竹達彩奈さんのブレイクのきっかけとなった作品といえば、2009年に放送された『けいおん!』です。この作品で演じた中野梓(あずさ)は、放課後ティータイムの最年少メンバーとして登場し、「あずにゃん」という愛称で親しまれるキャラクターです。
中野梓は真面目で几帳面な性格ながら、先輩たちのペースに振り回される姿がかわいらしく、多くのファンを魅了しました。特に、先輩の平沢唯に「あずにゃん」と呼ばれ、猫耳をつけられるシーンは本作の名場面として語り継がれています。
竹達さんは『けいおん!』の声優陣として「放課後ティータイム」名義で音楽活動も行い、声優アワード歌唱賞を受賞するなど高い評価を得ました。この作品での活躍が、彼女のその後の声優キャリアの大きな礎となったのです。
中野梓役での竹達さんの演技は、初々しさと芯の強さを兼ね備えた絶妙なバランスが特徴で、彼女の声優としての才能が遺憾なく発揮された役柄といえるでしょう。
近年の竹達彩奈さんの代表作として挙げられるのが『五等分の花嫁』の中野二乃役です。五つ子の次女である二乃は、ツンデレな性格と負けず嫌いな一面を持ちながらも、家族思いで情に厚いキャラクターとして描かれています。
2019年に放送されたアニメ版では、竹達さんの演技によって二乃の複雑な感情表現が見事に表現され、多くのファンを獲得しました。特に、強気な態度の裏に隠された繊細な心情を表現する演技は高く評価されています。
興味深いことに、『けいおん!』の中野梓と『五等分の花嫁』の中野二乃は、同じ「中野」という苗字を持つキャラクターであり、竹達さんの代表キャラクターとして「中野」姓が並ぶ形となりました。これは単なる偶然ですが、ファンの間では面白い一致として話題になりました。
2023年に行われた人気投票では、竹達彩奈さんが演じたキャラクターの中で中野二乃が堂々の1位を獲得し、2位には中野梓がランクインするなど、「中野」姓のキャラクターが上位を独占する結果となりました。
竹達彩奈さんが演じたキャラクターは非常に多岐にわたります。代表的なものをジャンル別に見ていきましょう。
学園もの・青春アニメ
ファンタジー・異世界もの
日常系・コメディ
その他ジャンル
これらのキャラクターを見ると、竹達さんの演技の幅広さがよくわかります。可愛らしい少女から、ツンデレ系ヒロイン、クールなキャラクターまで、多様な役柄を演じ分けています。
特に、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の高坂桐乃役では、普段は冷たい態度を取りながらも本当は兄を慕う複雑な感情を持つキャラクターを見事に演じ切り、ツンデレ演技の名手としての評価を確立しました。
竹達彩奈さんはアニメだけでなく、多数のゲーム作品にも出演しています。特に人気なのが以下のキャラクターです。
スマホゲーム・ソーシャルゲーム
コンシューマーゲーム
特に『アイドルマスター シンデレラガールズ』の輿水幸子は、「自分かわいい」という独特のキャラクター性で人気を博し、竹達さんの代表的なゲームキャラクターの一人となっています。
また、『艦隊これくしょん』では複数のキャラクターを担当しており、特に大和は重厚な艦船の擬人化キャラクターとして、竹達さんの新たな演技の一面を見せました。
ゲーム版『ドラゴンクエストVIII』では、PS2版ではシルビア・アリアスが演じていたゼシカ役を3DS版でリメイクされた際に担当し、人気キャラクターに新たな息吹を吹き込みました。
竹達彩奈さんといえば可愛らしい声のイメージが強いですが、実は様々なタイプのキャラクターを演じています。あまり知られていない意外な役柄をいくつか紹介します。
意外な役柄
星十字騎士団「星を恐れぬ者」の一人で、残忍な性格の敵キャラクター。竹達さんの可愛らしいイメージとは対照的な役柄です。
第2話Aパートと再放送・リミックス版第7話Aパートで担当。コメディタッチの作品での思い切った演技を披露しました。
残酷な世界観のゲームに登場するキャラクターで、竹達さんの演技の幅広さを示す役柄です。
ギャンブル狂の登場人物を演じており、普段の可愛らしいイメージとは異なる演技を見せています。
知られざる初期作品
竹達さんのデビュー作は2008年の『kiss×sis』(住之江あこ役)とされていますが、実はそれ以前にも小さな役で出演していました。2007年のゲーム『ソウルクレイドル 世界を喰らう者』でピーナ役を演じており、これが実質的なデビュー作と言えるでしょう。
また、2009年の『KILLZVALD 〜最後の人間〜』で月人パルテノス役を演じるなど、デビュー初期から様々な作品に出演していました。
演技の変化
デビュー当初と比較すると、竹達さんの演技は徐々に幅を広げてきています。初期は可愛らしい少女役が中心でしたが、『ドラッグオンドラグーン3』のフォウや『BLEACH 千年血戦篇』のバンビエッタなど、強気なキャラクターや敵役も演じるようになり、演技の幅が広がっていることがわかります。
このように、竹達彩奈さんは可愛らしいキャラクターだけでなく、様々なタイプの役柄を演じ分ける実力を持った声優であり、その演技の幅広さは多くのファンを魅了し続けています。
竹達彩奈さんの演技の特徴は、何と言っても透明感のある可愛らしい声質と、繊細な感情表現にあります。特に以下のような演技スタイルが彼女の魅力として挙げられます。
1. ツンデレ演技の名手
竹達さんが演じるキャラクターには、ツンデレ系が多く存在します。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の高坂桐乃、『五等分の花嫁』の中野二乃、『DOG DAYS』のエクレール・マルティノッジなど、強気な態度の裏に隠された優しさや恥じらいを絶妙なバランスで表現する演技は、彼女の真骨頂と言えるでしょう。
特にエクレール・マルティノッジ役では、「自分はエクレール・マルティノッジ(以下:エクレール)で竹達彩奈さんを知りました。異世界に召喚されて、右も左も分からない主人公のシンク・イズミ(以下:シンク)をドツキつつもしっかりフォローしているところが可愛かったです」というファンの声もあり、ツンデレ演技の魅力が高く評価されています。
2. 繊細な感情表現
『けいおん!』の中野梓役では、先輩たちに振り回されながらも成長していく少女の微妙な心情変化を丁寧に表現し、視聴者の共感を得ました。また、『たまゆら』の沢渡楓役では、内向的ながらも写真への情熱を持つ少女の繊細な感情を見事に演じ分けています。
3. コメディ演技の巧みさ
『だがしかし』の枝垂ほたる役や『ラーメン大好き小泉さん』の小泉さん役など、コメディタッチの作品でも独特の間や抑揚を活かした演技で作品の魅力を引き立てています。特に『だがしかし』では駄菓子に対する異常な愛情と知識を持つ変わり者キャラクターを演じ、コメディセンスの高さを示しました。
4. 声質の多様性
基本的には可愛らしい声質ですが、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の輿水幸子のような自信に満ちた声から、『BLEACH 千年血戦篇』のバンビエッタ・バスターバインのような強気な敵キャラクターまで、役柄に応じて声質を変化させる技術も持ち合わせています。
竹達さんの演技の魅力は、キャラクターの内面まで深く理解し、声のトーンや間の取り方だけでなく、感情の機微を細やかに表現できる点にあります。そのため、アニメファンからの支持も厚く、多くの人気作品で主要キャラクターを担当し続けているのです。
また、竹達さん自身が「キャラクターになりきる」という姿勢で演技に臨んでいることも、彼女の演技が説得力を持つ理由の一つでしょう。キャラクターへの深い理解と愛情が、視聴者の心を掴む演技につながっているのです。
以上のように、竹達彩奈さんは多彩な演技力と魅力的な声質で、数多くのキャラクターに命を吹き込み、アニメファンの心を魅了し続けています。彼女の今後の活躍にも、引き続き注目していきたいですね。