「断頭台のアウラ」という異名は、彼女の残忍かつ合理的な戦術に由来しています。アウラは「服従させる魔法」(アゼリューゼ)によって支配した人間たちの首を例外なく切り落としていました。
なぜ首を切り落とすのか?それは「服従させる魔法」の特性に関係しています。この魔法は強い意志を持つ人間であれば一時的に抵抗することが可能だったため、アウラはその弱点を補うために首を切り落とし、被支配者の意識を完全に絶つことで抵抗の可能性を排除していたのです。
この「断頭台」という言葉は、死刑執行人が首を切る際に用いられた台を指し、アウラの冷酷な処置方法を象徴しています。
アウラが使用する「服従させる魔法」は、「服従の天秤」という特殊な天秤を用いて行われます。この魔法の恐ろしさは以下の点にあります:
アウラはこの魔法を使って500年以上もの間、多くの人間を支配下に置き、「不死の軍勢」として運用していました。
アウラの「不死の軍勢」は単なる死体の集まりではなく、生前の能力をそのまま保持した強力な戦力です。彼女の軍勢には様々な強者が含まれていました:
この軍勢の恐ろしさは、戦えば戦うほど人間側の戦力が削られ、逆にアウラの戦力が増強されるという悪循環にあります。さらに、指揮官クラスを支配下に置けば敵軍の指揮能力は喪失し、歴戦の勇士を支配すれば敵陣を混乱させることも可能でした。
最も恐ろしいのは、仮に不死の軍団を解呪できたとしても、戻ってくるのは首無し死体だけで戦力を取り戻せないという点です。これはアウラの能力が戦場において非常に性質の悪いものであることを示しています。
アウラは七崩賢の中でも特に慎重な性格の持ち主でした。彼女は以下のような特徴を持っていました:
この慎重さこそが、彼女が500年以上も生き延びてきた理由の一つでしょう。魔族としては珍しく、相手の寿命が尽きるまで数十年以上逃げ続けるという戦略は、長寿の魔族からすれば合理的な選択だったと言えます。
アウラはヒンメルの死後、活動を再開し、フリーレンと対峙することになります。この戦いでは、アウラの「服従させる魔法」とフリーレンの真の実力が明らかになりました。
アウラは自信満々に「服従の天秤」を使用しますが、フリーレンは師匠フランメの教えにより、魔力を過少偽装する修練を重ねていました。その結果、天秤はフリーレン側に傾き、アウラは自分が服従させられる立場となります。
フリーレンは「アウラ、自害しろ」と命じ、アウラは自らの意思に反して首に剣を当て、これまでに処刑した人間たちと同じように自らも断頭台の露と消えていきました。
皮肉にも、多くの人間の首を切り落としてきたアウラは、最後には自らの首を切り落とすという結末を迎えたのです。
アウラとフリーレンの対決で印象的だったのは、アウラが放った「ヒンメルはもういないじゃない」という言葉です。
この一言は、魔族と人間(エルフ)の根本的な価値観の違いを象徴しています。アウラ(を含めた魔族)にとって、既に死んだ者は生前がどうであれ完全に無価値であり、思い出を大切にするという行為も全く無駄なことでした。
しかし、フリーレンにとってヒンメルとの思い出は最も大切なものであり、この言葉はフリーレンの心を逆撫でする結果となりました。「そうか。よかった。やっぱりお前たち魔族は化け物だ」というフリーレンの反応は、彼女の中で魔族への情けが完全に失われたことを示しています。
アウラの「ヒンメルはもういない」という台詞は、彼女自身は至極まっとうなことを言ったつもりでも、人間(エルフ)の心情を理解できない魔族の本質を表す「名台詞」として評価されています。