風が吹いている表現で漫画の心理描写を描く技法とエフェクト

風が吹いている表現で漫画の心理描写を描く技法とエフェクト

風が吹いている場面を漫画で描くとき、髪や服のなびき方だけでなく、心理描写や状況表現にも活用できるって知っていますか?見えない風を可視化する描き方から、キャラクターの感情を表現する技法まで詳しく解説します。

風が吹いている表現の描き方

この記事で分かること
🌬️
風の軌道の考え方

風を球体として捉えて物への影響を描く方法

💭
心理描写への活用

緊張感や物悲しさを風で表現する技法

エフェクトの描き方

ゲームやアニメ風の風属性エフェクト作成手順

kindleアンリミ無料

風が吹いている場面での軌道の考え方

風は目に見えないものなので、線を引くだけでは吹いている感じを表現できません。風を描くときは、まず軌道を考えることが重要です。
参考)風が描ければ漫画の魅力倍増!風の表現の仕方と心理描写にも -…

風の吹く方向に線や矢印を描くのが基本ですが、それだけでなく風を球体として捉えて飛んできていると想定すると、風に吹かれる物への影響を想像しやすくなります。例えばカーテンがある場面では、窓から風の球体が飛んでくるイメージを描き、球体がぶつかってきたことでカーテンが翻る様子を表現するんです。​
ただ風が吹いてきたと考えるよりは、球体が通ってきたと考えた方が翻り方を想像しやすくなります。他の漫画やイラスト、技法書などから翻り方を参考にするのもおすすめです。​
風による影響を受けやすい要素として、以下のようなものがあります:

  • 長い髪がなびく様子
  • 木の葉が飛ぶ様子
  • 干したタオルが揺らめく様子
  • 服やマントがはためく様子

これらの物体の動きを通して、見えない風を可視化できるわけです。​

風が吹いている表現を使った心理描写の技法

漫画は文字に頼らず絵で表現していくメディアなので、キャラクターの心理状態も背景描写により表されることが多いです。「このキャラクターはこのときこう感じた」と文字で説明するのは陳腐で面白みがありません。​
風の描写は心理表現の重要な手法の一つです。具体的には以下のような場面で活用できます。​
物悲しさやガランとした状況の表現では、シャッター街やゴーストタウンのような人気がない寂しげな場面で、少し緩めの風を一度吹かせる演出が効果的です。枯葉を一枚吹かせるとより雰囲気が出ます。​
穏やかな心理状態の表現では、窓から涼しい風が吹いてくる場面や、暑いときに風に吹かれて涼しくなる状況を描くことで穏やかな感じを表現できます。背景効果トーンも雰囲気づくりに活用すると良いでしょう。​
緊張感や戦いの前触れの表現では、緩い風ではなく強風で状況を表します。戦闘に赴くキャラクターたちの引き締まった気持ちを、強い風で演出するわけです。緊張する場面では、描き文字もシャープで大きめに描かれることにも注目してください。​
季節の表現として、枯葉を吹かせることで秋を、桜の花びらを舞わせることで春を表現することもできます。​
風の強さや吹き方のバリエーションを使い分けることで、様々な心理状態や状況を表現できるんです。

 

風が吹いている場面での素材による描き分け

風に吹かれる物体は、素材の違いによって影響の受け方が変わります。この描き分けができると、よりリアルで説得力のある表現になります。​
軽い素材の服やカーテンなどは、風に吹かれることで大きく翻ります。ヒラヒラとした軽い素材は風の影響を受けやすく、高く舞い上がるような動きを見せます。​
一方、重い素材の上着やコートなどは、あまり翻りません。風が吹いても、軽い素材ほどには動かないことを意識して描く必要があります。​
髪の毛も風でなびく代表的な要素ですが、髪質によってなびき方が異なります。細くて軽い髪はふわっと大きくなびきますが、太くて硬い髪は動きが少なめになります。

 

煙も風の影響を受けやすい要素です。工場の煙突から出る煙の場合、吹き出し口近くの煙は勢いよく速く上昇しているため、あまり風の影響を受けず横に流れません。上に行けば行くほど煙の上昇速度は遅くなるので、上の方は風の影響で横に流れます。​
焚火の煙は吹き出し口がないため、下の方から風の影響を受けやすいという特徴があります。​
素材の違いをしっかり頭に入れておくことで、風の表現がより自然で説得力のあるものになります。​

風のエフェクトの具体的な描き方手順

ゲームやアニメで使われるような、風属性のエフェクトを描く方法を解説します。視覚的にカッコ良く、イラストに雰囲気を出すことができます。
参考)かっこいい!エフェクトの描き方 【風】編

手順1:風のシルエットを描く
新規レイヤーを追加して、黄緑色などで風のシルエットを描きます。空気の流れを可視化するという意識で描いていくと風っぽさが出ます。先を尖らせると、強い風が吹いているようなカッコいい形になります。​
風のエフェクトは長くなめらかな曲線をアタリにして描くのが基本です。髪の毛の毛束のように線を重ねて描くことで、質量のある風の表現ができます。​
手順2:アウトラインを描く
シルエットを取ったレイヤーの下に新規レイヤーを追加し、シルエットよりも濃い色でアウトラインを描きます。選択範囲の拡張を使うとシルエットのふちどりができます。​
手順3:影をつける
シルエットを描いたレイヤーの上に新規レイヤーを追加してクリッピングし、エアブラシやぼかしを使って風の影を描いていきます。シルエットを取った色よりも少し彩度が高く、濃い色を使うと良いでしょう。​
手順4:明るい部分に色を乗せる
新規レイヤーを追加してクリッピングし、影をつけていない明るい部分に明るい黄色をエアブラシで乗せます。外側より内側の色を明るくし、裏側が見えるところは影をつけるようにやや暗めの色にすると立体感が生まれます。​
手順5:ハイライトを描く
新規レイヤーを追加してクリッピングし、明るい色を乗せた所に白色で細く鋭利にハイライトを入れます。先の方に少しぼかしを入れると立体感が出ます。​
手順6:お好みで葉っぱを描く
風のエフェクトはゲームなどで草属性や木属性のキャラクターに使われることが多く、葉っぱや花びらなども一緒に描かれている事が多いです。葉っぱや花びらを描くことで風が吹いている感じがするのでおすすめです。​
風の強弱は、アタリのカーブの曲がり具合で調整できます。アタリのカーブが弱いと風の勢いが強く見え、うねったようなカーブの強いアタリで描くとそよ風のようなゆったりとした風が描けます。​

風が吹いている表現と描き文字の組み合わせテクニック

風の表現をさらに効果的にするには、描き文字(オノマトペ)との組み合わせが重要です。風の種類や強さによって、適した描き文字が変わってきます。​
緊張する場面や戦いの前触れでは、描き文字もシャープで大きめに描かれることが効果的です。「ゴォォォ」や「ビュウゥゥ」といった強風を表す描き文字を、風の軌道に沿って配置することで、より臨場感が増します。​
穏やかな風の場面では、「そよそよ」や「ふわ」といった柔らかい印象の描き文字を小さめに配置すると良いでしょう。描き文字のフォントや大きさ、配置場所を工夫することで、風の性質を視覚的に伝えられます。

 

また、風による影響を受ける物体と描き文字を組み合わせることで、相乗効果が生まれます。例えば、髪がなびく様子に「さらっ」という描き文字を添えたり、葉っぱが舞う場面に「ひゅるる」といった描き文字を配置したりすることで、風の存在感が強まります。

 

描き文字の配置は、風の軌道と同じ方向に流すのが基本ですが、あえて逆方向に配置することで、風の強さや乱れを表現することもできます。風の向きと描き文字の向き、大きさ、形状を総合的に考えることで、より表現力の高い場面を作り出せるんです。

 

背景効果トーンも雰囲気づくりに活用し、風の表現と組み合わせることで、キャラクターの心理状態をより深く読者に伝えることができます。​
参考になる技法書の情報として、「風が描ければ漫画の魅力倍増!風の表現の仕方と心理描写にも」では、風の軌道の考え方から心理描写まで実践的に解説されています。

 

また、「かっこいい!エフェクトの描き方【風】編」では、デジタルツールを使った風のエフェクトの具体的な手順が紹介されています。