
冬景色を描くときに最も重要なのが色選びなんです。雪景色は紙の白と陰の色で表現していきますが、単純に白とグレーだけでは冷たさや空気感が伝わりません。
参考)雪景色を描こう|雪景色特集|作品|スケッチの写真素材|雪景色…
空の色は、コバルトブルーやセルリアンブルーに近い青色を使うと冬らしさが出ます。秋と冬の透き通った青空にはコバルトブルー系、春と夏の青空にはセルリアンブルー系という使い分けも効果的です。冬の空は冷たく澄んだ青空や曇り空が特徴で、冷たさを表現するためにクリーンな線で描くことがポイントになります。
参考)空の描き方:デッサンや鉛筆画における基本とコツ!|中山眞治
雪の陰色には、パープル(ミネラルバイオレット、ウルトラマリンブルーとクリムソンレーキの混色)やセルリアンブルー、ウルトラマリンブルーなどを使用します。日が当たっているところは紙の白、イエロー、ジョンブリアン、イエローオーカーなどで表現すると、ふんわりと積もった雪の厚みが出せるんです。
色相グラデーション(紫から青)を活用することで、より立体的で魅力的な冬景色になります。単色ではなく、寒色系のグラデーションを意識して描くことが、プロレベルの仕上がりへの近道です。
参考)簡単な描画:2種類の冬の雪景色 href="https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/10223" target="_blank">https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/10223quot;シンプルな描画シーン #…
雪の積もり方は、風の方向と強さによって大きく変化します。普通に上から降った場合は平面に乗っていきますが、風が強い場合は雪が風に飛ばされるほど軽いため、風の方向に降り方が変わっていくんです。
参考)冬と言えば雪!!風に左右されながらの描き方
横風が吹いた状態で雪が積もった場合、木には雪が横から貼りついているようなイメージになります。木のふもとは風避けになっているので雪が薄い…というイメージで描いてあげると、よりリアルな表現になります。豪雪地域では容赦なく雪で埋められた状態を表現するため、描きたいシーンを意識してどのように雪を降らせ、そして積もらせるかを頭に置いて描くと良いでしょう。
晴れた日のくっきりとした影に比べ、雪の日(曇りの日)は日差しがはっきりしないため、影の形がぼやけてしまいます。そのため、大まかな位置を描けば十分で、枝の形を明示的に描く必要はありません。この違いを理解することで、天候に応じた適切な表現ができるようになります。
雪の質感を表現する際は、水分の多いボタ雪であれば広がるというより雨のイメージで描いていくと良いです。北国の豪雪地帯や雪山では雪の量に加え風の強さも半端ではないので、もう白い線で激しさを表現するのが効果的なんです。
冬景色を魅力的に見せるには、前景(近景)・中景・遠景と大きく3つに分けて考えることが重要です。前景は細かくはっきり、中景はそこそこはっきり、遠景はぼんやり塗るなど、描く目安を持つことで作品に奥行きが生まれます。
参考)雪・描き方/雪景色をパステルで描く方法(雪原をパステルで書く…
近景の表現では、キャラクターの吐息を白くする表現で温度感を伝えることができます。寒い場所で吐く息が白くなる表現は、見る人に冷たさを直感的に伝える効果的な手法です。頭や肩などに雪が乗っている表現を加えると、雪景色に馴染ませることができ、画面も少しリッチになります。靴などが雪に埋まっている表現も、雪の柔らかさを伝えることができる重要なポイントです。
参考)https://www.palmie.jp/lessons/330
中景の表現では、地面や建造物の積雪を描きます。画面に対する雪の面積が大きくなりやすく、どれくらい積もっているのか、どんな気候なのかをコントロールできるんです。冬の木々は葉を落としているので地味な印象になりがちですが、葉っぱの代わりに雪が乗っている表現を加えることでリッチな印象が出せます。
遠景の表現では、降雪量が多いと遠くが白く飛んでしまい、はっきり見えなくなります。遠景の山や木々にも積雪を描き加え、標高の高い山頂に向かうほど雪が溶けずに残っている様子を表現すると、よりリアルな冬景色になります。
構図を考える際は、三分割法を活用すると効果的です。画面を縦横に三等分する直線を引き、それぞれの交点に重要な要素を配置する構図法で、キャラクターと背景が同じ白色になる冬景色でも、配色のバランスを取りやすくなります。
参考)イラストテクニック第109回/四季まこと |ワコムタブレット…
降る雪の表現には複数のテクニックがあります。水を飛ばす方法では、空の色が濡れているうちに筆にきれいな水を含ませて指先で軽くはじくと、自然な雪の質感が出せます。また、空の色が濡れているうちに塩を上からパラパラ散らし、画面が乾いてから塩をきれいに振り落とす方法も効果的です。
デジタルで描く場合、「光3」ブラシが便利です。本来は夜景の光などに使うブラシなのですが、簡単に大きさの違う雪が描けるため、降雪表現に適しています。雪は下に行くに従い大きく広がっていき、上に行くにつれて細かく密集していくイメージで描くと、遠近感が出るんです。
参考)【初心者向け】雪の描き方とおすすめブラシ
雪の結晶は六角形を基準にして描きます。線を一本引き、そこにクロスさせてエックスの形に線を引き、そして枝分かれさせていきます。どの線も同じ長さ、同じ形になるように描くのがコツです。それらしく見せるには、枝分かれさせることと、六角形の形にすることが重要なポイントになります。
参考)ふわりと舞う雪の結晶(冬景色)の描き方
大小、濃淡に差をつけて描いたり、霞に消え入るように途中までの形で描いたりすると、より自然な雪の結晶の表現になります。雪の結晶自体も、ごく簡単でシンプルなデザインからレースのように細かなデザインまで、オリジナルのデザインを作るのも楽しいです。
デジタルツールを使う場合、クリップスタジオペイントの対称定規を「12本」に設定すると、六角形の雪の結晶をフリーハンドで簡単に描けます。雪の結晶は白く透明で、暗い背景に映える性質があるため、水色や青などの寒色系を取り入れ、水彩タッチをプラスすると透明感や繊細さがぐっと引き立ちます。
参考)初心者も簡単!雪の結晶のイラストの描き方 - オンラインイラ…
冬景色で季節感を出すには、光と影のバランスが極めて重要です。新雪の美しさと冬空の爽やかさを表現することを目標に、キャラクターの白さと空の青さとのコントラストを意識します。
背景を描く際は、空の色は明るめ、木のシルエットは暗めの色で描くのがコツです。霞がかった遠くの森を表現する場合、空と木の境界線を馴染むようにすることで、空気感が生まれます。地面に近いところを真っ白になるように描き、霞の色からだんだん白くなるようにふわり馴染ませつつ描くと、より自然な仕上がりになるんです。
光の粒を描くときは、チタニウムホワイトでハイライトになるところや光の粒をしっかり白くするのがコツです。明暗に差が出て、キラキラとしたイメージを表現できます。冬特有の冷たく澄んだ光を表現するため、前景に黄・赤といった前進色を置くことで、白いキャラクターと背景の配色問題に対処できます。
舞う雪のもやと粒を描く際は、水で薄く溶いた白色を使い、丸い形を描いていきます。大小の変化をつけると遠近がつき、丸い形だけでなく半円にするなど形にも差をつけるとより絵も豊かに見えるんです。
日本庭園や和風の風景を描く際の参考資料も豊富にあります。
日曜画家|雪景色を描こう特集
こちらのサイトでは、実際の雪景色の作品例や写真素材、水彩画での雪の色の作り方など、具体的な技法が紹介されています。
ふわりと舞う雪の結晶(冬景色)の描き方|三俣
初心者でも描きやすい雪の結晶の描画プロセスが、使用する絵の具から完成までステップバイステップで解説されており、補足動画では雪の結晶のデザインパターンも紹介されています。
雪のイラストの描き方は?降雪や積雪を描くポイント|お絵かき図鑑
降っている雪と積もっている雪の描き方、配色と空気感のポイントについて、プロのイラストレーターによる解説があり、漫画やイラストでの雪表現の基礎が学べます。