ベニマルとリムルの出会いは、大鬼族の悲劇から始まりました。オークの侵攻により300名いた大鬼族のほとんどが殺され、わずか6人だけが生き残るという悲惨な事件がありました。この時、ベニマルは父を失い、残された仲間たちの長となります。
彼らがリムルと出会った時、最初は誤解から戦いになりましたが、リムルの圧倒的な力を目の当たりにし、また自分たちの仇を討つ力を得るために、リムルの傘下に入ることを決意します。この決断が、後のベニマルの忠誠心の基盤となりました。
ベニマルの忠誠心が大きく深まったのは、オークロード討伐後の出来事でした。リムルは生き残ったオーク達の罪を問わず、共に街で暮らすことを提案します。これは自分の親を含めた一族を殺したオークを許すという、非常に大きな決断でした。
この時、リザードマンの首領が異議を唱えたところ、ベニマル自身が「弱肉強食、立ち向かった時点で覚悟はできていたはず」と発言し、リムルの決断を全面的に支持しました。この場面は、ベニマルがリムルの器の大きさに感銘を受け、単なる主従関係を超えた深い信頼関係へと発展していく転機となりました。
ベニマルは「一本気な性格でイケメンなのに奥手」と描写されています。この一本気な性格が、リムルへの忠誠心を強固なものにしています。一度決めたことは最後までやり遂げる強い意志を持つベニマルにとって、リムルへの忠誠を誓った以上、その忠誠心は揺るぎないものとなります。
特に、リムルが魔王に覚醒する際には、ベニマルはリムルの側に留まり続けました。この行動からも、彼の忠誠心の深さが伺えます。彼の忠誠は単なる恩義や力関係だけでなく、リムルという人物への深い信頼と尊敬に基づいています。
ベニマルの忠誠心を考える上で興味深いのは、同じくリムルに忠誠を誓うディアブロとの違いです。両者はリムルに対して同じように忠実ですが、その忠誠の形は異なります。
ディアブロの場合、リムルのみに忠誠を誓い、テンペストの市民などはあくまでリムルのために存在する存在と考えています。一方、ベニマルはリムルの価値観を理解し、リムルが大切にするものも同様に大切にします。
これは、ベルダナヴァに忠誠を誓ったディノとフェルドウェイの関係に似ています。フェルドウェイがベルダナヴァのみを重視したのに対し、ディノはベルダナヴァの意思を尊重し、彼が大切にしていたものを守り続けました。この違いは、真の忠誠とは何かを考えさせられる重要な対比です。
ベニマルは物語の進行とともに成長し、その責任も増していきます。リムルに名前をつけてもらい鬼人となり、さらにリムルが魔王となることで妖鬼へと進化。その後、モミジとの結婚を経て炎霊鬼へと進化していきます。
この成長過程で、ベニマルはリムルの右腕としての役割を強化し、新たな責任感が芽生えます。特に結婚後は、一族のリーダーとしての自覚を深め、仲間たちをより一層統率するようになります。
この責任感と使命感が、ベニマルの忠誠心をさらに強固なものにしています。リムルから与えられた役割を全うすることが、彼の生きる意味となり、その忠誠心の源泉となっているのです。
ベニマルの忠誠心は、単なる恩義や力関係だけでなく、リムルという人物への深い理解と尊敬、そして共に歩んできた経験から生まれています。彼の一本気な性格、リムルの器の大きさへの感銘、そして責任感と使命感が組み合わさり、揺るぎない忠誠心となっています。
特に重要なのは、ベニマルがリムルの価値観を理解し、リムルが大切にするものも同様に大切にする点です。これこそが真の忠誠と言えるでしょう。単に主人に従うだけでなく、主人の意思や価値観を理解し、それを自分の行動指針とする―これがベニマルの忠誠心の本質なのです。
リムルとベニマルの関係は、物語が進むにつれてさらに深まり、より強固な信頼関係へと発展していきます。この関係性は、「転スラ」の物語において重要な軸となっており、今後の展開でもその絆がどのように描かれていくのか注目されています。