
モーションブラーとは、高速で動く物体を撮影した際に発生する「被写体のブレ」を意味する視覚効果です。カメラで写真を撮る瞬間に被写体が動いてしまい、像がぼやけたりガウスぼかしがかかったような状態になる現象を指します。
参考)イラストの動きに「ブレ、残像」を付ける方法(モーションブラー…
漫画やイラストの世界では、この現象を意図的に取り入れることで、静止画に動きやスピード感を与える重要な表現技法として活用されています。実写のアニメーションでは、早い動きの中間にぼかし加工を入れることで、通常よりもスピード感を強調できることが知られています。
参考)アニメーションの表現で早い動きにモーションブラーを撮影でつけ…
モーションブラーは単なる装飾ではなく、読者に「速く動いている」という情報を視覚的に伝える機能を持っています。目の前で手を素早く振ると、像が横に伸びているように見える現象と同じ原理です。
モーションブラーは、シーンで最も速く動くエリアに追加することで最大の効果を発揮します。例えば、ギターで誰かを殴るシーンでは、静止している脚ではなくギター本体にモーションブラーを加えることで、スピード感が正確に伝わります。
参考)コミックアクションシーンにモーションブラーを追加する方法 href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/9282" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/9282quot;…
バトル漫画では、勢いよく殴りかかる拳の動きや高速回転するプロペラの表現に頻繁に使われています。銃のマズルフラッシュや銃弾の軌跡、銃のリコイル(反動)などの描写にも、放射ぼかしや移動ぼかしを組み合わせたモーションブラー技法が効果的です。
参考)モノクロ漫画の為のぼかしフィルターの使い方 基本と応用 href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/5757" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/5757quot;マ…
レンズぼかしとモーションブラーを併用すると、バトルシーンに臨場感を加えることができます。ただし、やりすぎると漫画が見づらくなるため注意が必要です。印刷時にうまく再現されないこともあるので、その点も考慮しましょう。
参考リンク:モーションブラーの基本的な使い方について詳しく解説されています
モノクロ漫画の為のぼかしフィルターの使い方 基本と応用 - CLIP STUDIO TIPS
手描きで線画を使ってモーションブラーを表現する場合、細かく短い線を多く描き込むことが基本テクニックです。この方法で像がブレた感じを出し、擬似的にブラー効果を再現できます。
動きの方向性を意識して効果線を引くことが重要なポイントです。「このキャラはどの方向に動いているのか」を効果線で読者に明確に伝える必要があります。スピード感のある動きを表現したい場合は、線を長く、密に、直線的に描くと効果的です。
漫画の効果線には主に以下の種類があります:
これらの効果線は単なる装飾ではなく、ストーリーテリングの重要な要素として機能します。適切な効果線を選び、適切な場所に配置することで、読者に感情や状況を効果的に伝えられるのです。
CLIP STUDIO PAINTなどのデジタルソフトでは、ぼかしフィルターを活用して効率的にモーションブラーを表現できます。基本的な手順は、まずレイヤープロパティの表現色をモノクロからグレーに変更し、フィルターメニューから「ぼかし」を選択します。
放射ぼかしや移動ぼかしを物体や体の運動の向きに合わせてかけると、運動している物体をカメラで撮影したような効果が得られます。銃のマズルフラッシュには放射ぼかし、銃のリコイルには移動ぼかしを使うと臨場感が増します。
選択領域ツールを使ってぼかしたい領域の周囲を描画し、選択範囲内にぼかしを適用することで、必要な部分だけを効果的に処理できます。さまざまな設定を試して見た目が適切かどうかを確認することが大切です。
ぼかしの種類 | 効果 | 主な用途 |
---|---|---|
ガウスぼかし | 全体的に均一なぼかし効果 | 基本的なブラー表現、フチぼかし |
放射ぼかし | 中心から放射状に広がるぼかし | マズルフラッシュ、爆発表現 |
移動ぼかし | 特定の方向へのブレ | 銃のリコイル、直線的な動き |
参考リンク:CLIP STUDIO PAINTでの具体的な設定方法が解説されています
コミックアクションシーンにモーションブラーを追加する方法 - CLIP STUDIO TIPS
モーションブラーは、動きの速さを視覚的に強調するための効果的な手法です。人が走っているシーンや車が高速で移動している場面では、背景や物体の輪郭をぼかすことで、視覚的なスピード感が強く伝わります。
参考)モーションブラーとは?建築パース・CGパース制作での利用法を…
スピード感を出す実装では、ブラーを使うとよりスピーディーに見える効果があります。動きの中間状態にぼかし加工を入れることで、通常よりもスピードを出しているという印象を与えられるのです。
参考)モーションブラーでスピード感を出す #JavaScript …
建築パースやCGパース制作でも、通りを走る車や建物の外で動いている人々をモーションブラーで表現することで、シーンに活気や動きを加えることができます。夜のシーンでは車のライトが伸びるようにブレることで、都市の夜景に独特の幻想的な雰囲気を与える効果もあります。
ただし、モーションブラーに頼りすぎるのは避けるべきです。ポーズと描画だけでスピード感は伝わるはずなので、モーションブラーは補助的な演出として使うのが効果的です。
モーションブラーを使う際の最も重要なコツは、動きの方向と速さを正確に意識することです。速い動きを表現したい場合は線を長く、密に、直線的に描き、ゆっくりとした動きを表現したい場合は線を短く、疎らに、曲線的に描くと効果的です。
髪の毛や服の動きと組み合わせることで、より躍動感のある表現が可能になります。服や髪に少し動きをつけるだけでも十分な効果があり、服の裾を大胆に動かすと異様な迫力が出ます。
デジタルツールを使う場合は、フィルターの動作が重くなりやすいため、使いたい部分だけをあらかじめ選択範囲で囲っておくとスムーズに作業できます。また、放射ぼかしや移動ぼかしをかける前に、ガウスぼかしを少しだけかけておくと、キレイにぼかすことができます。
最終的にはスクリーントーン化を忘れずに行うことも重要です。Web上で発表するならグレーのままでも大丈夫ですが、雑誌掲載など印刷する予定ならスクリーントーン化は必須となります。
参考リンク:アドビ製品でのモーションブラー設定について詳細に解説されています
モーションブラーとは?写真・動画をあえてブレさせる意味や設定方法 - Adobe