

小説家による「つまらないプロットの特徴」の詳細解説