ベタフラッシュの描き方|初心者でも描ける効果線の基本とコツ

ベタフラッシュの描き方|初心者でも描ける効果線の基本とコツ

ベタフラッシュは漫画の心理描写に欠かせない効果線ですが、初心者にとっては難易度の高い技法です。アナログとデジタルそれぞれの具体的な描き方、線の抜き方のコツ、失敗を防ぐポイントまで、実践的な知識を網羅的に解説します。あなたはどの描き方からチャレンジしますか?

ベタフラッシュの描き方

この記事で分かること
✏️
アナログとデジタルの描き方

つけペンと定規を使う伝統的な技法から、クリスタなどのソフトを活用した効率的な方法まで

💡
線の抜き方のコツ

ジグザグ模様を作り出す入り抜きの技術と、720本もの線を引く実践テクニック

🎯
効果的な使い分け

集中線やウニフラッシュとの違いを理解し、心理描写に最適な演出を選ぶ方法

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ベタフラッシュの基本構造と線の抜き方

ベタフラッシュは、黒ベタの背景に白い集中線部分を作り出す技法で、その美しさは「線の抜き」にかかっています。線の抜きとは、描き始めを太く、先端に向かって細くなる線のことで、この太い→細いの変化がジグザグ模様を生み出す仕組みなんです。
参考)[漫画効果]線の抜き×720!ベタフラッシュ[アナログ]

実際にベタフラッシュを描くには、およそ720本もの線を引く必要があり、所要時間は約2時間程度かかります。均等な太さの線では美しいジグザグが作れないため、シャっと勢いを持って描く筆圧コントロールが絶対に必要なんですね。​
線を並べていく際のコツは、1束ずつなんとなく作っていくイメージを持つことです。少し遠目で見た時に、形がジグザグっぽくなっていると綺麗に仕上がります。細部を作りながら全体像をイメージする、この感覚が上達の鍵になります。​

ベタフラッシュのアナログでの描き方と道具選び

アナログでベタフラッシュを描く場合、まず円形の範囲を下書きし、円の中心にマスキングテープで画びょうを止めます。この中心点に向かって線を引いていくのが基本ですが、定規の選び方にコツがあるんです。
参考)漫画の集中線や効果線の書き方!コツやポイントを丁寧に解説

定規はエッジのついたものを選び、裏向き(角度のついている面が用紙と接着するように)に置きます。定規のエッジと用紙の間に隙間ができるため、つけペンでインクをつけて描くときに用紙を汚さずに済むんですね。
参考)[漫画を描こう]ベタフラッシュの描きかた

線の引き方は、筆圧を最初は強く、抜きは弱くするのがポイントです。下書きでは吹き出しのようなモコモコを中心点から同心円のように二重に描いておき、外側線から中心に向かって内側線まで線を引いていきます。線と線の間にスキマができたら、ペンで塗りつぶして調整しましょう。​
アナログ作業に関する詳しい技術は、小学館の公式サイトで解説されています。

 

濱野裕二マンガスクール - 集中線やベタフラッシュを上手く描くには

ベタフラッシュのデジタルでの描き方とツール設定

デジタルでベタフラッシュを作成する場合、CLIP STUDIO PAINTのフラッシュツールを使うのが最も効率的です。ツールプロパティで「ブラシサイズ」と「線の間隔(距離)」をうまく設定することで、ベタフラッシュを表現できます。
参考)クリスタでベタフラッシュを簡単に作成する方法!!

基準位置の設定は「内側」「中点」「外側」の3種類から選べ、ベタフラッシュの中央部分を広くしたいなら「内側」を、狭くしたいなら「外側」と目的に合わせて調整します。「長さ」の項目では線の長さを設定でき、線が長い方がより内側が詰まったベタフラッシュになるんです。​
「下地を塗りつぶす」にチェックを入れると、フラッシュの内側を自動的に塗りつぶしてくれます。塗りつぶしの色や不透明度も設定できるので、ベタフラッシュの内側に下の絵が映らないようにする際に便利なんですね。​
最も簡単な方法は素材のベタフラッシュを利用することで、素材ウィンドウから「すべての素材 → 漫画素材 → 効果線 → ベタフラッシュ」を開いて利用したい効果をレイヤーにドラッグするだけです。
参考)CLIP STUDIOでベタフラッシュの効果を使う - MR…

クリスタの公式素材サイトでは、様々なベタフラッシュ素材が提供されています。

 

CLIP STUDIO TIPS - フラッシュと集中線の描き方

ベタフラッシュと集中線・ウニフラッシュの使い分け

ベタフラッシュは集中線の応用技法ですが、使うべきシーンが明確に異なります。集中線を描くときよりさらに最初の線を太く入れ、線同士をつなげてしまうのがベタフラッシュの特徴なんです。
参考)【小学館 まんが家養成講座】まんがの背景を描こう!(後編)

集中線は「山」を作ることがコツで、大きな山を4~6本の線、小さな山を2~3本の線で作り混合させます。一方、ベタフラッシュはその倍程の線量で作り上げ、良いベタフラッシュは白の部分にも綺麗な山が作られているんですね。​
心理描写における使い分けとして、フラッシュは心の声を少し強調したいとき、ウニフラッシュは決意・決心や心の中でガッツポーズなど強い感情のとき、ベタフラッシュはさらに強い感情でネガティブな気持ちを表すときに使います。強い驚き・衝撃、強い願望・祈り、絶望・失望といった感情のときに使うと効果が高まります。
参考)漫画家必須の技術!吹き出しの基本3種を覚えて読まれる漫画を描…

効果線の種類 線の特徴 使用シーン 感情の強さ
集中線 山を作る4~6本の線 迫力を出したい場面
フラッシュ やや少なめの線 心の声の強調 中~強
ウニフラッシュ 密集した放射線 決意・決心、前向きな気持ち
ベタフラッシュ 黒背景+密集線 絶望・驚愕などネガティブ感情 最強

ベタフラッシュの失敗を防ぐ実践的なポイント

ベタフラッシュでよくある失敗は、ジグザグがうまく作れずに模様のように見えてしまうことです。これは線の間隔がそろいすぎているためで、アナログで描く際は多少のズレが自然に発生するため模様化しないんですね。
参考)アナログ備忘録。のようなもの 6|yukima

デジタルで作成する際は、最初から小さく作るとヘンになってしまうので、大きく作ってそのあとで縮小するのがコツです。ツールプロパティの数値を調整し、見た目を変えたい場合は何度も試行錯誤してください。
参考)フラッシュがジグザグ - CLIP STUDIO ASK

ベタ集中線を描くときは、ベタになる部分を太めに、線を密に引いて隙間ができないようにします。先にベタ部分を塗ってから効果線を描く人もいますが、定規でベタを擦ってしまうのが心配な場合は、先に効果線を描いてから最後にベタを塗る方法がおすすめです。​
フラッシュ線のほぼベタ部分とただのベタの部分とで濃度の違いがムラになることがあるため、境目を筆で軽くベタをして慣らしていくテクニックも有効なんです。白い隙間が空きすぎたと感じたら、一緒にベタで埋めたり細い線を足したりして調整しましょう。​

ベタフラッシュを活用した演出テクニック

ベタフラッシュは単なる背景効果ではなく、吹き出しとして活用することでさらに表現の幅が広がります。集中線や流線のテクに習熟してから、ベタフラッシュをセリフを入れるフキダシにしたりする応用が可能なんです。​
キャラクターが何かを感じた重要なシーンで使うのが効果的で、ここぞというシーンに限定して使うことで、読者の印象に強く残ります。コントラストが強くなり、集中線の先にある中心部の印象が際立つため、心情表現の演出として非常に有効なんですね。
参考)《初心者×経験者》マンガの心情表現の演出をマスター! 効果ト…

デジタルの場合、レイヤーの順番を調整することでコマ枠との重なりを制御できます。ウニフラッシュが枠線にかかると枠線まで白くなる場合は、ドラッグでウニフラッシュの上にコマ枠レイヤーを持ってくれば解決します。​

  • 重要なシーンでの心理描写に使う
  • 強い驚き・衝撃を表現するときに効果的
  • 吹き出しとして活用し、セリフと組み合わせる
  • デジタルではレイヤーの順番で表現を調整
  • 周りもベタ塗りして効果を最大化する

ベタフラッシュは手間のかかる効果線の一つですが、習得すれば漫画の表現力が格段に向上します。むずかしい技なので、まず集中線やスピード線のテクに習熟してから挑戦するのが成功への近道なんです。​