上田燿司さんは数多くの作品で個性的なキャラクターを演じてきましたが、特に印象に残る代表的なキャラクターを5つ紹介します。
2012年から放送された『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズで演じたスピードワゴンは、上田燿司さんの代名詞とも言える役柄です。最初は敵として登場しながらも、主人公ジョナサン・ジョースターの高潔さに感銘を受け、生涯の友となる人物。熱血漢で情に厚い性格を見事に表現し、ファンからの支持も厚いキャラクターとなりました。この役をきっかけに、同作のwebラジオ『JOJOraDIO』では初めてメインパーソナリティを務めることになりました。
2023年に放送され、大ヒットした『葬送のフリーレン』では、魔法使いのアイゼン役を担当。主人公フリーレンの師匠であり、冷静沈着ながらも時に情熱的な面を見せるキャラクターを絶妙な演技で表現しました。長い年月を生きる魔法使いの哀愁と威厳を感じさせる演技が高く評価されています。
2015年から放送された『おそ松さん』シリーズでは、パンツ一丁の発明家デカパンを演じています。コミカルな演技と独特のセリフ回しで、作品に欠かせない個性的なキャラクターとして人気を博しました。映画『えいがのおそ松さん』や『おそ松さん~ヒピポ族と輝く果実~』でも同役を演じています。
2022年に放送された『BLEACH 千年血戦篇』では、星十字騎士団の「D」二枚屋王悦を演じました。冷酷でありながらも独特の美学を持つキャラクターを、上田さんならではの渋い声質で表現し、原作ファンからも高い評価を得ています。
『王様ランキング』では、主人公ボッジの父親である大国の王ベビンを演じました。強さと優しさを併せ持つ複雑な父親像を見事に表現し、作品の重要な軸となるキャラクターを熱演しました。
上田燿司さんの声優としてのキャリアは長く、時代によって演じるキャラクターの傾向にも変化が見られます。その変遷を追ってみましょう。
初期キャリア(2000年代初頭)
デビュー初期は脇役や群衆役が中心でした。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』などで端役を演じていました。この時期は声優としての基礎を固めながら、様々な役柄を経験していった時期と言えるでしょう。
中期キャリア(2000年代中盤~後半)
『さよなら絶望先生』シリーズ(2007年~2009年)では臼井影郎や時田、甚六など多数の兼役をこなし、バイプレーヤーとしての実力を発揮。この時期から徐々に個性的な脇役を担当する機会が増えていきました。『銀河鉄道物語』(2003年~2006年)ではモーリッツ・シュナイダーやガイサンダーなどを演じ、存在感を示しています。
ブレイク期(2010年代)
2012年の『ジョジョの奇妙な冒険』でスピードワゴン役を演じたことが大きなターニングポイントとなりました。この役により上田さんの名前と演技が広く認知されるようになります。その後、『いなり、こんこん、恋いろは。』(2014年)の伏見燈日役、『おそ松さん』(2015年~)のデカパン役など、作品の中で重要な位置を占めるキャラクターを演じる機会が増えていきました。
円熟期(2020年代~現在)
近年は『葬送のフリーレン』のアイゼン役や『BLEACH 千年血戦篇』の二枚屋王悦役など、重厚なキャラクターを演じる機会が増えています。また、『ヴィンランド・サガ』のレイフ役や『ノー・ガンズ・ライフ』のヒュー・カニンガム役など、渋みのある大人のキャラクターを多く担当するようになりました。
この変遷からは、上田燿司さんが脇役から始まり、徐々に作品の中で重要な位置を占めるキャラクターを演じるようになっていった軌跡が見て取れます。長年の経験を積み重ねることで、演技の幅も広がり、現在では様々なタイプのキャラクターを演じ分けられる実力派声優として確固たる地位を築いています。
上田燿司さんはアニメだけでなく、多数のゲーム作品でも魅力的なキャラクターを演じています。ゲームファンにとって印象深い代表的なキャラクターをご紹介します。
2017年から2023年まで配信されていたスマホゲーム『メギド72』では、悪魔アガレスとイポスの二役を担当。特にアガレスは人気キャラクターの一人で、上田さんの渋い声質が悪魔の威厳と格好良さを引き立てていました。
乙女ゲーム『Code:Realize』シリーズでは、ランパール・レオンハルトを演じています。紳士的な態度と時折見せる優しさのギャップが魅力的なキャラクターで、女性ファンからの支持も厚いです。
ゲームキューブ用RPG『バテン・カイトス』シリーズでは、クラムリというキャラクターを演じました。続編『バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子』でも同じ役を担当し、シリーズを通して重要な役割を果たしています。
コナミの人気アクションRPG『ボクらの太陽』シリーズでは、ムスペルや白銀の騎士、シャイアン、スミス、エンニオなど複数のキャラクターを演じています。特に続編『続・ボクらの太陽 太陽少年ジャンゴ』や『新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ』でも同じキャラクターを担当し、シリーズの世界観を支える重要な存在となっています。
人気シリーズ『Steins;Gate0』では、レスキネン教授を演じました。この役では、まるで本当にネイティブや日本在住の外国人が話しているかのようなカタコト日本語の演技が話題となりました。上田さんの演技の幅広さを示す代表例として、ファンの間で語り継がれています。
これらのゲーム作品での演技からも、上田燿司さんの声優としての多彩な表現力と役柄への深い理解が伺えます。アニメとゲーム、両方のメディアで活躍する声優として、幅広いファン層から支持されています。
上田燿司さんの声優としての魅力は、その独特の声質と多彩な演技力にあります。彼の演技スタイルと声の特徴について詳しく見ていきましょう。
声質の特徴
上田さんの声は、低めで渋みのある声質が特徴です。しかし、単に低いだけではなく、状況に応じて柔軟に変化させる技術を持っています。落ち着いた大人の男性から、熱血漢、コミカルなキャラクターまで、幅広い表現が可能です。特に中年から年配の男性キャラクターを演じる際には、その渋い声質が説得力を持ち、キャラクターに深みを与えています。
演技の幅広さ
バイプレーヤーとして多くの作品に参加してきた経験から、上田さんは様々なタイプのキャラクターを演じ分ける技術を磨いてきました。『さよなら絶望先生』や『ジュエルペットサンシャイン』では多数の兼役をこなし、それぞれに異なる個性を与える演技力を発揮しています。この演技の幅広さは、アニメ監督の新房昭之氏も絶賛するほどです。
外国人キャラクターの演技
上田さんの特筆すべき演技の一つに、外国人キャラクターの表現があります。『Steins;Gate0』のレスキネン教授役では、まるで本当にネイティブや日本在住の外国人が話しているかのようなカタコト日本語を見事に演じ分け、その演技力が話題となりました。このような細部にまでこだわった演技は、上田さんの役作りへの真摯な姿勢を示しています。
感情表現の豊かさ
上田さんの演技の魅力は、感情表現の豊かさにもあります。『ジョジョの奇妙な冒険』のスピードワゴンでは、驚きや感動、怒りなど様々な感情を鮮やかに表現し、キャラクターに命を吹き込んでいます。また、『葬送のフリーレン』のアイゼン役では、長い年月を生きてきた魔法使いの哀愁や威厳を繊細に表現し、視聴者の心を捉えました。
コミカルな演技
渋い声質を持ちながらも、コミカルな演技も上田さんの得意とするところです。『おそ松さん』のデカパン役では、独特のセリフ回しと抑揚で笑いを誘う演技を披露し、作品の人気キャラクターとなりました。このように、シリアスな役からコミカルな役まで幅広くこなせる演技力は、上田さんの大きな魅力と言えるでしょう。
上田燿司さんの演技スタイルは、長年の経験と研鑽によって培われた確かな技術に裏打ちされています。役柄への深い理解と細部へのこだわりが、彼の演じるキャラクターに説得力と魅力を与えているのです。
上田燿司さんの長いキャリアの中には、あまり知られていない出演作品や興味深いエピソードがたくさんあります。ここでは、ファンでも意外と知らない情報をご紹介します。
改名のエピソード
上田さんは元々「上田陽司」という名前で活動していましたが、2008年4月1日に「上田燿司」に改名しました。漢字が「陽」から「燿」に変わっただけですが、読み方は同じ「ようじ」です。この改名の理由については公にされていませんが、声優としての新たなスタートを切る意味があったのかもしれません。
よく間違えられる「うえだゆうじ」との関係
上田燿司さんは、同じく声優の「うえだゆうじ」さんとよく間違えられることがあります。名前の読み方が似ているため混同されがちですが、全くの別人です。この混同は声優ファンの間では有名なエピソードとなっています。
妻は同じ声優の永島由子
上田さんの妻は同じく声優の永島由子さんです。2020年10月1日には上田さんが青二プロダクションからアミュレートに移籍したことで、夫婦で同じ事務所に所属することになりました。声優夫婦としての活動も注目されています。
意外な出演作品
子供向けアニメ『おでんくん』では、RD1や父親役を演じていました。渋い声質のイメージが強い上田さんですが、子供向け作品でも活躍していたのは意外かもしれません。
この作品では、アポロン、プロメテウス、ナルキッソス、ポセイドン、ライオス、ディオニソス、ゼウス、アキレウス、オルペウスなど、実に多くのギリシャ神話の神々や英雄を一人で演じ分けていました。一人で作品を支えるほどの演技力を発揮した作品として注目に値します。
2022年に公開された劇場版『機動戦士ガンダム ククルス・ドア