漫画の表現で面白さを引き出す
漫画表現の3つのポイント
📝
視覚的な感情表現
漫符やオノマトペを使って、キャラクターの感情を視覚的に表現します
🎭
表情とのバランス
表情と記号表現を組み合わせて、より豊かな感情表現を実現します
💫
シーンの演出効果
場面に合わせた効果的な演出で、読者の感情移入を促します
日本漫画における基本感情とその独自性
日本の漫画では、基本的な感情表現として6つの感情がよく出てきます。
喜怒哀楽よりも少しバリエーションが増えた感じでしょうか。
基本6大感情説、という説もあるくらいで、けっこうメジャーな考え方っぽいです。
漫画で頻出する基本感情名リスト
日本漫画でよく取り上げられる基本感情は、以下のとおり。
- 怒り
- 悲しみ
- 驚き
- 喜び
- 嫌悪
- 恐れ
- 虚無
この感情をAのアクションとBのリアクションとして、マンガでよくあるシチュエーションにまとめてみましょう。
![AとBのリアクション]()
それぞれの組み合わせで「面白い」と感じるものはどれかを分析してみます。
怒り → 怒り
- 理不尽な叱責に怒る上司に対して反論して怒る部下
- 些細なことで怒鳴る親に対して反抗して怒る子ども
- 誤解で責める恋人に対して言い返して怒る相手
特に面白くない展開。ただの喧嘩という感じですが、ふだん怒らないようなキャラが怒ると面白いかも。
怒り → 悲しみ
- 厳しく叱責する先生に対して涙を流して悲しむ生徒
- 激しく非難する友人に対して傷ついて悲しむ相手
- 裏切りを責める人に対して後悔して悲しむ相手
こちらも、順当な反応というか。しかし、キャラによっては「わかってもらえなくて悲しい」というシチュエーションが面白いポイントになるケースもあり。
怒り → 驚き
- 突然怒鳴り込んでくる客に対して理由がわからず驚く店員
- 激怒して告発する告発者に対して予想外の事実に驚く周囲
- 怒りの感情をぶつける主人公に対して意外な反応に驚く相手
ちょっと変わった反応。えっ、そんなことで怒るんだ?というキャラの意外な点を表現するには良さそう。
怒り → 喜び
- 厳しく叱る指導者に対して成長のチャンスと喜ぶ弟子
- 怒って去っていく客に対して厄介者がいなくなったと喜ぶ店員
- 怒りで絶縁を告げる友人に対して自由になれたと喜ぶ相手
かなり変わった反応。怒られて喜ぶ、ドMキャラとか…?
怒り → 嫌悪
- 大声で怒鳴る上司に対して不快感と嫌悪を示す部下
- 激しく非難する批評家に対して人格を疑う嫌悪感を抱く作家
- 怒りで迫る相手に対して醜い感情に嫌悪を感じる観察者
順当な反応。叱られた相手に対して「なんだよコイツ…」というシチュエーション。
怒り → 恐れ
- 激怒して迫る不良に対して身を縮めて恐れる被害者
- 怒りで我を忘れる親に対して萎縮して恐れる子ども
- 激高する上司に対して次の言動を恐れる部下
順当な反応。ちょっとイヤな気持ちになるシチュエーション。
怒り → 虚無
- 正義の怒りを語る活動家に対して何も変わらないと虚無を感じる傍観者
- 熱く怒る友人に対して感情を失った虚無的な表情を見せる相手
- 怒りで責める恋人に対して何も感じなくなった虚無的な反応をする相手
たまに漫画でも見かける、温度差リアクション。個人的にはおもしろシチュエーションになりやすいパターン。
悲しみ → 怒り
- 失恋を嘆く友人に対して元恋人を責めて怒る親友
- 悲しみに暮れる被害者に対して犯人に怒りを向ける支援者
- 自分を責めて悲しむ相手に対して自己否定に怒る友人
ちょっとめずらしいパターン。悲しみに対して怒りを出すのは、基本的にはイヤなやつという印象を受ける。
悲しみ → 悲しみ
- 別れを悲しむ恋人に対して同じく別れを悲しむ相手
- 故人を悼む遺族に対して共に悲しみを分かち合う友人
- 夢破れて悲しむ挑戦者に対して共感して悲しむ応援者
順当な反応。悲しみに対して一緒に悲しんでくれる共感のようなものを感じる。
悲しみ → 驚き
- 突然泣き出す友人に対して予想外の感情表現に驚く相手
- 深い悲しみを告白する人に対して意外な過去に驚く聞き手
- 悲しみで引きこもる人に対して変わり果てた姿に驚く久しぶりの訪問者
珍しい反応。根っから明るいキャラの悲しみに驚くような、キャラの意外性を表現するにはいいかも。
悲しみ → 喜び
- 別れを悲しむ旧友に対して新しい出会いを喜ぶ新天地の人々
- 過去を悲しむ人に対して未来の可能性を喜ぶ前向きな相談者
- 失敗を悲しむ挑戦者に対して成長の機会と喜ぶ指導者
人の不幸を喜ぶ的なやつ…?過剰な前向きさとか、ギャグっぽいシチュエーションならありかも。
関連)シャーデンフロイデの感情
悲しみ → 嫌悪
- 自分を哀れむ人に対して自己憐憫に嫌悪感を抱く傍観者
- 悲劇のヒロインを演じる人に対して作られた悲しみに嫌悪を感じる周囲
- 過去の過ちを悲しむ人に対して弱さに嫌悪感を示す厳格な人
珍しいシチュエーション。「何泣いてんだコイツ」というような感情か。
悲しみ → 恐れ
- 深い悲しみに暮れる人に対して同じ運命を恐れる目撃者
- 喪失感で悲しむ人に対して自分も失うことを恐れる周囲
- 絶望的な悲しみを語る人に対して心の闇を恐れる聞き手
珍しいシチュエーション。人の悲しみで、さらに大きい悲しみを予想してしまう、というシチュエーションか。
悲しみ → 虚無
- 心から悲しむ人に対して何も感じられない虚無的な反応をする相手
- 感動的な悲しみの物語を語る人に対して意味を見出せない虚無的な聞き手
- 別れを悲しむ人に対して関係の空虚さを感じる虚無的な相手
珍しいシチュエーション。なぜ虚無的な態度を取ったのか、という説明がつくとちょっと面白い展開になるかも。
驚き → 怒り
- 予想外の告白に驚く人に対して勘違いだと怒る相手
- 秘密を知って驚く友人に対してプライバシー侵害に怒る当事者
- 思わぬ事実暴露に驚く観衆に対して噂を広めたことに怒るセレブ
「えっ、オマエが料理なんかするの?」「しちゃ悪いかよ!」みたいなシチュエーション。キャラの意外な一面を見せるシチュエーションとしてはアリかも。
驚き → 悲しみ
- 真実を知って驚く主人公に対して隠し事がばれて悲しむ相手
- 予想外の別れ話に驚く恋人に対して決断の辛さに悲しむ告げる側
- 意外な過去を知って驚く友人に対して理解されないと悲しむ告白者
珍しいシチュエーション。仲が良いと思ってた相手から見下されてて悲しむ、みたいなケースか。
驚き → 驚き
- 突然の告白に驚く相手に対して予想外の反応に驚く告白者
- 意外な真相を告げて驚かせる探偵に対して別の事実を告げて驚かせる容疑者
- 思わぬ再会に驚く旧友に対して同様に驚く相手
珍しいシチュエーション。ボケかぶせ的な、場面では使えるかも。
驚き → 喜び
- 予想外のプレゼントに驚く恋人に対して反応を見て喜ぶ贈り主
- 思わぬ合格通知に驚く学生に対して成功を喜ぶ教師
- サプライズパーティーに驚く主役に対して計画成功を喜ぶ仕掛け人
イタズラ成功で喜ぶ的なシチュエーション。さらにもう一段、別の驚きがあると面白いかも知れない。
驚き → 嫌悪
- 意外な趣味を知って驚く友人に対して判断されることに嫌悪感を抱く当人
- 秘密を暴かれて驚く人に対して過去を掘り返されることに嫌悪を示す相手
- 思わぬ告白に驚く人に対して動揺する姿に嫌悪感を抱く告白者
珍しいシチュエーション。秘密を知られて「そうだよね、驚くよね…君もそうか」という感じの場面?
驚き → 恐れ
- 真相を知って驚く探偵に対して次の行動を恐れる犯人
- 能力の高さに驚く観客に対して期待に応えられるか恐れる実演者
- 秘密を知って驚く友人に対して広まることを恐れる当事者
珍しいシチュエーション。あまり漫画では見ない。
驚き → 虚無
- 衝撃的な事実に驚く人に対して何も感じない虚無的な態度を示す当事者
- 奇跡に驚く目撃者に対して意味を見出せない虚無的な反応をする体験者
- 予想外の成功に驚く周囲に対して達成感のない虚無的な様子を見せる本人
面白いシチュエーション。異世界ものとかで「何だこれは!◯◯が✕✕しているぅ!どうなってんだ」「ただ、△△しただけだが」というのが該当する?
喜び → 怒り
- 昇進を喜ぶ同僚に対して不公平さに怒る周囲
- 恋愛を喜ぶ友人に対して相手の素性を疑って怒る親友
- 勝利を喜ぶ勝者に対して敗北に怒る敗者
嫉妬のシチュエーションというのが近いか。よくあるシチュエーションかも。
関連)嫉妬を表す漫画の表情
喜び → 悲しみ
- 新しい恋人との幸せを喜ぶ元恋人に対して未練を感じて悲しむ相手
- 転勤を喜ぶ同僚に対して別れを悲しむ残される仲間
- 卒業を喜ぶ学生に対して旅立ちを悲しむ教師
人の幸せを願いたいけど、本音では心から祝えないという、人間くさいシチュエーション。
関連)後悔を表す漫画の表情
関連)憎悪を表す漫画の表情
喜び → 驚き
- 些細なことに大喜びする友人に対して意外な一面に驚く周囲
- 予想外の出来事を喜ぶ人に対してポジティブさに驚く傍観者
- 困難を乗り越えて喜ぶ主人公に対して成長ぶりに驚く仲間
キャラの意外な一面を発見したときに使えるシチュエーションか。
喜び → 喜び
- 昇進を喜ぶ社員に対して共に喜ぶ同僚
- 恋愛成就を喜ぶ友人に対して祝福して喜ぶ仲間
- 試合の勝利を喜ぶ選手に対して共に喜ぶファン
順当な反応。主人公の喜びに反応する脇役のような感じ。
喜び → 嫌悪
- 成功を過度に喜ぶ人に対して自慢げな態度に嫌悪感を抱く周囲
- 不幸な出来事を喜ぶ人に対して陰湿さに嫌悪を感じる目撃者
- 物質的な幸せを喜ぶ人に対して浅はかさに嫌悪感を示す批判者
妬みのような負の感情。
関連)劣等感を表す漫画の表情
関連)恨みの感情を表す漫画の表情
喜び → 恐れ
- 危険な挑戦を喜ぶ冒険者に対して安全を心配して恐れる仲間
- 成功を喜ぶ主人公に対して嫉妬されることを恐れる支援者
- 幸せな日常を喜ぶ人に対して失うことを恐れる不安な相手
珍しいシチュエーション。何も知らずに喜ぶキャラと、この先に困難が待っていることを知っているキャラとの温度差みたいな複雑なシーンか。
喜び → 虚無
- 人生の成功を喜ぶ人に対して空虚さを感じる虚無的な友人
- 恋愛の喜びを語る友人に対して感情を失った虚無的な反応をする相手
- 小さな幸せを喜ぶ人に対して意味を見出せない虚無的な態度を示す傍観者
「あーそう、良かったね」と、共感できないけど表面上だけ合わせる感じのやつ。漫画ではけっこう見かけるかも。
嫌悪 → 怒り
- 軽蔑的な態度を示す人に対して侮辱されたと怒る相手
- 作品に嫌悪感を示す批評家に対して理解不足に怒る作者
- 食事のマナーに嫌悪を示す人に対して批判されたことに怒る当事者
「あの態度はどうかと思いますけど」「なんだとっ!」というようなシチュエーションか。ソリの合わないキャラ同士の掛け合いでたまに見かけるやつ。
嫌悪 → 悲しみ
- 外見に嫌悪感を示す人に対して受け入れられないと悲しむ相手
- 価値観に嫌悪を示す親に対して理解されないと悲しむ子ども
- 過去の過ちに嫌悪を示す人に対して許されないと悲しむ当事者
嫌われることに対して、悲しむっていう順当なシチュエーション。漫画ではよくある。
嫌悪 → 驚き
- 普通の行動に嫌悪を示す人に対して過剰反応に驚く相手
- 人気のあるものに嫌悪感を示す批評家に対して意外な評価に驚く支持者
- 親切な行為に嫌悪を示す人に対して予想外の反応に驚く善意の人
普段冷静な人がゴキブリを見て大騒ぎするのを見て、えっそんなに苦手なんだ…みたいに、キャラの意外性を表現するシチュエーションとしてはアリかも。
嫌悪 → 喜び
- 新しいアイデアに嫌悪を示す上司に対して挑戦する機会と喜ぶ革新的な部下
- 交際相手に嫌悪を示す親に対して反抗する喜びを感じる恋人たち
- 成功に嫌悪を示す批判者に対して注目されていると喜ぶ当事者
珍しいシチュエーション。嫌がる相手に嫌がらせをして喜ぶ、みたいな悪役キャラムーブでたまに見かけるやつ。無理やり前向きな感じにしても、あまり共感がわかないかも。
嫌悪 → 嫌悪
- 相手の服装に嫌悪を示す人に対して批判的な態度に嫌悪を感じる相手
- 食べ物の好みに嫌悪を示す人に対して狭量さに嫌悪を示す周囲
- 価値観に嫌悪を示し合う政敵同士
嫌い合ってるキャラの反応としては、アリかも。
嫌悪 → 恐れ
- 弱さに嫌悪を示す上司に対して評価を下げられることを恐れる部下
- 違いに嫌悪を示す集団に対して排除されることを恐れるマイノリティ
- 過ちに嫌悪を示す親に対して愛を失うことを恐れる子ども
相手に嫌悪されることを恐れるっていう、支配されてる感じのシチュエーション。
嫌悪 → 虚無
- 社会に嫌悪を示す批判者に対して何も変わらないと虚無を感じる傍観者
- 人間関係に嫌悪を示す人に対して感情を失った虚無的な反応をする相手
- 芸術作品に嫌悪を示す批評家に対して評価の空虚さを感じる虚無的な作家
人の「大嫌い」という感情に共感できずに、ポカーンとする感じ?キャラの価値観の違いを表すシチュエーションとしてはアリか。。
恐れ → 怒り
- 危険を恐れて逃げる仲間に対して臆病さに怒る勇敢な戦士
- 変化を恐れる保守派に対して進歩を妨げると怒る改革派
- 失敗を恐れて行動しない部下に対して消極性に怒る上司
恐れる相手に対して「ビビってんじゃねーよ!」と怒る感じのシチュエーション。わりとよく見かける。
恐れ → 悲しみ
- 親密さを恐れる恋人に対して心を開いてもらえないと悲しむ相手
- 未来を恐れる悲観主義者に対して希望を持てないことを悲しむ友人
- 信頼を恐れる人に対して関係が深まらないことを悲しむ周囲
昔強かった、仲が良かった相手が、久々に合ったら変わり果ててしまっていたみたいなシチュエーションで出てきそう。
恐れ → 驚き
- 小さな危険を過度に恐れる人に対して臆病さに驚く周囲
- 変化を恐れて古い習慣に固執する人に対して頑なさに驚く改革者
- 失敗を恐れて完璧を求める人に対して繊細さに驚く協力者
慎重すぎる態度に驚く周囲という感じか。なぜそこまで恐れるのか、ということを語るエピソードの入口として使えそう。
恐れ → 喜び
- 告白を恐れる友人に対して勇気を出したことを喜ぶ応援者
- 挑戦を恐れる人に対して成長の機会と喜ぶ指導者
- 未知を恐れる仲間に対して新しい世界の可能性を喜ぶ冒険者
「どうしよう、大変なことをしてしまった」と恐れる相手に対して「いいや、よくやったよ!」と全肯定するキャラ、みたいなシチュエーション。前向きなキャラという印象を強めるのに良さげ。
恐れ → 嫌悪
- 些細なことを恐れる人に対して過剰な臆病さに嫌悪を感じる強気な相手
- 責任を恐れて嘘をつく人に対して不誠実さに嫌悪を示す正直な人
- 孤独を恐れて依存する人に対して自立心のなさに嫌悪感を抱く独立心の強い人
リアル世界ではよくある感じの「人の臆病さを批判する」モブキャラムーブ。主人公キャラならこのあと、「いや、自分だってそうだ」とか自覚するといいのかも。
恐れ → 恐れ
- 暴力を恐れる被害者に対して同じ恐怖を感じる目撃者
- 病気を恐れる患者に対して感染を恐れる医療従事者
- 未来を恐れる若者に対して社会の行く末を恐れる年長者
「大変だ大変だ」「うわーっ!本当だもうおしまいだ」と、マイナスの感情が広がっていくようなシチュエーションか。
恐れ → 虚無
- 死を恐れる患者に対して生死に意味を見出せない虚無的な医師
- 失敗を恐れる完璧主義者に対して成功の空虚さを感じる虚無的な友人
- 孤独を恐れる人に対して人間関係の無意味さを感じる虚無的な哲学者
過剰に恐れる相手と、「こんなの日常だが」と平気で対応するキャラ。経験値の差とかを表現するには良いかも。
虚無 → 怒り
- 何にも関心を示さない虚無的な態度に対して無気力さに怒る情熱的な友人
- 社会問題に虚無感を示す若者に対して責任放棄だと怒る活動家
- 感情を表現しない虚無的な恋人に対して冷たさに怒る感情豊かな相手
これは場合によっては熱いシーンになりそう。自制心が強すぎるキャラが、とんでもなく悲しい目にあっても平静を装おってるときに、普段いがみ合ってる相手が「オマエは泣いていい!泣いていいんだ!」と怒るシーンとか。スクライドにもあった。
虚無 → 悲しみ
- 何も感じないと語る虚無的な患者に対して回復の難しさを悲しむ医師
- 芸術に価値を見出せない虚無的な批評家に対して創造性の喪失を悲しむ芸術家
完全に心が壊れてしまったキャラに対して、悲しみを抱くみたいなシチュエーションか。
虚無 → 驚き
- 極端な虚無主義を語る哲学者に対してその深さに驚く学生
- 何事にも反応しない虚無的な態度に対して感情の欠如に驚く心理学者
- 人生の喜びを感じない虚無的な友人に対してその生き方に驚く幸福な人
珍しい反応かも。思い込みの激しいキャラが熱く持論を語って「ふーん」という反応をされて驚く、みたいな。
虚無 → 喜び
- 虚無的な態度を示す生徒に対して教育の挑戦として喜ぶ熱心な教師
- 人生に意味を見出せない虚無的な友人に対して新たな視点を与える喜びを感じる哲学者
- 感情を失った虚無的な患者に対して治療の可能性を喜ぶ精神科医
前途多難、みたいなシチュエーションでありかも。無気力な相手に対して、「これは教えがいがあるぞ」と燃えるキャラ。
異世界奴隷解放ものの、奴隷を買った直後とかにもありそう。
虚無 → 嫌悪
- 社会への無関心を示す虚無的な若者に対して責任感のなさに嫌悪を感じる大人
- 人間関係に価値を見出せない虚無的な同僚に対してチームワークの欠如に嫌悪を示す上司
- 芸術の意味を否定する虚無的な批評家に対して創造性の軽視に嫌悪感を抱くアーティスト
例えば身近な者が亡くなって悲しすぎて泣けないようなシチュエーションで、「涙の一つもこぼさないなんて」と陰口を叩くモブキャラとか。
虚無 → 恐れ
- 何も恐れない虚無的な態度に対して自己破壊的な行動を恐れる家族
- 社会規範に無関心な虚無的な若者に対して将来の無秩序を恐れる保守的な大人
- 感情を失った虚無的な患者に対して治療の困難さを恐れる新人医師
ヤバいシチュエーションで、何も悩まずにスパッと行動した相手に対して、「なんなんだコイツは!」とビビるみたいなシチュエーションか。経験値の違いとか価値観の違いを表現するにはいいかも。
虚無 → 虚無
- お互いに何も感じないと語る虚無的なカップル
- 人生の無意味さを共有する虚無的な哲学者同士
- 社会への無関心を示し合う虚無的な若者たち
なにか勘違いをしていて、相手の反応が予想に反して無反応→なんで無反応なんだ…?というシチュエーションではあり、か。
漫画における表情表現技法の具体例
そーゆー表情を、どうやって漫画で表現していくんでしょうか?
基本的には、目、眉、口の変化で、あとは汗とか漫符的な表現とか。さらに、影のつき方で表現することもあります。
フェイスパーツ別テクニック
目の形状と眉の角度による感情表現
日本漫画における特徴的な目の形状と眉の角度を比較するための新たな図を作成しました。
表情 |
目の形状 |
眉の角度 |
情緒表現 |
笑顔 |
半閉状態 |
高め |
安心感と柔らかさを演出 |
怒り |
細め |
鋭く |
緊張と激しい感情を表現 |
悲しみ |
垂れ気味 |
下げ |
哀愁や失望が強調される |
- 笑顔の場合:
→ 安心感と柔らかさを演出
- 怒りの場合:
→ 緊張と激しい感情を表現
- 悲しみの場合:
→ 哀愁や失望が強調される
日本漫画特有の感情表現の視覚的手法
日本漫画特有の表情は、たとえば以下の技法で表現されます:
- 切ない:
- 細い目線、柔らかな線使い
- 半開きの目と控えめな口元
→ 内面に秘めた繊細な悲哀を表現
- やるせない:
- 眉を下げ、やや垂れた目
- ため息を感じさせる口元
→ どうしようもない諦めや無力感を示す
その他、『はにかむ』や『うらやましい』なども、目と口元のわずかな変化によって表現されます。
漫画家の特殊用語を用いた表情描写
また、特殊用語として
- 「テカリ」(光の反射効果)と
- 「汗ダク」(大量の汗の表現)
が用いられ、これによりキャラクターの緊迫感、驚愕、恥じらいや焦燥感を強調する視覚効果が追加されます
感情が生じる典型的なシチュエーションの分類
物語内で感情がどのように喚起されるかは、シーンごとの状況に密接に依存します。ここでは、少年漫画と少女漫画、さらには日常系のコメディにおける典型例を整理します。
少年漫画:バトルシーンでの怒りトリガー
少年漫画のバトルシーンでは、怒りが頻出する感情です。具体的な例としては、以下の場面が挙げられます:
- 仲間が傷つけられた時
- 敵の卑劣な行動に直面した時
- 尊敬する師匠や人物が侮辱された時
- 大切なもの(家族、宝物、信念など)が奪われた時
- 挑戦者や裏切りによって信頼が損なわれた時
また、心理的トリガーも分類すると下記の通りです。
- 正義感:仲間や弱者が犠牲になる・不正を許せない場合
- 復讐心:大切な存在を失った際の怒り
- 自己嫌悪:自分の無力さを痛感し、内面から怒りが噴出する場合
少女漫画:切なさを感じる恋愛シーン
少女漫画において、切なさは主要な感情のひとつです。代表的なシチュエーションは:
- 片思いの相手に思いを告げられない場面
- 大切な人との微妙な距離感を感じるシーン
- 別れや離別、または諦めの瞬間
また、季節設定も感情演出に大きな役割を果たします。具体的には:
- 卒業シーズン:新たな出発と別れの寂しさ
- 夏祭り後:祭りの終わりによる一抹の寂しさ
- 冬やクリスマス:寒さや孤独感が切なさを増幅
日常系・コメディ:驚きやハプニングの事例
コメディシーンでは、日常的な状況における予期せぬ出来事が笑いと驚きを引き起こします。具体例としては:
- 友達のドタキャンによる誤解シーン
- 突然のサプライズパーティーの開催
- 食事中に予期せぬ発言や状況に遭遇
漫画表現の文化的誇張度と国際比較
日本の漫画は、文化的背景に根ざした視覚的誇張が際立っています。ここでは、シリアスおよびコメディのシーンにおける表情の誇張度について、日本と米国の違いを具体的な数値と共に解説します。
シリアス調における眉の角度と目の大きさ
- 眉の角度
- 日本漫画:シリアスシーンでは眉が約45度下がる
- 米国漫画:眉の傾斜は約15度
- 目の大きさ
- 日本漫画:瞳の大きさは全体の約30%を占める
- 米国漫画:瞳は全体の約15%程度
コメディ表現における効果線の使用率
マンガ表現の理解度は、その文化に属しているかどうかで変わる
国によって、表現の傾向が違っているということですね。
ただ、これは心理学的には、同一文化内だと、表情認識の正確性が高いとされてます。つまり、アメリカ文化にいる人は、アメリカの漫画にあまり違和感を抱かないし、日本文化にいる人は、日本の漫画表現にあまり違和感を抱かないということ。また、細かいニュアンスも汲み取れるようです。
漫画家インタビューによる表情調整のルール
実際に週刊少年ジャンプや少女フレンドなどで連載経験のある漫画家たちが、どのように表情を調整しているのかもインタビュー記事やQ&Aで明らかになっています。
漫画家のインタビューと具体的手法
- 週刊少年ジャンプ作家の場合:
- シリアスシーン:目、口元、額などの重要パーツの線を太くし、細部まで密集させることで緊迫感や感情の深さを強調する
- 少女フレンド作家の場合:
- 悲しみ表現:眉の角度を通常よりも下げ、眉間にしわを寄せることで、深い悲しみや苦悩を視覚的に表現する
- コメディシーンでの手法:
- 口元の描写を意図的に省略し、目や眉だけで感情(驚き、笑い)を表現する
- 頭髪の描写の差異:
- シリアスシーンでは、頭髪は整然とリアルに描写し落ち着いた印象を与える
- コメディシーンでは、ボリュームや動きが強調され、誇張されたふんわりとしたスタイルで描かれる
- 海外展開時の表情修正例:
- 日本独自の誇張された要素(大きな目、極端な眉角度など)は海外では過剰と判断される恐れがあるため、調整が必要
例として、目のサイズを30%から20%へ調整する事例が求められています
- 切ない表情の海外向け調整:
- 目に軽い涙や潤いを加え、眉を控え目に下げる。また全体のデフォルメ率を低減することで、海外読者にも違和感なく受け入れられるようにする
- バトルシーンでの怒り強調:
- 顔の主要パーツ(額、目周辺)の線を太くし、段階的に太さを増やすことで感情の爆発を示す
- 目の中のハイライト活用技術:
- ハイライトの大きさ、数、配置を微調整して、驚きや喜び、興奮などの感情強度を表現する
まぁー、これらは、作家性というか、漫画のテイストによっても違うので、何にでも当てはまるわけじゃありません。
しかし、自分の絵に対して「怒りの感じが足りないな…」というようなときは、参考になるかも。
まとめと結論
- 基本6大感情(怒り、悲しみ、驚き、喜び、嫌悪、恐れ)+虚無は、日本漫画でよく扱われています。
- 日本独自の感情表現として、切なさ、やるせなさ、はにかみ、うらやましさ、複雑な感情などが挙げられ、これらは文化的背景に根ざした視覚表現(線使い、目や眉の配置、特殊用語「テカリ」「汗ダク」など)により表現される。
- また、表情の誇張度に関して、日本と米国では眉や目の大きさ、効果線の使用率に明確な違いがあり、これが視覚的な文化差として現れています。
- 実際に連載経験のある漫画家たちのインタビューやQ&Aにより、具体的な技法・ルール(線の強弱調整、口元の描写省略、頭髪やハイライトの調整等)が存在する。