


中山繁信著『スケッチ感覚でパースが描ける本』は、建築パースに苦手意識を持つ人向けの入門書。
「適当なのにきちんと見える」をコンセプトに、消点を意識した図法のコツを分かりやすく解説しています。
本書は難しい専門用語を避け、基本をしっかり押さえながらも気軽に実践できる内容。ラフな感じのパースの描き方と簡単な説明だけですが、透視図法の基礎がしっかり説明されており、初めて遠近法を学ぶ人にもおすすめです。建築専攻の学生でさえ苦手意識を持つパースが、消点を意識するだけで立派なパースに変わるというアプローチになっています。
全5章構成で、パースの基礎から始まり、アクソノメトリック図法、インテリア、建物・街の描き方、そして添削例まで網羅しています。特に添削例のセクションは実践的で、読者から「痒いところに手が届く」と評価されています。斜めの箱、階段、水面の鏡像、斜め屋根など、実際に描く際に困るシーンでの消失点の扱い方が丁寧に解説されています。
A5サイズ・128頁というコンパクトな仕様で、持ち運びに便利なサイズです。実際にパースを描く際に手元にあると心強い参考書として、図書館で借りた後に購入を決める読者も多く見られます。
実際に読んだ読者の声としては、
「感覚的に解説してくれている」「具体的な作例が多数掲載されており非常に分かりやすい」といった肯定的なレビューが目立ちます。知識の下地があればより理解しやすいものの、完全初心者でも取り組める内容となっています。ただし、実際に描けるようになるには本書を参考にしながら実践を重ねることが重要だと多くの読者が指摘しています。
本書は建築系の人向けに書かれているため、絵画系の思考を持つ人には絵画系のパース本の方が適している場合もありますが、数学的・図形的なアプローチが好きな人には役立つでしょう。
説得力のあるマンガ背景を描くためのヒントになるかもしれません。
評価されている部分
初心者への優しさが最大の長所として挙げられています。難しい専門用語を避け、「どういう理屈がパースに必要で、どこは目分量で構わないのか」が明確に示されており、目から鱗が落ちる内容だと評価されています。随所に「適当に」と書いてあるにもかかわらず、ちゃんとパースが描けてしまう点が読者に好評です。
実践的な解説も高く評価されています。斜めの箱、階段、水面の鏡像、壁鏡の鏡像、斜め屋根など、実際に描く際に困るシーンでの消失点の扱い方がしっかり解説されており、「正しく見える」描き方が理解できると好評です。基本がしっかり説明されていて、初めて遠近法を知りたい人にはすごくお勧めだという声が多く見られます。
不満を感じている部分
最も指摘されている不満点は、本を読むだけでは描けるようにならないという点です。
当然と言えば当然ですが…。
「描けるようになるには実際に描くことが一番」「本書を参考にしながら実践を重ねることが重要」といった声が複数見られ、知識習得と実践の間にギャップがあることが示唆されています。
また、対象読者の限定性も指摘されています。本書は建築系の人向けに書かれているため、絵画系の思考を持つ人には絵画系のパース本の方が適している場合があるとされています。数学的・図形的なアプローチが好きな人には特におすすめですが、それ以外のアプローチを好む人には合わない可能性があります。
さらに、知識の下地の必要性も言及されています。完全初心者でも取り組める内容ではあるものの、知識の下地があればより理解しやすいとされ、まったくの予備知識なしで最大限に活用するのは難しい可能性があります。