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「鬼人幻燈抄」は中西モトオ氏による和風ファンタジー小説で、2011年頃から小説投稿サイト「Arcadia」で連載が始まり、その後「小説家になろう」でも公開されました。2019年から双葉社から商業出版され、2021年からはコミカライズも展開。そして2025年3月31日からはついにアニメ放送が開始されます。
物語は天保十一年(1840年)の江戸時代から始まり、平成に至るまでの170年もの時間を旅する壮大なストーリー。主人公の甚太(後に甚夜と改名)が、鬼となった妹・鈴音を追いかけながら、様々な時代を巡る展開が特徴です。
物語の舞台となる「葛野(かどの)」は架空の山間の集落ですが、その雰囲気や世界観は実在する場所からインスピレーションを得ていると考えられます。特に長野県の山間部にある古い集落の風景は、作品の世界観と重なる部分が多いでしょう。
作中では、巫女「いつきひめ」を中心とした信仰や、鬼との戦いが描かれており、日本古来の民間信仰や伝承を基にした独自の世界観が構築されています。この世界観を体感できる場所を訪れることは、作品をより深く理解する手助けとなるでしょう。
「鬼人幻燈抄」の作者自身が注目している場所として、長野県白馬村にある「青鬼神社」と「青鬼集落」があります。作者は自身のnoteで、この場所を紹介しています。
青鬼神社は、その名の通り「鬼」を祀っている神社で、1000年以上の歴史を持ちます。現在の社殿は明治時代に再建されたものですが、周囲の山々に囲まれた立地は、作品の雰囲気を感じるのに最適です。神社に至る石段を登っていく過程も、作品の世界に入り込むような体験ができるでしょう。
青鬼集落は、江戸時代の名残を残した伝統的な家屋が立ち並ぶ場所で、まさに「鬼人幻燈抄」の葛野集落を彷彿とさせます。集落内には「お善鬼の館」という小さな資料館もあり、地域の歴史や文化を知ることができます。
特に注目すべきは、村はずれにある「天保」と刻まれた石柱です。「鬼人幻燈抄」の葛野編も天保時代が舞台となっており、この時代設定との一致は偶然とはいえ、ファンにとって感慨深いものがあるでしょう。
青鬼集落へのアクセスは、長野駅から車で約1時間。白馬駅の近くから狭い山道を登っていくと到着します。ただし、観光地化された場所ではないため、訪問の際には地元住民への配慮が必要です。静かに風景を楽しみ、写真撮影も控えめにするなど、マナーを守って訪れましょう。
2025年3月31日から「鬼人幻燈抄」のアニメが放送開始されることが決定しています。横浜アニメーションラボによるアニメーション制作で、相浦和也監督、赤尾でこさんのシリーズ構成、池上たろうさんのキャラクターデザインという布陣で制作が進められています。
アニメ化により、作品の知名度はさらに高まることが予想され、それに伴って聖地巡礼を目的とした観光客も増加するでしょう。特に青鬼神社や青鬼集落などの関連スポットは、ファンの間で注目を集めることになるはずです。
アニメ放送後は、作中に登場する風景や建物と実際の場所を比較する「聖地探し」も活発になると考えられます。アニメの背景美術が実在の場所をモデルにしていれば、新たな聖地が発見される可能性もあります。
また、アニメ放送を機に、地元自治体や観光協会が公式な聖地マップを作成したり、関連グッズを販売したりする動きも出てくるかもしれません。「鬼人幻燈抄」の世界観に合わせた特別なイベントや展示が行われる可能性もあり、ファンにとっては楽しみな展開が期待できます。
ただし、聖地巡礼の人気が高まることで、地元住民の生活に支障が出る可能性もあります。特に青鬼集落のような小さな集落では、急激な観光客の増加は環境や生活に影響を与えかねません。ファンとしては、作品を愛する気持ちと同時に、訪問先への敬意と配慮を忘れないようにしましょう。
「鬼人幻燈抄」の物語は江戸時代の天保年間から始まります。聖地巡礼をより深く楽しむためには、江戸時代の風情を感じられる場所を訪れることも重要です。
青鬼集落は江戸時代の伝統家屋が今も残る貴重な場所です。特に注目したいのは、集落内の建築様式。茅葺き屋根や木造の構造、当時の生活様式を伝える間取りなど、タイムスリップしたような感覚を味わうことができます。
また、集落近くを流れる川は、作中の「戻川」を想像させます。物語の中で重要な役割を果たす川の描写と実際の風景を重ね合わせることで、作品世界への没入感が高まるでしょう。
江戸時代の風情を感じるためには、訪問時期も重要です。雪深い冬の風景は厳しさがありますが、作品の世界観に最も近いかもしれません。一方で、新緑の季節や紅葉の時期は美しい景観を楽しめます。季節ごとに異なる表情を見せる山間の集落は、何度訪れても新たな発見があるでしょう。
さらに、長野県内には他にも江戸時代の面影を残す場所があります。妻籠宿や奈良井宿などの中山道の宿場町、松本城などの歴史的建造物も、「鬼人幻燈抄」の世界観を補完する聖地巡礼スポットとして訪れる価値があります。
「鬼人幻燈抄」の聖地巡礼を楽しむためには、いくつかのポイントと注意点があります。
まず、作品の時代設定を意識した巡り方をすることで、より深い体験ができます。例えば、青鬼集落を訪れる際は、スマートフォンやカメラなどの現代的な機器の使用を最小限に抑え、静かに風景を眺めることで、江戸時代の雰囲気に浸ることができるでしょう。
また、「鬼人幻燈抄」は江戸時代から平成までの長い時間軸を持つ物語です。各時代の舞台となった場所を時系列順に巡ることで、物語の流れに沿った聖地巡礼が可能になります。例えば、江戸時代の舞台である青鬼集落から始め、明治・大正・昭和・平成と時代が進むにつれて都市部の舞台へと移動するルートを組むのも面白いでしょう。
聖地巡礼の際の持ち物としては、作品の単行本やコミックスを持参すると、実際の風景と作中の描写を比較しながら楽しめます。また、スケッチブックや日記帳があれば、感じたことや発見したことをその場で記録することができます。
注意点としては、特に青鬼集落のような小さな集落を訪れる際は、地元の方々の生活を尊重することが最も重要です。大声で話したり、私有地に無断で立ち入ったりすることは避け、静かに観察することを心がけましょう。また、ゴミは必ず持ち帰り、環境を守る意識を持つことも大切です。
交通手段については、青鬼集落へは公共交通機関でのアクセスが限られているため、レンタカーの利用が便利です。ただし、山道の運転に不慣れな方は注意が必要です。冬季は積雪により道路状況が悪化することもあるため、訪問前に最新の情報を確認しましょう。
「鬼人幻燈抄」の世界観を深く理解するためには、日本の民間信仰や鬼伝説についての知識があると、より楽しめます。訪問前に関連する書籍や資料に目を通しておくと、現地での発見が増えるでしょう。
聖地巡礼は単なる観光ではなく、作品への理解を深め、創作の源泉に触れる貴重な機会です。マナーを守りながら、自分なりの「鬼人幻燈抄」の世界を探索してみてください。
「鬼人幻燈抄」の聖地巡礼をさらに充実させるために、長野県内や近隣県にある他の人気作品の聖地と組み合わせた複合ルートを考えてみましょう。
長野県は「ざつ旅」など、他の人気漫画やアニメの聖地としても知られています。「ざつ旅」の舞台となった諏訪地方は、長野県中部に位置し、諏訪大社や諏訪湖など見どころも多い地域です。青鬼集落から諏訪地方へは車で約2時間程度。「鬼人幻燈抄」の江戸時代の雰囲気を楽しんだ後、現代を舞台にした「ざつ旅」の聖地を巡るという時代を超えた旅も面白いでしょう。
また、長野県には「君の名は。」の聖地とされる場所もあります。諏訪湖周辺は映画のモデルになったという説もあり、聖地巡礼ファンの間では人気のスポットです。複数の作品の聖地を巡ることで、それぞれの世界観の違いや共通点を発見する楽しみもあります。
複合ルートを計画する際のポイントは、移動時間と滞在時間のバランスです。欲張りすぎると移動に時間を取られ、各聖地での体験が浅くなってしまいます。2〜3日の日程であれば、「鬼人幻燈抄」関連の聖地を中心に、1〜2カ所の他作品の聖地を組み合わせるのが理想的でしょう。
季節によっても最適なルートは変わります。夏季は高原リゾートとしても人気の白馬エリアで避暑を兼ねた聖地巡礼が楽しめます。冬季は雪景色の中での聖地巡礼という特別な体験ができますが、山間部の移動には注意が必要です。
複合ルートの例として、1日目に長野駅から青鬼集落を訪れ、2日目に諏訪地方へ移動して「ざつ旅」の聖地を巡り、3日目に松本城など歴史スポットを訪れるというプランが考えられます。このルートなら、「鬼人幻燈抄」の江戸時代の雰囲気から始まり、現代の旅、そして歴史建造物という流れで、時代を行き来する体験ができるでしょう。
複数の作品の聖地を巡ることで、それぞれの作品の魅力を再発見し、新たな視点で作品を楽しむきっかけにもなります。自分だけのオリジナルルートを考えて、充実した聖地巡礼の旅を計画してみてはいかがでしょうか。